三洋電:半導体部門売却で募集を開始、1000億円程度見通し-関係者

経営再建中の三洋電機は、非中核部門である半 導体事業の売却に向け、再建を主導している米ゴールドマン・サックス証券(G S)と大和証券SMBCをアドバイザーに指定、買い手の募集を開始した。複数の 関係者が2日までに明らかにした。売却額は1000億円程度の見通し。

既に国内外の半導体メーカーや投資ファンドなどに売却を打診しており、3月 末までの売却完了を目指す方針という。この点について、三洋電機コーポレートコ ミュニケーション本部の大岩明彦氏は「何も決まっていない」としている。GSの 広報担当者である岩立澄子氏と、大和SMBCの広報担当である永田大舟氏はコメ ントを差し控えた。

黒字化で交渉余地

三洋は05年11月策定の中期経営計画で、半導体事業をテレビ、白物家電と並 ぶ非中核部門に指定。売却も模索したが買い手がつかず、昨年7月にいったん分社 化していた。

しかし、計画で中核事業に据えた携帯、デジタルカメラや、エアコンなど家電 部門でも苦戦し、追加リストラを強いられた。このため昨年11月になって中期経 営計画の目標を大幅に下方修正。計画の最終年度である08年3月期(来期)の純 利益見通しを、620億円から200億円へと減額していた。

こうした中、分社化後に半導体事業の採算が黒字に転じたことで、売却できる 可能性が高まったと判断したもようだ。半導体は継続的な設備投資が必要な半面で、 収益は市況に大きく左右されるため、切り離せば本体への財務リスクを低減できる。

みずほ証券の張谷幸一アナリストは、三洋の半導体事業について「アナログ主 体であるため、成長性は高くない」と指摘。一方でグループの事業構成との親和性 も高くないことから、同事業を「三洋電機が抱え続ける必然性はない」と述べてい る。

また、CLSAアジアパシフィックの宮本武郎アナリストは、「三洋はやるべ きことについては『待ったなし』だ」とリストラ加速の必要性を強調。ただ、具体 的な売却先としては「事業面で大きくシナジー(相乗効果)があるところは思い浮 かばない」と語り、半導体事業の抜本的なコスト削減を進めるには、メーカーなど の事業会社よりも、ファンドの方が適格との見方を示した。

投資回収の面も

アドバイザーを務めるGSと大和SMBCは、三洋のメーンバンクである三井 住友銀行とともに、昨年3月に三洋が実施した総額3000億円の第三者割当増資を 引き受け、再建に必要なリストラなどの原資を提供した。半導体事業の売却は、G Sと大和SMBCによる投資回収の側面もある。

増資に伴って発行された優先株は3月14日以降、1株70円で普通株式への転 換が可能になる。転換を実施した場合は、GSと大和SMBCの三洋への出資比率 は、各24.5%となる見通し。

GSはこれとは別に昨年1月、半導体事業と同様に三洋が非中核部門としてい るリース会社、三洋電機クレジットの株式33%を取得していた。現在は17%を保 有する三洋とともに、三洋電機クレの支配株式を売却する交渉に入っている。候補 としては米ゼネラル・エレクトリック傘下のGEキャピタルや新生銀行が浮上して いる。

最大の不採算部門

三洋の半導体事業は、同社が事業の多角化を急いだ影響で他社のように集中的 な投資ができなかったことでデジタル化への移行が遅れた。また、社内販売比率 (内製率)は10%弱以下と、他社に比べて極端に低く、グループ内にとどめる意 義は薄い。

さらに2004年10月の新潟県中越地震で被災し一時休止に追い込まれて顧客が 離れるなどしたため、05年3月期に177億円の営業赤字に転落した。

その後、国内電機メーカーなどに売却を打診したものの、06年3月期に同事 業が売上高1935億円に対し、営業赤字が351億円に拡大したことを背景に交渉が 折り合わず、昨年7月に分社化していた。

アナログに強み

ただ、買い手によってはメリットもある。分社化を境に営業損益は小幅ながら 黒字化。今期は70億円の利益を出せる見込みだ。また、マイコンやシステムLS I(大規模集積回路)開発で高機能化を実現するにはデジタル同様、アナログの技 術も不可欠。特に、三洋が世界トップレベルのシェアを持つバイポーラ半導体は、 車載向けなど多彩な製品への応用が可能だ。

みずほ証券の張谷氏も、分社化後の黒字転換は「アナログ部分に集中し、バイ ポーラ中心で利益を出しているため」と指摘している。三洋側は交渉で、こうした 利点を売り込むとみられる。

三洋電の株価は、前日比2円(1.0%)安の201円(2日午後2時33分現在)

--共同取材 中島三佳子、Pavel Alpeyev  Editor:murotani

大久保義人 Yoshito Okubo (81)(3)3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Teo Chian Wei (81)(3)3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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