中国の投資家による「無分別な楽観主義」で株式相場はバブルの様相

中国の株式相場はアジアで最も割高となり、 シティグループ、HSBCホールディングス、UBSといった金融機関のスト ラテジストらは中国株への投資を控えるよう警告を発している。

中国本土の証券取引所に上場する株式の株価収益率(PER)は1年半前 から倍増しており、新興市場株の平均の2倍になっている。上海証券取引所と 深セン証券取引所の人民元建てA株に連動している上海・深セン300指数は昨 年に121%上昇した。これで時価総額は初めて1兆ドル(約121兆円)を上回り、 中国政府は投資家の「無分別な楽観主義」が相場を急騰させているとの警告を 発したほどだ。

中国最大の保険会社、中国人寿保険の人民元建てA株は9日の上海証券取 引所上場以降に倍以上に値上がりしている。A株の売却に対する投資家の応募 は、募集株式数の約49倍に上った。昨年10月に世界最大規模の新規株式公開 (IPO)を実施した中国工商銀行は以来、株価が70%上昇している。同IP Oの幹事によれば、中国の個人投資家からの需要は機関投資家の5倍に達した。

DBSアセット・マネジメント(シンガポール)のラウ・ウィンタット最 高経営責任者(CEO)は「新規公開株に対して個人投資家が長い列を作れば、 それは常に警告サインとなる。トレンドを形成するのは個人投資家ではない。 彼らが投資するのはもうかると考える時で、それはしばしば上昇相場の終わり に近い」と語る。

世界の主要経済圏で最も成長率が高く人民元も上昇している中国では、国 際投資家がアクセスできる国内株式の規模が増している。中国政府は東南アジ ア最大の銀行、DBSグループ・ホールディングスを含む外国の55社に対し、 A株を含めて人民元建て証券に合計95億5000万ドル投資できる枠を与えてい る。

上海・深セン300指数は先週10%上昇し、週間ベースではここ8カ月で最 大の上げを記録した。年初来では17%上昇し、先週末は2396.09で引けた。香 港に上場する中国企業株(H株)に対する投資制限はないが、H株で構成する ハンセン中国企業株指数は昨年94%上昇した後、年初来では4.7%下げている。

上海・深セン300指数のPERは35倍で05年7月に付けた14.4倍から上 昇。H株指数は20倍。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナ ル(MSCI)新興市場指数は15倍。

慎重な見方が続々

1987年の米国株式相場暴落を予想した香港在勤のファンドマネジャー、マ ーク・ファーバー氏は8日のインタビューで、中国株の購入には「注意深く」 なると述べ、1-3月期に新興市場相場は下落すると予想している。

中国本土では、国外投資を制限されている個人投資家の国内株購入ペース が誰よりも速い。引退したエンジニアで上海出身のディン・シュラン氏(67) は貯金の半分を株式投資に注ぎ込み、今年の相場上昇を予想する。中国工商銀 や宝山鋼鉄などの株式を保有する同氏は「不動産や債券といった中国のほかの 限られた投資の選択肢よりも、株式は高いリターンが得られる」と語る。

クレディ・スイス・グループによれば、中国の投資家が06年最後の6週間 に投資信託に投じたのは約1500億元(約2兆3400億円)で、株式には1000億 元の投資があった。国際投資家からの資金も流入している。エマージング・ポ ートフォリオ・ファンド・リサーチ(ボストン)によれば、中国に集中したフ ァンドへ流れた資金は年初2週間で13億ドルと、日本を除くアジアへの投資額 のほぼ3倍だった。また、昨年に224億ドルと過去最高に達した新興市場ファ ンドへの投資の半分が中国向けだった。

シティグループの世界株式チーフストラテジスト、アジェー・カプール氏 は「A株、H株双方の市場センチメントは非常に高まっており、結果としてリ スクも高まっている」と語る。

UBSの上海在勤アナリスト、エドモンド・フアン氏は15日、上海総合指 数が年内に2185まで下落する可能性を指摘している。これは先週末を23%下回 る水準。

また、HSBCのギャリー・エバンズ氏(香港在勤)は、1-6月期に「大 きな調整」が相場に起こる可能性を警告する。同氏は「国内市場には巨額の資 金が流れ込んでいる。バブルの様相になっている」と語った。