ヘッジファンド:ハリウッド映画への投資を継続-利益の数値化は困難

ベンジャミン・ワイズブレン氏が米ヘッジフ ァンド、スターク・インベストメンツの映画投資部門責任者として解雇された とのニュースは昨年、ハリウッドの映画界に激震を与えた。

米映画界にとって、ウィスコンシン州に拠点を置くスタークなどヘッジフ ァンド各社が資金確保の一端を担っていたからだ。05年以来、ヘッジファンド やプライベート・エクイティ(PE、未公開株)各社は映画業界に45億ドル(約 5350億円)を投じ、興行成績は市場での運用成績を上回ると期待した。

米バラエティ誌はワイズブレン氏(49)が昨年5月に突然スタークを去っ たことについて、ハリウッドに出入りする資金の流れがいかに速いかを物語る 「指標」だと表現した。

企業破たんを専門とする弁護士としてアメリカ・ウエスト航空や旧ワール ドコムで債権者委員会を率いた経験がある同氏は、スタークの上司には華やか なハリウッドもほかの投資同様の構造に組み立てられると納得させていたが、 映画「ポセイドン」の興行収入が落ち込み、同社を去った。スタークの幹部ら はコメントを差し控えている。

ワイズブレン氏は現在、立て直しを図っており、映画投資の世界で再びキ ャリアを築こうとしている。同氏はヘッジファンドとハリウッド映画界を結ぶ コンサルタントのライアン・カバナフ氏に協力をあおぎ、ヘッジファンドやP E各社は依然としてハリウッドへの投資を積み上げている。

昨年11月にはメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)がユナイテッ ド・アーティスツ部門の経営で男優のトム・クルーズ氏らと契約したと発表し た。MGMの経営権は企業買収を手掛ける米プロビデンス・エクイティ・パー トナーズとテキサス・パシフィック・グループ、ケーブルテレビ(CATV)事 業者の米コムキャストやソニーの米国部門が握る。

ハリウッドに異分野から乗り込んだのはワイズブレン氏が初めてではない し、同氏が最後でもないだろう。現在、ハリウッド映画の制作費の最大3分の 1は投資家から集められた資金が充てられている。メリルリンチの業界アナリ スト、ジェシカ・リーフ・コーエン氏によれば、この額は年間で最大25億ドル にも上る。借り入れによってレバレッジを利かせれば、映画投資は20%以上も のリターンを生み出せるという。

映画「ブレアウィッチ・プロジェクト」の成功でハリウッドの名声を築い たアミール・マリン氏は「利益も出れば、損失も出る」と語る。現在はニュー ヨークを拠点にメディアや娯楽産業に投資するクオリア・キャピタルのマネジ ングプリンシパルを務める同氏は、ハリウッドへ資金を投じる投資家は透明性 を求めながら、多くの部分でそれを手にできていないと指摘する。

マリン氏は「多くの投資家がこうした投資で手痛い目に遭うのは偶然では ない」と述べた上で、映画「産業の利点は予測がつかないところにある。した がってそれを数値化することはできない」と強調した。