英バークレイズ傘下のBGI、クウォンツでヘッジファンドの巨人に

米サンフランシスコに拠点を置くバークレイ ズ・グローバル・インベスターズ(BGI)で3つのヘッジファンドを運用する ショーンナ・ジョンソン氏(39)が10月のある朝、コンピューターを起動させ ると、目の前には売買すべき日本株100銘柄のリストが現れた。

これらの銘柄は夜中のうちにBGI社員が「オプティマイザー」と呼ぶプ ログラムが自動的に選んだものだ。どの株を保有しどの株を空売りすべきか知 りたいとき、ジョンソン氏は世界中のほぼすべての銘柄に関する企業データや 変数を分析したこのプログラムに尋ねるのだという。

現在の資産運用で、BGIは最強の1社となっている。金融で博士号を取 得した者や数学者、それに量的分析、いわゆるクウォンツ分析の信奉者らが集 まっている。

BGIの運用資産はほぼ1兆7000億ドル(約201兆円)に達し、世界の年 金上位100基金のうち65に関与している。BGIの上場投資信託(ETF) 「iシェアーズ」は、3830億ドル規模に膨らんだETF業界でも傑出している。 こうしたBGIの実績は、親会社で資産規模で英銀3位のバークレイズが米国 の銀行と大規模な合併を狙っているとの観測の一因となっている。

BGIを率いるブレーク・グロスマン氏(44)は米スタンフォード大学で経 済を学んだ。エコノミストである同氏は、クウォンツ分析を用い、BGIをい つの間にか指数を基に投資する会社から、世界で最大級のヘッジファンド運用 会社へと変ぼうさせた。

ヘッジファンドの巨人

グロスマン氏は、年金基金のファンドマネジャーは株価上昇を待つだけで なく、空売りも仕掛ける必要があるとの戦略を得意としている。こうした両面 戦略はいわゆるロング・ショート・ヘッジファンドが採用している。同氏は、 「ロングだけへの投資とロング、ショート双方への投資を分ける境界線はこの 先数年間で絶滅する運命にあるとわれわれは考えている」と語る。

これまでのところ、グロスマン氏のクウォンツ分析はライバルに出遅れて いる。ヘッジファンドのコンサルタントが匿名を条件に述べたところでは、 2006年9月末まで株式や債券、為替などの資産に投資するBGIのヘッジファ ンド「グローバル・アセント」のリターンは03年7月の運用開始以降、手数料 を除きプラス36%となっている。これに対し、3000のヘッジファンドを対象と したクレディ・スイス・トレモント・ヘッジファンド・グローバル・マクロ指数 は同期間、プラス39%のリターンだった。

それにもかかわらず、ヘッジファンド資金はBGIに流れ込んでいる。シ カゴのヘッジファンド・リサーチによれば、昨年9月末までにはBGIはロン グ・ショート・ファンドに170億ドルを集めた。グロスマン氏は、「ヘッジファ ンドの巨人を目指しているわけではなかった」と言うが、それこそがBGIの 現在の姿だ。

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