バーナンキFRB議長:インフレ抑制で市場の信認得る-データが裏付け

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FR B)議長(53)は就任時よりも市場からの信頼を受けてこの年の暮れを迎える。

2月の就任当初は、インフレ退治の姿勢や金融政策に甘さが見られるとさ れたバーナンキ議長に、投資家は現在、高い信頼を置いている。米10年債利回 りは現在4.65%。8月に利上げを休止し、インフレ率は同議長が心地よいとす る水準を超えているにもかかわらず、同利回りは6月時点の5.25%から低下し ている。

同議長が今後もインフレの抑制を続けるとの市場からの信頼は非常に厚く、 トレーダーらは来年の利下げを予想するほどだ。これほど信用されている現状 は、4月の議会証言で利上げ休止を示唆し、その後、金融専門局CNBCの記 者に同証言内容が市場に誤解されたと話して、批判された就任当初の数カ月と は、雲泥の差だ。

JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、ブルース・カスマン氏は、 「バーナンキ議長率いるFRBは、中期的なインフレ目標達成と、実際の環境 下でより柔軟に対応することに全力を挙げていることをわれわれに示してくれ た」と語る。

バーナンキ議長はインフレが次第に鈍化すると予想していたが、これは現 実のものとなっている。連邦準備制度が注目する個人消費支出(PCE)価格 指数のコア指数は1-11月期で前年同期比2.2%上昇と、8月時点での2.5% 上昇を下回った。また、インフレ期待を図る10年物国債とインフレ連動米国債 (TIPS)の利回り格差も、27日時点で2.26ポイントと、5月に付けた今 年最大の2.74ポイントから低下している。

三菱東京UFJ銀行の上級金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏は、「連 邦準備制度が、インフレという悪霊を瓶から出してしまったという懸念がある とするならば、そんな懸念は市場には見当たらない」と断言。同氏はさらに、 「私は現在の米金融当局に高い評価を与える。17回連続という長い利上げ局面 の中で、いつ休止すべきかをきちんと把握していたからだ」と述べた。

批判から称賛へ

こうした称賛は今年早くには考えられなかった。バーナンキ議長は4月27 日、米議会の上下両院合同経済委員会での証言で、連邦公開市場委員会(FO MC)は景気とインフレに関するリスク判断が均衡する前に、利上げを休止す ることもあり得ると語った。これを一部投資家はインフレに対する姿勢の甘さ と受け止め、TIPSとの利回り格差は2週間で0.12ポイントも拡大した。

その2日後、同議長はCNBCのアンカー、マリア・バルティローモ氏に 対し、議会証言の内容を市場は誤解したと語る。これをCNBCが5月1日に 報じ、米国債相場は大幅に下げた。後になって議会から事の経緯を問われたバ ーナンキ議長は「私の判断ミスだった」と述べている。

もうひとつの失敗がある。上下両院合同経済委員会でのジム・サクストン 委員長宛ての書簡で、バーナンキ議長は、インフレ期待は「十分に抑制されて いる」と指摘。この内容が公表された5月25日には、同議長のインフレ認識が 現状からずれているとの見方が浮上し、米国債は下落した。

その後も利回りは上昇。バーナンキ議長は6月5日、最近のインフレ指標 の上昇は「歓迎できない」と言明。これまでにないほどの強い発言でインフレ に対抗する姿勢を示した。以来、インフレは鈍化傾向に入った。同議長はこの 記事に関してはコメントを差し控えた。

もっとも、米金融当局者や一部のエコノミストは、インフレのリスクは依 然として景気減速あるいはリセッション(景気後退)のリスクを上回っている と警告する。メリーランド大学のピーター・モリチ経済学教授は、「コアイン フレで良いニュースが2、3カ月続いたといっても、勝利宣言するには不十分 だ」と語った。