投資テーマは水と農業、代替資源、ドイチェ新ファンドの設定898億円

ドイチェ・アセット・マネジメントは20 日、世界人口の増加から有望視される「水」「農業」「代替エネルギー」の3 つをテーマとした投資信託「日興・DWS・ニュー・リソース・ファンド(愛称: ライジング・トゥモロー)」を新規設定した。同社・広報部によると、当初設 定額は897億9380万円。これらのテーマを同時にカバーする投資信託は国内で 初めてで、販売は日興コーディアル証券が行っている。

ドイチェ・アセットの関崎司社長は、「環境問題や限りある化石燃料など、 身近に感じ、かつ重要な理由が分かりやすいマルチテーマ型ファンド。投資信 託を初めて購入される方にも受け入れられやすいだろう」と語った。

「ライジング・トゥモロー」は、ドイチェ・アセット・マネジメント・グ ループの投資信託会社、独DWSが今年2月に運用を開始したルクセンブルグ 籍の外国投信「DWS インベスト ニュー リソース」など2本の概念を日本に持 ち込んだ。2本の純資産総額は10月末現在で6億9000万ユーロ。国連による と、世界の人口は2005年の65億人から2050年には91億人に急増する見通し。 エマージング(新興経済)諸国の急速な経済成長も手伝い、水や穀物、エネル ギー需要の増加が予想される。しかし、予想される需要の増加に供給が追いつ くかは楽観視できない。

飲料可能な水は1%

DWSのディレクター、ニコラス・フーバー氏は、世界の人口がこの100 年で3倍になったのに対し、水の消費量は7倍に達したことを挙げ、「飲料だ けでなく、使途の7割を占める農業における重要性も高く、今後も水関連製品 やサービスに対する需要の増大が予想される。水不足の問題解決に役立つセク ターや企業は、投資先として有望」と見ている。

人間の生存に欠かせない水は、地表の75%を占めるものの、飲用可能な水 はわずか1%、しかも、その3分の2は汚染されているという。飲料水不足で、 多くの人々が不自由する新興国ではインフラ新設が必須。米英をはじめ早くか ら上下水道を整備した国では、水道管の老朽化で失われる水が増加しており、 更新や追加が必要だ。飲料用の水道管のインフラ整備に必要な投資額は、米国 だけで今後20年間に1兆ドル(約117兆円)との試算もある。

フーバー氏は、水の量とインフラ、品質が求められる現状を踏まえ、水関 連企業の定義として、1)排水と管理、2)浄水、3)水効率(需要)、4) 飲料水と栄養――などを挙げた。関連銘柄には、日本の水処理専業メーカー、 栗田工業や、装置製造・エンジニアリングの米ITTコーポレーション、公共 セクターの英AWGなどがある。

食糧不足は人口増とグルメ化

水と並ぶ必需品は食糧。人口増加だけでなく、新興国の生活水準向上に伴 うグルメ化で穀物の需要は増す一方だ。しかし、地球温暖化に伴う砂漠化の進 展で農業に適した土地は増えにくく、小麦の栽培面積は80年代をピークに減少 傾向。1人当たりの農地面積も減り、生産の効率化が求められている。

生産性の向上を実現するのは肥料や種子、害虫駆除剤、土壌改良、バイオ テクノロジーといった分野。このためファンドでは、種子の製造、開発、肥料 や殺虫剤などの開発、農業機械の製造や農業関連サービスの提供、食品製造や 素材セクター関連――といった農業関連企業を投資先に定めた。関連銘柄は遺 伝子組み換え(GM)穀物開発最大手の米モンサント、農業化学品メーカーの スイスのシンジェンタ、農業用化学品メーカーの加ポタシュ・コーポレーショ ン・オブ・サスカチワンなど。

代替エネルギーの必要性高まる

3つの投資テーマのうち、最も身近なのがエネルギー問題だ。原油価格の 高止まりがガソリン価格の高騰として庶民の懐を直撃。石油は元来限りある資 源だが、近年大規模な設備投資を行わなかった結果、生産がすでにフル稼働状 態で、高まる需要に供給が追いつけない状況になろうとしている。そのため、 代替エネルギー(再生可能エネルギー)として「太陽光、風力、水力が無限の エネルギー源として注目されている。代替エネルギーの大半が今後数年のうち に、2けたの成長を達成すると期待される」(フーバー氏)という。

中国政府は11月、原油への依存度を低下させ、太陽光や風力、バイオマス (生物資源)など再生可能な資源の利用を拡大するため、2020年までの15年 間に1兆5000億元を投資する計画を表明。特にバイオディーゼル燃料やエタノ ール関連の合弁事業など、バイオマス生産プロジェクトを助成する方針だ。

代替エネルギー関連銘柄は、デンマークの風力発電企業ベスタス・ウィン ド・システムズ、スペインの環境テクノロジー企業アベンゴア、日本の化学メ ーカー、トクヤマ、ソーラー技術の独ソーラーワールド。フーバー氏が最も重 要視するのは、資源の不足度が高く、かつ高い技術力が必要な製品。シリコン やろ過、水上風力発電などがこれに該当する。

原則は3テーマに均等分散

運用に当たってはトップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ を併用。テーマ別組み入れ比率は原則3分の1ずつだが、株式相場の見通しに よって上下10%程度動かす。相場に強気の場合は、高ベータのエネルギー関連 株の比率を高め、弱気の時はベータ値が低い水関連を増やす。

ボトムアップ・アプローチでは、3つの投資テーマのいずれかに合致した 企業で、株式時価総額が2億5000万米ドル以上の約700銘柄について、投資テ ーマに関連した売上高の構成比が20%以上の銘柄を中心に400銘柄に絞り込む。 経営陣の質と参入障壁の高さを重点に、収益動向や財務体質、戦略的または地 域的な優位性を持つか――といった定性評価を加味し、最終的に60-80銘柄で ポートフォリオを構築する。

「DWS インベスト ニュー リソース」は10月時点で、加ポタシュ・コーポ レーション・オブ・サスカチワンや、スイスのシンジェンタ、米モンサント、 独K+S、水道会社の西ソシエダー・ヘネラル・デ・アグワス・デ・バルセロ ナなどに投資している。