日興:首脳が引責辞任、新社長に桑島氏-監視委の判断容認へ一転(5)

日興コーディアルグループは25日、不適 切な会計処理による利益水増し問題の責任をとり、26日付で金子昌資会長 (67)と有村純一社長(57)がそれぞれ辞任し、後任の社長に桑島正治取締役 兼執行役(51)が昇格する人事を決めたと発表した。同時に事実を究明するた め外部の専門家を中心とした特別調査委員会の設置も決めた。

同日昼、東京都内の本社で記者会見した有村社長は「組織として不正利益 を計上したとみなされても仕方ない」として、一社員の単純なミスが原因だっ たとの見方を転換。また、損失が発生していた孫会社についても「連結対象か ら外したのは不適切だった」と認識を変えた。金子会長は「グループ内の隅々 まで内部監理体制が行き届かなかった」と経営責任を認めた。

業務に支障、正常化へ総合判断

日興は18日、個人的なミスによる子・孫会社間の不適切な会計処理があり、 2005年3月期決算を記載した有価証券報告書を訂正すると発表。一方、証券取 引等監視委員会は同報告書の虚偽記載で5億円の課徴金納付命令を金融庁に勧 告していた。しかし、訂正原因については組織的な関与を指摘する監視委と認 識の食い違いが生じていた。

辞任の理由について有村社長は「資本市場を担う者としてその後(18日以 降)の様々な状況を総合的に考え責任を明確にした。グループ全体の経営を一 日も早く正常に戻したい」と述べた。今回の問題を受け、同グループではすで に複数の引き受け案件に悪影響が及んでいるほか、リテール営業マンが顧客か ら叱責を受けるなど業務への支障が出ているという。

また、金子会長は会見で、監視委の説明による不正の事実認定を受け入れ、 課徴金を納付する、との趣旨の答弁書を25日に金融庁に提出し、同庁もこれを 受理したことを明らかにした。

投資家、コンプライアンス改善求む

日興は18日の訂正発表と併せて有村社長ら首脳の報酬減額などの社内処分 を発表していたが、その後も山本有二金融担当相が22日の記者会見で経営責任 に言及するなど外部からの圧力が強まっていた。日興ではベルシステム24の買 収のための債券取引で子会社の評価益だけを計上して評価損を出した孫会社を 連結から外し05年3月期の純利益を100億円以上水増ししていた。

欧州の機関投資家や国内富裕層を顧客に持つコマツ・ポーフォリオ・アド バイザーズの小松徹代表取締役は、「われわれは会社の財務諸表のみに頼って アドバイスをし、投資家はそれを受け売り買いしているだけに、今回の事態極 めて重要な問題だ」と指摘。そのうえで「新社長は信頼の回復が最大の課題で あり、内部管理体制の改善に全力を注ぐ必要がある」との見方を示した。

日興コーデの株価は有報を訂正すると会見した18日以降の3日間で23% 下落し20日には1188円と年初来安値をつけた。25日の株価終値は11円 (1.0%)高の1270円と持ち直している。東京証券取引所は18日に日興コーデ 株を上場廃止基準に抵触する恐れがあるとして監理ポストに割り当てている。

●桑島正治(くわしま・しょうじ):1977年東工大工卒、日興証券(現日興コ ーディアルグループ)入社、04年日興コーディアルグループ執行役、06年同取 締役兼執行役。システムやIT(情報技術)担当など技術畑が長い。51歳。