中村ドコモ社長:日本通信の回線貸し出し要請に難色、解決策探る(2)

国内携帯電話最大手、NTTドコモの中村 維夫社長は27日夕、ブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、無線通 信インフラを借り受けてビジネスを行う仮想移動体サービス事業者(MVN O)の日本通信から、第3世代携帯電話(3G)回線網の貸し出しを要請され たことを明らかにした。ただ、通信網の容量には限界があるなどとして、受け 入れには難色を示した。

中村社長は日本通信が「ネットワークのひっ迫している東京などの都市部 で、法人向けにデータ定額制やインターネット常時接続などのサービスを行 う」可能性が大きいと指摘。こうしたサービスは利用急増による通信網の「パ ンク」を誘う、として、両者間で混雑緩和などの解決策を探る意向を表明した。

携帯業界では今年、10月の番号継続制度(MNP)導入による大手3社の せめぎあいが最大の話題となったが、来年のキーワードは「新規参入」と言え る。非対称デジタル加入者線(ADSL)会社イー・アクセスの子会社などが サービスを開始予定なのに加え、MVNOも本格解禁が予想されるからだ。

特にMVNOは、電波の周波数帯が限られ割り当ても通信網維持の責任能 力を持つ大手に絞られている中、多彩なコンテンツ(情報の内容)や技術力を 持つ企業にインフラ活用の道を開き、市場のすそ野を広げる手段として注目さ れている。それだけに、日本通信に対するドコモの対応は、業界動向を占う試 金石になる。

競争促進と混雑回避

日本通信は国内初のMVNOで、2001年10月にPHS大手DDIポケット (現ウィルコム)の回線網を借りて法人向けサービスを開始。3Gでも05年5 月に英ボーダフォン日本法人(当時)と回線網借り受けで基本合意したが、今 年に入って同法人がソフトバンクに買収されるなど状況の変化があったため、 実現していない。

ただ、MVNOに関しては、英ヴァージン・グループが手掛けるなど海外 では数多くの事例がある。総務省も9月に公表した今後の競争政策展開に関す る報告書で、日本の通信業界活性化に向け、促進する方針を明記している。

中村氏はこうした状況を踏まえ、MVNOへの回線網貸し出し自体には 「一度も反対していない」と強調。過度な混雑回避のため、常時接続ではなく 「2時間ごとに切断するなどの解決策」を日本通信に提示し、この条件を受け 入れた場合は、貸し出し要請に応じる余地もある、と語った。

12月は「大丈夫」

ドコモの月間契約者数は、10月のMNP導入に伴いKDDIが顧客獲得競 争に「独り勝ち」した余波で、11月に創業以来の純減となった。

中村社長は「まだまだMNPの影響はあるが、11月ほどひどくはない」と 説明。12月も純減が続くかについては「大丈夫では」と語り、2カ月連続の純 減は回避可能との見通しを示した。さらに「MNPの影響は来年1-3月まで は大きいと思うが次第に薄まり、通常時の戦いに戻る」と述べた。

来年は「スピード競争」

また、中村氏は来年の課題として、楽曲配信やインターネット接続など、 大量のデータ送受信が必要なサービスの拡充が他社との差別化のカギになると 強調。この認識に沿って「スピード競争」に力点を置く意向を示した。

ドコモは8月末に「3.5世代」とされる高速通信サービスのHSDPAを開 始した。しかし、同社やソフトバンクモバイルとは別規格の3Gを採用して先 行していたKDDIは今月13日、データ受信だけではなく送信機能を強化した

3.5世代サービスを開始、リードを保つ構えを見せている。

3.5世代の受信速度、来年度2倍に

中村社長は対抗策として「07年度中には、HSDPAの受信速度を現状の 2倍の最大毎秒7.2メガビット(メガは100万)にしたい。携帯から映像を送 るなどの需要が将来増えてくると思うので、送信速度も来年中には上げる」と 語った。

HSDPAの受信速度は、理論上は14.4メガまで出せる。しかし、ドコモ の現行サービスでは、導入から間もないこともあり、最大で3.6メガとなって いる。送信速度は一般の3Gと同じ最大384キロ。

半面、KDDIの3.5世代サービスは受信速度が最大3.1メガとHSDP Aよりも若干遅いものの、送信速度は1.8メガに達している。

ドコモ株価の28日終値は、前日比2000円(1.1%)高の18万8000円。

--共同取材 吉川淳子  Editor:murotani