カナダ・ドルがヘッジファンドの犠牲に-原油や銅など商品下落で

トレーダーの間では、カナダ・ドルの下落 見通しが過去最高に強まっている。

ヘッジファンドなどの大口の投機筋がカナダ・ドルの米ドルに対する下落 を見込んで積み上げた持ち高は、年初に85億カナダ・ドル(約8740億円)と 過去最高となった。景気が減速し、原油相場は昨年7月以降で33%下落したな か、カナダ・ドルは先週、1年1カ月ぶりの安値を付けた。

FXコンセプツのジョン・テイラー会長は「カナダ・ドルは悪材料には事 欠かない」と述べ、「原油や材木、銅の相場は今、荒れている。ヘッジファン ドの多くはカナダ・ドルから資金を引き揚げており、近々戻ってくる兆しは見 られない」と語った。

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、シカゴ商業取引所 (CME)ではカナダ・ドルの下落を見込んだ取引は1月9日時点で、上昇を 見込んだ取引を8万4906枚上回り、同月2日の7万4268枚から増加した。C FTCは1986年からこのデータを公表している。

カナダ・ドルは1月12日、1カナダ・ドル=0.8544米ドル(1米ドル=1.1704 カナダ・ドル)に上昇して終了。前週まで6週連続で下落していた。また、28 年ぶり高値となる0.9144米ドルを付けた昨年5月31日に比べて6%強安い水 準にある。カナダ・ドルは2006年、5年ぶりに下落した。

弱気広がる

外国為替市場のアナリストの間では、カナダの輸出の約54%を占める一次 産品の相場下落を背景に、カナダ・ドルに対する弱気論が広がっている。原油 価格は先週、1年7カ月ぶりの安値を付けた。銅相場は昨年5月の高値から36% 値下がりしている。9月と10月のカナダの経済成長率はプラスにならず、対米 輸出は減少した。10月の製造業出荷は3カ月連続で減少し、約2年ぶりの低水 準だった。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスはカナダ・ドルが6月までに1 米ドル=1.20カナダ・ドル、12月までに1.25カナダ・ドルに下落すると予想。 メリルリンチは9月までに1.20カナダ・ドルを付けるとみている。モルガン・ スタンレーは4-6月(第2四半期)末までに1.17カナダ・ドル、12月までに

1.20カナダ・ドルに下落すると予想している。

モルガン・スタンレー(ロンドン)のグローバル通貨調査責任者、スティ ーブン・ジェン氏は「カナダのビジネスサイクルは、投資家が同国通貨を支持 するような状況ではない」と述べ、「カナダ経済は減速しており、中央銀行は 近く利下げを実施する」と予想。「カナダ・ドル売りは引き続き賢明だ」と指 摘した。同氏は昨年7月にカナダ・ドルの上昇終了を正確に予想していた。

テクニカル分析

テクニカル分析を重視するトレーダーらは、カナダ・ドルは反発の可能性 があると見る。米ドルの対カナダ・ドル相場の相対力指数(RSI)は先週、 70を超え、米ドルの下落を示唆する水準となった。カナダ・ドル安を見込んだ 持ち高が過去最高となったことは、大半の投機筋がすでにそうした持ち高を積 み上げてしまったことを示す可能性があると、アナリストらは指摘している。

RBCキャピタル・マーケッツのチーフ外為テクニカルアナリスト、ジョ ージ・デービス氏は「1.1850カナダ・ドルを上回る水準を維持できず、1.150 カナダ・ドル付近まで米ドルが調整する可能性が高まっている」と述べた。

カナダ銀行のドッジ総裁は1月7日、カナダ・ドルの下落は「ファンダメ ンタルズ(経済の基礎的諸条件)」を反映したものであり、驚きではないと述 べていた。カナダの政策金利は4.25%で、米政策金利の5.25%を1ポイント下 回る水準。カナダ銀行の次の政策会合は今月16日に予定されている。

アルゴノート・キャピタル・マネジメントの運用担当者、デービッド・ガ ーステンヘーバー氏は「金利が米国よりも大幅に低く、工業の競争力は衰えつ つあり、資源価格はピークを打ったようであるため、カナダ・ドルの中期的な 見通しは暗い」と指摘し、「カナダ・ドルは過大評価されている」と語った。

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