きっかけは廃棄処分のアンコウ-糖尿病新治療薬で製薬メーカーが競争

ボストン近郊の海岸に廃棄されたアンコウを 用いた実験がきっかけで、新しい糖尿病治療薬が20年後の今、開発されている。 スイスの製薬最大手、ノバルティスの新薬は週内にも米国で承認を得る公算が 大きい。

1987年のこと。当時、マサチューセッツ総合病院の研究医だったジョエル・ ハベナー氏はアンコウのすい臓に、人間にも重要な意味を持つたんぱく質を発 見した。この発見を基に、ノバルティスや米メルク、米イーライリリーを含む 少なくとも製薬メーカー5社が医薬品を開発しており、糖尿病治療に革命をも たらす可能性が出てきた。

米国で昨年承認されたイーライリリーの「バイエッタ」を用いた糖尿病治 療は人気が広がっており、同医薬品の売上高は昨年7-9月期に1億2640万ド ルと、前期比で28%増えた。昨年11月にはメルクが「ジャヌビア」の販売を開 始。ノバルティスの「Galvus」は早ければ7日にも米国で承認される。

ミラー・タバクのアナリスト、レス・ファントレイダー氏は「久しぶりに 製薬大手間で最も興味深い販売戦争が繰り広げられる」と語り、ジャヌビアや Galvusの年間売上高はそれぞれ10億ドルと、バイエッタに匹敵する可能 性を指摘した。

これらの治療薬はハベナー氏が発見したタンパク質の働きを真似たもので、 すい臓にインスリンを分泌するよう働き掛ける。糖質をエネルギーに変えるイ ンスリンが十分に分泌されなかったり、分泌されてもうまく作用しないと、糖 尿病になる。インスリン不足だと、ブドウ糖(血糖)の値が人体で正常に保た れないからだ。

新薬は糖尿病の中で最も多い2型糖尿病を治療する。世界保健機関(WH O)によれば、患者数は現在約1億8000万人だが、2030年までにはこの人数が 倍増する公算が大きい。新しい治療法が必要な理由として、ノバルティスの調 査開発担当責任者、ジェームズ・シャンノン氏は副作用の存在を挙げる。

ミラー・タバクのファントレイダー氏は「糖尿病治療の市場は大きな可能 性を秘めている。拡大しているほか、現在の治療法がベストではないからだ」 と語る。同氏によれば、糖尿病治療には現在世界で150億ドルが費やされてい るが、2011年までには250億ドルへ拡大する見込み。

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