伸銅メーカー調達難:銅反発期待でスクラップ事業者売り渋り(2)

自動車や電子部品、建材などに使われる 伸銅品のメーカーが、材料として不可欠な銅スクラップの確保に奔走している。 銅市況が調整局面にあるため、スクラップ事業者が値上がり期待から売り渋っ ているためだ。一方、スクラップ価格が上昇して新品と価格差が縮まれば、需 要そのものが減少する可能性もあり、今後の先行きは不透明だ。

「100トンの銅スクラップを入荷予定だったが70トンしか入らない、とい うことが最近多くなった」――大手伸銅メーカー、三菱伸銅営業本部の弓削貴範 課長は語る。ロンドン金属取引所(LME)の銅先物相場(3カ月物)は昨年 5月に1トン8600ドルと、史上最高値を付けた後は下落に転じ、ことし1月 18日に5540ドルまで下げた。「6000ドルに反発するまで売却を待とうという 業者が多い」(弓削氏)という。

名証2部上場の伸銅メーカー、サンエツ金属(富山県高岡市)は「本音で はスクラップ品の3分の1程度をスポット(当用買い)で調達したいが、品不 足のため2割程度に抑えている」(釣谷伸行常務)。残り8割は特定のスクラ ップ事業者や、加工で発生する切りくずを返却する顧客メーカーから長期契約 で調達しているという。

非鉄金属リサイクル全国連合会によると、銅など非鉄スクラップ事業者は 全国に366社あり、家族経営など小規模企業が目立つ。東京都墨田区のスクラ ップ事業者ウスイ金属によると「リサイクル銅の売値はLMEに連動している ため、顧客に対する供給責任のない小規模事業者は、売値が上がるまで販売を ちゅうちょする例が多い。相当量のスクラップが流通経路に滞留しているとみ られる」(ウスイ金属の薄井景介・営業部長)という。

ただ銅市況の行方が不透明ななか、今後の下落基調を見越した伸銅品の買 い控えも散見され、LME相場をにらんでスクラップ事業者と伸銅品メーカー の神経戦が展開されそうだ。東京都内の非鉄スクラップ事業者、高垣商店(板 橋区)は「1月以降引き合いは減っている。昨年の異常な銅の大相場はもうあ り得ない」(高垣仙一社長)として、伸銅品メーカーから引き合いがあれば積 極的に売っている。

今後スクラップの品薄が続けば、現在はLME価格に連動しているスクラ ップ価格が「上昇して新品と価格差が縮小し、伸銅品メーカーがスクラップを 使うメリットがなくなり需要が減少する可能性もある」(ウスイ金属の薄井 氏)ことが懸念される。

インターネットで銅相場情報を発信している五井金属(東京都墨田区) の五井恭治郎社長は「LME相場は昨春急騰を始める前の水準、4600-4800ド ルまで段階的に下がるだろう。スクラップ事業者全体が売り惜しみしていると いよりも、日本製造業の中国進出により銅スクラップが日本に還流しないこと が構造的な品不足の要因」と指摘している。

経済産業省によると、日本の銅需要は2005年度149万トン。内訳は5 割 強が電線、3割が伸銅品。電線メーカーが電力会社からのリサイクル品を 利用するのに対して、伸銅メーカーは一般のスクラップ事業者から調達するこ とが 多い。日本伸銅協会(東京都台東区)によると、伸銅メーカーは原材料 の銅の 2割から5割をリサイクル品で調達、残りは大手非鉄メーカーが製錬 する電気 銅を購入している。

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