SUMCO社長:300ミリウエハー増産で収益倍増-2010年ビジョン

半導体用シリコンウエハー専業メーカー、 SUMCO(サムコ)の重松健二郎社長はインタビューで、シリコンウエハーの 出荷の大幅な伸びに自信を示し、2010年度までの中期経営ビジョンとして、収益、 生産能力などを倍以上に成長させる考えを明らかにした。需要が急速に伸びてい る300ミリウエハーに集中投資して大幅な事業拡大を目指す。

同社は07年1月期の売上高は3100億円を見込むが、向こう3-4年で7000 億-8000億円規模に拡大させる。重松社長は「収益や生産能力などを2倍以上に させたい」と語ったが、同時に利益にも目配りし、2005年度(05年2月-06年1 月)に20.1%だった営業利益率を20%程度に維持しながら高成長を実現させる計 画だ。

同社が注力する直径300ミリメートルウエハーの需要はメモリーやMPU (超小型演算処理装置)向けなどに急増しているが、現状ではウエハーメーカー 側の供給能力が不足し、需給ギャップが解消されていない。重松社長は「シリコ ンウエハーの出荷数量は、年率50-60%で伸びる状況がしばらく続く」と予測し ている。

足元の生産能力は月62万枚で、「需要に対し7-8割しか供給できていな い」(重松社長)ため、成長に向けて300ミリウエハーの増産を加速する。2010 年末までに総額3500億円を投じ、グループの生産能力を現行計画比で2倍の月 200万枚に高める。

シリコンウエハー業界トップの信越化学工業も能力増強を予定しているが、 需給ギャップが大きいことから、300ミリウエハー中心にしばらく生産の拡大競争 が続きそうだ。

300万枚も視野

すでに、08年7月に月産100万枚とする増強計画を決定したが、重松社長は 「もっともっと増産が必要だ。月産200万枚構想に向かって最速で突き進みた い」と意欲を示した。2011年以降は需要動向に応じてさらなる拡張も検討し、最 大で月産300万枚が可能な体制も視野に入れる。

300ミリウエハーは全売上高の40%近くを占める主力製品。1世代前の200 ミリウエハーに比べて1枚当たりのウエハーから取れるチップの数が2倍超にな り、半導体メーカーの生産性向上につながる。世界半導体生産能力統計(SIC AS)によると、全ウエハーの投入面積に占める300ミリウエハーの比率は04年 1-3月期の4.3%から06年7-9月期に26%へ急上昇した。

コマツ買収の統合効果500億円

同社は、シリコンウエハーで信越化学に次ぐ世界第2位。三菱マテリアルと 住友金属工業が共同出資でウエハー事業を統合し、前身の三菱住友シリコンを 2002年2月に設立した。05年8月に「SUMCO」へ商号変更した。昨年10月 には同業中堅メーカーのコマツ電子金属(現サムコ テクシブ)を370億円で買収、 シェアもそれまでの23%から31%に上昇し、信越に肉薄するポジションを固めつ つある。

重松社長はコマツの買収目的について、スケールメリットや技術の取り込み によるシナジー効果とコマツの台湾拠点の活用によるアジア地域の強化を挙げた。 ただ、一方で重複する経営資源の再配分やコスト削減などが急務。

この点について、同社長は「グループで500億円の統合効果を生み出し、買 収費用の370億円を3-4年で回収できる」との試算を明らかにした。具体的に は、重複する研究開発案件の一本化、採用抑制、営業拠点の集約化、資材調達の 見直しなどにより達成する。「コスト削減そのものと、何もしなければ増えるは ずのコスト抑制と、両面で無駄をなくしていく」(同社長)考えだ。

重松社長の主な発言は次の通り。

――コマツ電子買収後のグループの成長戦略は。

「2010年度末までのビジョンとして、企業力倍増にしたい。売り上げも収益 も、人を含めた企業価値も2倍にする。グループの生産能力は、あと100万枚を 最速で立ち上げて200万枚にする。6000億-7000億円はあくまでミニマムで、そ れも通過点に過ぎない。企業力倍増で7000-8000億円になったとして、このうち 10分の1くらいが太陽電池用ウエハーの事業になるのではないか」

――SUMCOは、買収・合併を繰り返し誕生したが、さらにコマツを買収して 水太りしていないか。実質的な統合効果はどれくらいになるか。

「そういう面は否定できないが、人員削減や生産拠点の閉鎖など、いわゆる リストラはしない。買収後のシナジー効果については、社内で委員会をつくり具 体的に議論した。今後の増産による収益拡大の影響を除いても、コストの削減と 抑制で、グループとして500億円の統合効果を生み出せる」

――07年1月期の営業利益率予想は約26%。当面、20%以上を維持できるか。

「需要に応えるためには、当分、拡大再生産を続ける必要がある。営業キャ ッシュフローの範囲内で健全な増産投資をするために必要な利益率を逆算すれば、 それくらいの水準は確保すべきと思う。08年1月期に関しては、4割増収、4割 増益を目指したい。経常利益は1000億円をクリアさせる」

――月産200万枚の増強は自力でやれるか。2011年以降の需要をどうみるか。

「今の体制で、自力でやれる。300ミリウエハーの増産はやってもやっても足 りない。あっという間に月産200万枚に達するだろう。土地は(伊万里工場と長 崎工場で)確保してあるので(最大能力は)あと100万枚くらいいける」

SUMCOの株価終値は前日比90円(2.0%)安の4340円。

--共同取材 Pavel Alpeyev Editor:murotani

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