ジャンク債は割高、デフォルト増で急落も-NY大学のアルトマン教授

ニューヨーク大学のエドワード・アルトマ ン教授は24日夜、ニューヨークで開催された債券関連の会議で、ジャンク(高 リスク・高利回り)債は割高となっており、今年の米国でのデフォルト(債務 不履行)率が上昇するに伴い急落する可能性があるとの見方を示した。同教授 が1960年代に生み出した破たんリスクを計算する数式は現在、広く使われてい る。

アルトマン教授は、1兆1000億ドル(約133兆円)規模のジャンク債市場 のデフォルト率が今年、2.5%と06年末の0.76%から3倍強に上昇すると予想。 08年には2.72%に上昇するとみている。

企業の利払い負担の軽さを背景に、投機的格付けのジャンク債のスプレッ ド(米国債との利回り格差)は10年ぶりの水準まで低下した。メリルリンチの データによると、現在のスプレッドは2.63ポイントと、1年前の3.54ポイン トから縮小している。

アルトマン教授は、仮にデフォルト率の「上昇が緩やか」だとしても、ジ ャンク債「相場の堅調が続くとは考えにくい」と述べた。一部の投資家は、デ フォルト率が今年も1%未満にとどまると予想している。アルトマン教授は「こ れほど低いスプレッドでのジャンク債買いを正当化するには、投資家はそのよ うに言わざるを得ないだろう」と話した。

ジャンク債投資の06年リターンは金利を含め11.8%と、1997年以来で2 番目の好成績だった(メリルリンチ調べ)。格付け「CCC」以下の低格付け債 のリターンが最良で18.6%だった。

アルトマン教授は、ヘッジファンドやプライベートエクイティ(未公開株) 投資会社の資金が、リスクの高い企業の調達を容易にし、デフォルト率低下に つながってきたと指摘した。同教授は05年1月時点に、06年のデフォルト率 を4.27%と予想していた。アルトマン教授は、「デフォルト率予想に関してはほ とんど誰もが外れだった」と述べた。

06年のジャンク債発行高は過去最高の1840億ドル。ジャンク級(投機的格 付け)の融資(レバレッジドローン)も過去最高の6820億ドルに達した。

アルトマン教授は、「流動性の高さは信じ難いほどの水準だ。これは主に、 銀行以外の金融機関によって提供されている」と話した。同教授はジャンク債 取引の最大で40%がヘッジファンドによるものだと見積もっている。

ヘッジファンドは現在、世界で1兆3000億ドルの運用資産を持つ。運用会 社ブリッジウォーター・アソシエーツによると、ヘッジファンドのレバレッジ はロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が事実上破たんし た1998年以来で最も高くなっている。

アルトマン教授は、デフォルト率が02年にピークを付けた後に、このよう なファンドからの資金が経営難企業の社債に流入してきたと指摘。「この資金流 入で、デフォルト率は劇的に低下」し、「資金を遊ばせることを嫌うファンドは、 『最低格付けのジャンク債に投資してもよいだろう』と考えたのだろう」と分 析した。

アルトマン教授によると、ファンドは企業に直接貸し付けることも始めた。 このため、デフォルトが発生した際には、ファンドは「連鎖の中の初めの方に いることになる」と同教授は指摘した。

アルトマン教授は、「CCC」の低格付け債の増加が、デフォルト増につな がると予想する。格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に よると、06年に発行されたジャンク債で格付け「B-」以下の債券が占める割 合は42%と、01年や02年の2倍だった。