ロック歌手ボノと投資会社設立のマクナミー氏:メディア株に期待

米IT(情報技術)産業の中心地、シリコ ンバレーに投資するロジャー・マクナミー氏(50)は2003年遅くに、ロックバ ンド「U2」のボノから1本の電話を受け取った。以前にボノに助言したこと もあるマクナミー氏によれば、ボノはその電話でエンターテインメント業界に 投資するアイデアを得たということを語った。

「ボノは大きなアイデアを持っていたが、パートナーが必要だった。共通 の友人が、ボノが私を知っていることを思い起こさせた」のだという。それか ら1年足らずの間に、カリフォルニア州メンロパークでプライベートエクイテ ィ(PE、未公開株)投資会社、エレベーション・パートナーズが誕生した。

本名がポール・ヒューソンというボノとマクナミー氏がエレベーションの マネジングディレクターとなり、05年に投資を開始した同社最初のファンドに は、50以上の年金基金や金融機関、大学の寄付金ファンド、個人などからほぼ 19億ドル(約2300億円)を集めた。

U2の曲名にちなんで名付けられたエレベーションは、ハイテクの恩恵を 受けるメディアやエンターテインメント企業に注目しているとマクナミー氏は 話す。ハイテク銘柄アナリストからベンチャーキャピタリストに転身した同氏 は、「テクノロジーが現状を打破する分野を探している」と語る。

エレベーションはこれまで3件の投資を手掛けている。05年11月にはビデ オゲーム企業の持ち株会社を設立したほか、オンライン不動産仲介ホームスト アの株式14%を取得した。昨年8月には90年の歴史を持つ米経済誌「フォーブ ス」とフォーブス・ドット・コムを傘下に持つフォーブスの少数株主になった。

マクナミー氏は、ボノのようなロックスターが、共和党の大統領候補にも なったことのあるスティーブ・フォーブス氏のパートナーにはふさわしくない のではとの見方をはねつける。「最終的には、われわれはプラスになるかどうか で判断する。投資自体がそれを物語るようにしたいと考えている」と述べる。

ゲイツ氏、デル氏

マクナミー氏はこれまでの人生で、多くの時間をハイテク関連の見本市や 会議への出席に費やしてきた。そこで出合ったのがソフトウエア最大手の米マ イクロソフトを築き上げたビル・ゲイツ氏であり、パソコン大手の米デルを創 業したマイケル・デル氏だ。若き日の彼らに出会ったマクナミー氏は、デルな どのベンチャー企業に焦点を絞った。

マクナミー氏は1988年初め、米資産運用会社T・ロウ・プライスの「サイ エンス・アンド・テクノロジー・ファンド」の運用を担当。ブルームバーグの データによれば、同ファンドは88-91年に年率平均でプラス25%のリターンと なった。

エレベーションのフォーブスへの出資の背景には、フォーブス・ドット・ コムに対する関心がある。ティム・フォーブス最高業務責任者(COO)によ れば、同サイトの閲覧数は06年に倍以上に増え、売上高は50%増加した。同C OOは、「これは一般的なPE投資ではなく、成長を狙った投資だ」と話す。

マクナミー氏は、利益が伸び株価が上昇しそうなメディアやエンターテイ ンメント企業を見いだし、過小評価されている銘柄を選択するのにこれまでの 経験を生かせるとしている。ボノが歌うように「ゴールはエレベーション」な のだという。