高額報酬金融マン、結婚にご用心-英では離婚後の報酬を元妻が請求も

ロンドンの金融業界は総額88億ポンド(約 2兆830億円)と過去最高に達した年末ボーナスに沸いているが、将来の報酬 をめぐる判例から、最後に笑うのは離婚した配偶者とその弁護士かもしれない。

高等法院で下された古物商ロッシ夫妻をめぐる判決を受けて、離婚した妻 がその後も長期にわたって元夫に報酬の一部を支払うよう求めるケースが出て くるかもしれない。そうなれば、大金の絡んだ離婚和解が多い場所としてロン ドンの評判は高まるだろう。

元妻に対する環境があまりにも有利なため、離婚問題を担当する弁護士ジ ェレミー・リビソン氏は銀行マンやヘッジファンド幹部に対し結婚はやめた方 がいいとアドバイスする。婚前合意を結んだとしても、それが法的拘束力を持 たない英国ではほとんど役に立たないのだという。

ロンドンの法律事務所レビソン・メルツァー・ピゴットのパートナーであ るレビソン氏は「結婚はするな」とした上で、「どうしてもというなら、配偶 者があなたと同じぐらい金持ちであることを確認するべきだ」と話す。同氏は 昨年5月に金融関係者を震撼させた2つの判決のうちの1つが下った裁判で弁 護人を務めた。

年5900万円の生涯支払い

同裁判で、英国の最高裁に相当する上院の上訴委員会は米会計事務所大手 のデロイト・トウシュ・トーマツのパートナー、ケネス・マクファーレン氏に 対し、元妻のジュリアさんに年25万ポンド(約5900万円)を生涯にわたって 支払うよう命じた。下級審は同支払いの継続を5年までとしたが、ジュリアさ んの弁護団が離婚まで16年に及んだ結婚生活での子育てや内助の功に報いるた めには支払い額の拡大が必要だと主張した。

これとは別に、同委員会はまた、当時ロンドンのニュー・スター・アセッ ト・マネジメントでヘッジファンドマネジャーを務めていたアラン・ミラー氏 に対し、元妻のメリッサさんに500万ポンド(約11億8300万円)を支払うよ う命じた。2人の結婚生活は3年にも満たず、子供は無かった。

事情に詳しい関係者によれば、ロッシ夫妻をめぐる判決内容はさらに1歩 踏み込んだものという。高等法院での家庭裁判に絡む内容は判決が公表あるい は上訴されるまでは報道できないが、6月に下された判決は離婚後「少なくと も」12カ月以内のボーナスは夫婦の資産とみなしたという。

同判決について、マクファーレン氏の元妻ジュリアさんを担当したロンド ンの弁護士ジェームズ・ピリー氏は、将来のボーナスの半分を元妻が請求する 道を開くものだと指摘する。

また、ミラー氏の元妻メリッサさんを弁護した法律事務所ウィザーズのパ ートナー、エマ・ハトリー氏は「法律の現状は元妻に対して最も寛大となって おり、ある意味では行き過ぎ」と語る。

弁護士らは、英国の離婚法の変化があまりに速いため、将来の報酬をめぐ る議論は法廷で数年にわたって繰り広げられるとの見方で一致している。レビ ソン氏は「今はあまりに場当たり的で正解はない。八方手を尽くして駄目なら、 婚前合意を結び、幸運を祈ることだ」と述べた。