ソフトバンク:10-12月期の営業利益3.6倍-「携帯頼み」鮮明に(7)

国内通信3位のソフトバンクが8日発表した 2006年10-12月期(第3四半期)の連結業績によると、営業利益は06年4月末 に英ボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)を買収した分が上乗せさ れて前年同期比3.6倍の847億円となった。

売上高も携帯電話事業の買収で膨れ上がり、同2.4倍の7022億円。ただ、 純利益は、前年同期に株式売却などで特別利益が膨らんだ反動で、同66%減の 75億円となった。

業績見込みは公表していない。会見した孫正義社長は、第4四半期(1-3 月期)について、携帯の春商戦に向けて広告宣伝費が増えるのに加え、通信性能 改善のための基地局整備も今年にずれ込んでいるため投資負担も増すとして、 「第3四半期よりも減益になると考えている」と語った。携帯事業が収益の柱に なっただけに、その影響も大きい。

また、ソフトバンクは携帯事業買収で借り入れた短期融資を06年11月末に 最長13年の長期債務1兆4500億円へと借り換えた。孫社長はこれに伴い、07年 度から年間で「600億-700億円くらい」の利払い負担が発生するとの試算も示 した。06年末現在の連結純有利子負債残高は2兆690億円。

携帯依存度が突出

第3四半期は事業構成別でみて、携帯事業の営業利益が569億円と突出、第 2四半期(7-9月期)との対比でも1.9倍に増えた。ヤフーに代表される「イ ンターネット・カルチャー事業」の営業利益も250億円だったが、前四半期比で は10%の伸び。

固定通信は26億円の赤字。これとは別にカウントしているADSL(非対 称デジタル加入者線)などのブロードバンド(高速大容量通信)事業は77億円 の黒字に過ぎず、収益の「携帯頼み」が鮮明な状況だ。孫社長は固定通信事業に ついて「通期でも若干の赤字を見込む」と述べている。

クレディ・スイス証券の早川仁ディレクターは営業利益の数字について 「事前のどの市場予想よりも強い」と評価。固定通信部門の赤字については 「大幅な悪化も改善もしていないが、将来に向けての不安定要因ではない。む しろ、ブロードバンド部門でNTTが、光ファイバーの浸透をてこに攻勢を強 めた場合の影響が気がかりなところだ」と述べている。

契約増や奨励金軽減など寄与

携帯好調の背景には、06年10月の番号継続制度(MNP)導入に合わせて 開始し、月賦販売を通じて端末コストを利用者から確実に回収する新料金体系で、 販売奨励金負担を軽減したのに加え、通信能力増強のための基地局整備がずれ込 み、投資額が後ずれしたことがある。

MNPに合わせた格安料金体系の導入で、06年10-12月の携帯電話ARP U(1契約当たりの平均収入)は5560円と、前四半期(06年7-9月)から 140円減少した。うちデータのARPU実績は1330円。

早川氏は8日夕に発表したリポートで、ARPU5560円はボーダフォン時代 の前年同期からすれば4.8%の低下ではあるものの、「KDDIが同時期に

6.9%、NTTドコモが3.6%低下したことを考えると、悪くない」と分析してい る。

しかし、端末1台当たりの奨励金支給額は2万2400円と、前四半期から2 万1400円も減少し、大きく貢献した格好だ。携帯事業の売上高は契約数が期中 に約19万件増加したことで4303億円と、前四半期比22%増えた。

「ホワイト」加入は105万件

孫社長は、会見後に都内のホテルで開いた説明会で、1月16日に導入した 基本料980円の料金体系「ホワイトプラン」の加入者が、現在までの3週間で 105万件に達した、と述べた。うち新規は21万件、買い替えが84万件だったと している。

孫氏は、昨年10月26日投入した格安体系の「ゴールドプラン」加入が現在 までの3カ月で102万件(新規49万、買い替え53万)である事実を引き合いに 出し、「ホワイト」の勢いを強調。春商戦に向けて自信を示した。また、端末の 割賦販売導入で積みあがった債権について「数カ月後に流動化することも検討中 だ」と語った。

投資1000億円が来期にずれ込み

基地局投資については工事の遅れが響き、3月末までに4万6000を整備す るとしていた目標を、07年度上半期に変更した。説明会で孫社長は、06年末現 在の基地局整備が2万5588に過ぎないことを明らかにした。06年7月末時点の 2万3000から、3000程度しか増えていない。

ただ、現時点での詳細について「整備済みは2万6200、工事中は1万4050、 用地買収済みは5870であり、合計すれば4万6000になる」と説明。これまで整 備実施がずれ込んできたのは「用地確保交渉と設置の設計に何カ月もかかる」た めであり、用地買収が終わっている以上、目標達成のめどは立っている、と強調 した。

基地局投資について孫社長は06年8月の会見で「06年12月末までに大半を 終わらせる」と説明。前期までは2千数百億円規模だった年間投資額について、 通信性能増強を急ぐため、今期は5000億円程度とし、来期以降2年間は各1000 億円程度に抑制できるとしていた。

しかし、8日の会見で孫社長は、整備の遅れで今期の投資額は「4000億円程 度」に減額され、1000億円程度は来期に回る、との見通しを明らかにした。

ソフトバンクの8日株価終値は、前日比30円(1.1%)安の2820円。

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