キヤノン:デジカメ好調など今期純利益9%増、8期連続最高益へ(4)

キヤノンは29日、2007年12月期の連結純利 益が前期比8.7%増の4950億円になる見通しだと発表した。デジタル一眼レフを はじめとするデジタルカメラやカラー複合機など主力製品の販売を拡大するほか、 生産・開発・調達面でのコストダウンをさらに進めることで、8期連続の過去最 高益を見込む。

前期の2ケタ増益に対し、今期は1ケタ成長を予想している点について、同 日会見した田中稔三専務は「内外の金利差縮小から、現時点より徐々に円高が進 行すると想定しているため」とし、各個別事業の競争力やコストダウンなどの状 況については前期と変わらないと強調した。

デジカメ販売は14%増の2400万台へ

今期の売上高予想は同7.1%増の4兆4500億円。デジカメ、レーザープリン ターが前年からの好調を持続するうえ、ラインアップが揃ったカラー複合機やP OD(プリントオンデマンド)向け新製品の販売増が寄与する。デジカメは新興 市場で高い伸びを期待、年間の販売台数は前年比14%増の2400万台、うちコンパ クトは同13%増の2100万台、一眼レフが同20%増の300万台を予想している。

また、液晶用露光装置は主要なパネルメーカーが設備投資を抑制気味として いることから低調が続き、販売台数は36台(前期は62台)とみている。半導体 用露光装置は活況だった前年に比較すると市場に調整が入り、販売台数は180台 (同192台)を予想する。

営業利益は8.2%増予想

今期営業利益の会社予想は同8.2%増の7650億円。各製品で低価格機種への シフトや価格競争の激化といった懸念材料があるなか、増収効果に加え、生産面 などでのコストダウンによる収益性改善で増益を予想。部門別の営業利益は複写 機やプリンターなどの事務機が同6.8%増、カメラが同7.1%増、光学機器その他 が同31%増としている。

今期のコストダウン効果は1200億円と、前期並みを予想している。今期の為 替レートは1米ドル=115円と前期(06年12月期)の1米ドル=116円43銭から 若干の円高、ユーロでは、1ユーロ=150円と前期の146円51銭に比べ円安水準 を前提としている。

キヤノンは06年からの新5カ年計画で、現行事業で現在程度の成長率を維持 し、新規事業の収益を上乗せることにより2010年に売上高5兆5000億円、純利 益5500億円以上を目標にしている。すでにモノクロ複写機、レーザープリンター、 デジカメでは世界でトップシェアを獲得しているが、すべての主力事業の世界1 を目指す同社にとって今期は目標達成に向けて重要な1年となる。

ただキヤノンは、東芝と共同生産する予定だった次世代薄型ディスプレーパネ ルSED(表面電界ディスプレー)について米社との特許訴訟が難航していること を理由に単独事業化すると発表済み。SEDテレビの販売は計画通り10-12月に日 本国内で月産1000パネル程度で開始するものの量産計画は白紙撤回されており、今 後の動向が注目されている。

SEDについて田中専務は会見で、キヤノンにとって「有望な新規事業と の認識は変わっていない」としつつも、量産化については「今はまったく白紙。 立地も含め見直し中であり、詳細は話せない」と述べるにとどめた。

10-12月期は2ケタ増益

06年12月期決算によると、10-12月(第4四半期)の純利益は前年同期比 16%増の1256億円、売上高が同8.6%増の1兆2165億円、営業利益は同16%増 の1959億円だった。

10-12月期の営業利益は、低調な液晶用露光装置の影響で光学機器部門が同 54%減益となったものの、デジタル一眼レフの好調でカメラが同47%の増益とな り、事務機も同10%増益と堅調だった。

前期は7期連続増収増益

この結果、06年12月通期は、純利益が前期比19%増の4553億円と初めて4000 億円台、売上高は同11%増の4兆1568億円と初の4兆円台だった。デジカメ、事務 機などの販売好調とコストダウンで7期連続の増収増益を達成した。為替の円安も 収益面でプラスとなった。

前期の営業利益は同21%増の7070億円。前期の為替水準は1米ドル=116円43 銭(前期は110円58銭)、1ユーロ=146円51銭(同137円04銭)。約780億円 の増益要因となった。調達面での改革や内製化、生産現場の自動化などのコストダ ウン効果は1190億円に上った。

デジタル一眼レフは普及機「EOS Kiss Digital X」などの販売 が好調で、それに伴い交換レンズの売り上げも拡大。「IXY」「PowerSh ot」シリーズのコンパクトデジカメも国内外で販売台数を伸ばした。年間のデジ カメ販売台数は前年比25%増の2110万台で、うち一眼レフは250万台、コンパクト は1860万台。調査会社BCN(東京都文京区)によると、06年国内デジカメ市場で キヤノンは一眼レフ、コンパクトともに3年連続のトップシェアを獲得している。

事務機はレーザープリンターが低価格機を中心に需要が拡大するなか販売が 好調。インクジェットプリンターも含めた市場での稼働台数の増加に伴い、利益 率の高いインクやトナーなどの消耗品も順調に数量を伸ばした。

キヤノンの株価終値は前週末比変わらずの6500円。