世界の中銀:来年は「退屈な」金融政策から脱却か-金利予想ばらばら

イングランド銀行のキング総裁は、金利の 動きは投資家が金融政策を「退屈」と感じるほどに予想可能であるべきだとの 持論の持ち主だ。2007年についてのエコノミスト予想を見る限り、世界の中央 銀行はキング総裁の理想を実現できそうにない。

1年前には、エコノミストはほぼ全員一致で、米国と日本、欧州での06年 の金利上昇を予想し、それは的中した。しかし来年は、誰かの予想が大きく外 れることになりそうだ。インフレ高進のリスクと成長減速のリスクがほぼ均衡 しているなかで、世界の景気変動は今年よりもはるかに振れが大きくなると見 込まれる。

国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は21日のインタビュ ーで、「多分、状況はそんなに退屈なものにはならないのではないか」と語っ た。

ゴールドマン・サックス・グループは、米金融当局が現在の5.25%から、 来年中に4.5%まで利下げをすると予想。一方、バークレイズは6%への利上げ を予想する。ABNアムロ・ホールディングは欧州中央銀行(ECB)が2回 の利上げで政策金利を現在の3.5%から4%にすると予想。一方、ドイツ銀行は、 ECBが来年末までには利下げに転じると予想する。日本銀行とイングランド 銀行の政策についても、予想は同様に分かれている。

ロンドンの金融コンサルタント、アビナシュ・パーサウド氏は「このよう に予想が分かれるのは久しぶりのことだ」と話す。

今年は金利の動きが予想しやすかったことから、シカゴ・オプション取引 所のSPXボラティリティ指数が示す米株相場のボラティリティは10年間で最 低に近かった。しかし、状況は変わる見通しだ。メリルリンチがファンドマネ ジャー210人を対象に実施した調査では、回答者の77%が07年のボラティリテ ィ上昇を予想した。

エコノミストの金利予想の土台となるのは、米景気後退の度合いと、米減 速のなかで世界経済がどの程度持ちこたえるかだ。米成長は住宅と自動車需要 の低迷を背景に06年7-9月(第3四半期)には2%まで鈍化した。

米国

07年4-6月(第2四半期)の米利下げを予想するゴールドマンは「06年 に顕著だったインフレの脅威は過ぎ去ったことを示すデータが増えている」と し、「トレンドを下回る成長が続く」と予想する。

バークレイズ・キャピタルの米国担当チーフエコノミスト、ディーン・マ キ氏は逆の見方を示し、住宅市場の落ち込みは間もなく終わり、バーナンキ米 連邦準備制度理事会(FRB)議長の安心ゾーン(1-2%)を上回るインフ レが続くとみている。

今から半年後のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の予想は3% から5.75%まで開きがある。1年前にエコノミストらが示した06年6月末の予 想は最高と最低で1ポイントの差しかなかった。07年第2四半期の成長率予想 も1.4-4.3%と幅があり、2-4.5%の間に収まっていた1年前の予想とは対照 的だ。

欧州

景気予想に20年の経験を持つリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの 欧州担当チーフエコノミスト、マイケル・ディックス氏も「こんな極端な予想 は見たことがない」と話す。米国以外についての予想は、米国から各国・地域 が受ける影響についての意見の相違を反映し、さらに複雑になる。

ドイツ銀行の欧州担当チーフエコノミスト、トマス・マイヤー氏は米国が ユーロ圏の景気を6年ぶりの好調から減速させると予想。ユーロ高に加え、ド イツとイタリアの増税からの影響も見込んでいる。「欧州には強い向かい風が 吹いている」と同氏は述べた。

一方で、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会も含め、米景気減 速の欧州への影響は大きくないとの見方もある。ABNアムロのエコノミスト、 ダリオ・パーキンス氏は、欧州の需要は拡大しているとして、同地域のインフ レ率はECBが目安とする2%弱を上回る水準にとどまると予想。「景気には まだ勢いがあり、ECBは引き締めに傾いた姿勢を維持するだろう」と話した。 同氏は来年半ばまでに4%への利上げを予想している。

同氏はイングランド銀行についても、現在の5%から利上げを予想。一方、 英国が同国の景気を米国と切り離せる保証はないと考えるドイツ銀のマイヤー 氏は逆に、来年の利下げを予想している。

日銀

日銀の政策についても事情は同じだ。JPモルガン証券の菅野雅明調査部 長は、現在0.25%の日銀の政策金利が、来年中に1%に達すると予想。企業景 況感は改善し、労働市場も引き締まりつつあると指摘した。一方、みずほ証券 のチーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は06年第3四半期の消費の弱さ や成長率が政府予想の半分以下にとどまったことを挙げ、日銀は利上げをする 前により多くの指標を確認する必要があると指摘。次の利上げは早くても07年 10月とみている。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの英国投資責任者、 リック・ラカイユ氏に言わせれば「誰も確信が持てない状態」。「ボラティリ ティが高まる条件はすべてそろっている」と同氏は述べた。

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