インターネットのもろさ、台湾地震で浮き彫り-ケーブル分散の必要性

27日に台湾を襲った地震でインターネット 通信が一部不通となった事態は、世界中で11億人が電子メールのやり取りから ショッピング、仕事に使用するこのネットワークのもろさを浮き彫りにした。

台湾南部では27日、マグニチュード(M)7.1の地震が発生。余震も続き、 これで海底ケーブルが損傷を受けたことから、中国、シンガポール、香港の一 部でインターネットが使えなくなった。ケーブルを保有する通信各社は回線の 迂回(うかい)措置を取ったものの、電話やインターネットの復旧には数週間 かかるとしている。

通信を専門とするワシントンのテレジオグラフィーのリサーチディレクタ ー、アラン・モールディン氏は、今回の障害で、東西冷戦時代の技術から派生 したインターネットは核戦争といった大惨事にも持ちこたえるといった神話に 終わりが告げられるだろうと指摘する。

モールディン氏は、「インターネットは一種の仮想現実なので、これが物理 的なものから成り立っているという事実を人々は忘れがちだ。地震どころか、 漁船が誤ってケーブルを引っ掛けてしまっても影響が出る可能性がある」と語 る。

台湾最大の電話会社、中華電信やシンガポール・テレコミュニケーション ズは今回の通信障害への対応で、代替システムを利用している。

「今回の事件はシステムにとって最高の試験だ」と語るのはアムステルダ ムのインターネット取引所、AMS-IX・BVのマネジングディレクター、 ジョブ・ウィットマン氏だ。同社に加盟するインターネットサービスのプロバ イダーや通信各社約250社は相互にネットトラフィックを取引できる。同氏は、 「根幹を成す構造は非常にしっかりしているため、一部地域のユーザーが問題 を抱えても、インターネット全体が傷付くわけではない」と述べた。

米国防総省とのつながりが神話生む

インターネットの起源は1950年代遅くから1960年代にさかのぼる。当時、 科学者らは音声やデータ通信の障害を減らす方法として、データを小さなブロ ックに分割してから再現するパケット交換方式を開発した。これを基に米国防 総省はインターネットの前身となるアーパネットを作成。同省とのつながりか ら、インターネットは核攻撃にも耐えられるとの神話につながったという。

この神話について、英ウォーリック大学のマーティン・キャンベルケリー 教授(コンピューター工学)は、「特に核攻撃に耐えられるように設計されたわ けではない。ただパケット交換方式に基づいているので、多くの耐性を持って いる。それが都合良い副作用をもたらしているという感じだ」と語る。

モールディン氏によれば、台湾地震は海底ケーブルが通常よりも密集した 地域を襲ったため、被害が大きくなったと説明する。実際、04年にインド洋で 発生し、津波で22万人以上の命を奪ったM9.1の地震では、海底ケーブルに1 本の損傷も出ず、インターネット通信は通常通りに継続されたという。同氏は、 台湾地震は「最悪の」場所で発生したとし、海底ケーブルを分散させる必要性 が浮かび上がったと主張する。

アメリカン・テクノロジー・リサーチ(サンフランシスコ)のアナリスト、 アルバート・リン氏も27日付の顧客向けリポートで、「現在のケーブル接続と 代替の間接ルートでは不十分だ」との見方を示した。

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