ゴールドマン7年ぶり首位奪還へ、FA実績で06年-外国勢の活躍顕著

日本企業が関係したM&A(合併・買収)の 財務アドバイザー(FA)関与総額で、ゴールドマン・サックスが7年ぶりに首位 の座を奪還する公算が大きくなった。JTによる英ギャラハー買収という2006年 の国内最大案件に携わったのが寄与する。世界のすう勢に沿って日本企業のM&A も国際化と大型化が進み、ノウハウに長けている外国証券のFA活躍が目立つ。

M&Aでの買い手、売り手または対象企業や事業に日本企業が関係している 2006年の開示案件をブルームバーグ・ニュースが27日時点の速報として集計した。

ゴールドマンは15日に表面化したJTの2兆円超のギャラハー買収で、ギャ ラハーFAの1社を務めた。今年2位案件のソフトバンクのボーダフォン日本法人 買収でもソフトバンクFAの1社になり、集計時で2位以下を大きく引き離してい る。

世界最大手のゴールドマンは日本でのFAで、1999年にトップとなった以降は やや順位を落としていた。03年には上位10位からも姿を消していた。06年もJT 案件前までは3位だったが、この1件で一気にシティグループとUBSを抜いた。 それまでトップだったシティは3年ぶりの首位奪還を逃すことになりそうだ。

M&Aに精通している西村ときわ法律事務所の岩倉正和弁護士は「外国証券は 日本での事業体制強化に注力しており、国境をまたぐクロスボーダー案件はもちろ ん国内案件の獲得も目立っている」と指摘した。日本企業がより透明性をもったM &Aを志向して、外国証券をFAに起用するケースもあるとしている。

21日に明らかになったHOYAとペンタックスの経営統合のFAは、UBSと モルガン・スタンレーだった。

M&A調査会社レコフによると、日本企業関連のM&A公表額は1-11月で 11兆4000億円超と前年同期比で12%増加した。12月のJT案件を加えると06年 は04年の過去最高(12兆4000億円)を更新した。日本企業が海外企業を買収する 案件は11月までで5兆3300億円と同3.7倍に拡大した。

外国勢独占

オランダのミタル・スチールがルクセンブルクのアルセロールを買収した06 年の世界のM&A市場は「過去のピークの2000年に迫る勢いで拡大しており、ク ロスボーダー案件が活発になっている」(みずほ総合研究所リポート)。こうした 世界のM&Aの基調が日本でも顕著になっている。

これを反映して日本企業関連のFAは、幅広いネットワークや交渉力・実績を 生かして外国企業が上位を占めている。首位ゴールドマンを含めて上位3社が外国 証券になった。FAトップ3を外国勢が独占するのは2000年以来6年ぶり。

国内証券でトップはみずほの5位、続いて野村ホールディングスの6位だった。 みずほはソフトバンク案件に関与したことが実績を膨らませた。一方、04年と05 年に連続首位となった野村HDは、JTとソフトバンクの案件のいずれにも携われ ずに順位を落とした。

いわゆる三角合併を可能にする会社法の合併等対価の柔軟化が、07年5月に施 行される。時価総額の大きい外国企業が日本法人を設立、そこを拠点に日本企業を 買収・合併する際に自社株を割り当てることが可能になる。日本経団連は「敵対的 買収の誘引となる可能性がある」として、対価が日本の取引所に上場していない株 式の場合は株主総会での決議要件を厳しくすることを提言している。

この点については、一橋大学大学院(国際企業戦略研究科)の服部暢達・客員 教授が、三角合併はあくまで取締役会が賛成しなければプロセスが進まない手続き で、日本の取締役会は買収提案に反対し続けることが許されるのが現状として「経 団連の懸念は杞憂」と指摘した。

とはいえ外国企業による日本企業のM&Aは選択肢が広がることに間違いはな い。さらにプライベート・エクイティ(PE)を中心とする「金余り現象」が日本 でのM&Aを後押しする。日本市場での外国勢FAの活躍する余地は引き続き大き そうだ。

   【2006年のFAランキング】(日本企業関係で27日時点の集計、百万ドル)
     順位      社  名                                 関与総額  件数
      1.ゴールドマン・サックス                      49039.76    20
      2.シティグループ                              39951.13    34
      3.UBS                                      32019.02    20
      4.メリルリンチ                                26412.64    17
      5.みずほ                                      25526.34    68
      6.野村ホールディングス                        23059.67   141
      7.ドイツ銀行                                  19734.14    8
      8.デロイト・トウシュ・トーマツ                19691.47    16
      9.ドレスナー・クラインオート                  19227.79    3
      10.グリーンヒル・アンド・カンパニー            19019.60    1

--共同取材:東京 高橋 学、 日向 貴彦 Editor : Asai

田口 敦子 Atsuko Taguchi +81-3-3201-2252 ataguchi1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net Peter Langan +81-3-3201-7241 plangan@bloomberg.net

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