M&Aブーム:07年はさらに加速、すべての材料整い過去最高更新か

今ですら熱いM&A(合併・買収)市場 が、今後さらに熱くなりそうだ。

M&Aは今年、過去最高の3兆6000億ドル(約428兆円)に達したが、 これを来年上回るすべての材料が整っている。ブルームバーグ・データによる と、米国株の株価収益率(PER)は10年ぶりの低水準。買収に利用される ジャンク(高リスク・高利回り)債の利回りは、10年ぶりの低水準に近い(メ リルリンチ調べ)。モルガン・スタンレーの予測によると、レバレッジド・バ イアウト(LBO)会社には1兆6000億ドルの使える資金がある。

バンク・オブ・アメリカの証券部門でM&Aのグローバル責任者を務める ステファン・セリグ氏(43)は、「M&Aの活動に影響するすべての要因がこ れほど力強い状況は、わたしの仕事経験上、これまで見たことがない」と述べ た。同氏は1984年にファースト・ボストン入りし、M&A業界有力者のブル ース・ワッサースタイン氏やジョゼフ・ペレラ氏の下で働いた経歴を持つ。

バンク・オブ・アメリカとモルガン・スタンレー、ドイツ銀行、JPモル ガン・チェースの4社はすべて、買収が来年は10%以上増加するとの見通し を示している。ブルームバーグ・データによると、予想通りなら、企業や投資 会社向けの助言手数料は過去最高の240億ドルに達する見通し。

モルガン・スタンレーが企業経営者100人を対象に9月に実施した調査 結果によると、フォーチュン誌の大企業1000社に入る企業の最高財務責任者 (CFO)は、M&Aを最優先課題に位置づけている。昨年はM&Aは資本用 途で7番目に重要とされていた。UBSのロンドン在勤投資銀行共同責任者、 アレクサンダー・ウィルモットシットウェル氏(45)は、進行中のM&Aは 「著しく」多いと指摘する。

今年は、買収観測で英ボーダフォン・グループや英バークレイズ、仏エア・ リキードなどの欧州企業の株価が上昇した。鉱山会社のアングロ・アメリカン に対する買収観測も浮上していると、UBSのアナリストらは15日付のリポ ートで指摘している。米国では今月、総額1700億ドル相当のM&Aが発表さ れている。

M&Aを取り巻く環境がこれほど好調になったのは、ドレクセル・バーナ ム・ランベールのジャンク債責任者だったマイケル・ミルケン氏が敵対的買収 を支援していた1980年代後半以来だ。当時は10年物米国債利回りが現在の

4.59%のほぼ2倍であったため、M&Aのコストは高く、10億ドルを超える 投資資金を持つ投資会社は5社に過ぎなかった(モルガン・スタンレー調査) が、現在では、115社に上る。

プライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社による取引は過去 最高を記録している。ブラックストーン・グループやカーライル・グループ、 コールバーグ・クラビスなどのLBO会社が今年発表した買収は総額7350億 ドルと、05年の約3倍。

高利回り債の需要が好調なことも、投資会社の買収資金調達を容易にして いる。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、今 年のレバレッジド・ローンは約4730億ドルと、2005年に比べて60%増加し た。ジャンク債の発行額は50%増の1990億ドル(ブルームバーグ・データ)。

JPモルガンのM&A担当会長、デニス・ハーシュ氏は、「クレジット市 場の現状や、企業収益の伸び、PE会社の買い余力を見れば、来年も記録的な 年になる可能性が高い」と語った。

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