日本の小型株の不振、世界の07年株式市場の展開先取りか-景気減速

世界の株式相場の今後の動向を日本市場は 先取りしているのかもしれない。同市場では、景気減速を背景に、投資対象が 小型株からキヤノンやスズキといった大型株へ移っている。

一方、欧米市場では、時価総額が中央値で約6億5000万ドル(約767億円) 相当の小型株は年初来で大型株を上回る上昇基調にある。日本以外では、GA Mホールディングやゴールドマン・サックス・グループが予想したような大型 株の成績がベストといった展開にはならず、ここ6年の傾向が逆転した。

ニュー・スター・アセット・マネジメント(ロンドン)で5億ドル(約590 億円)を運用するグレッグ・カー氏は、日本市場は今後の危険を知らせてくれ る「炭鉱の中のカナリアのような存在」と指摘する。「私は株式市場全体につ いて神経質になっているが、小型株が相場下落を先導すると思う」と語った。

時価総額(中央値)が8164億円の銘柄で構成する日経平均株価は年初来で 5%上昇。1178銘柄の小型株で構成する東証小型株指数は12%下落している。

日本以外の主要市場では、小型株は大型株よりも好調だ。米国では、時価 総額(中央値)が6億4600万ドルの銘柄で構成するラッセル2000種指数は年 初来で18%上昇し、S&P500種株価指数の14%上昇を上回っている。欧州で はダウ小型株指数は同30%上昇。これに対し、大型株指数は16%上昇にとどま っている。両指数ともに200銘柄で構成されている。

景気が減速すると、投資家は通常、大型株に目を向けることが多い。日本 の7-9月期の経済成長率(改定値)は年率換算で0.8%となり、1次速報から 下方修正された上、1-3月期の2.7%を大きく下回った。経済協力開発機構(O ECD)によれば、成長率は今年の2.8%から来年は2%へ下がる見通し。

堀江ショック

日本で小型株が売られるようになった元凶はIT(情報技術)関連企業ラ イブドア社長の堀江貴文容疑者が1月に逮捕されたことにある。同容疑者は無 罪を主張している。

GAMで日本株40億ドル相当を運用するローワン・エワートホワイト氏 は、「日本の新資本主義の申し子と見られていた堀江氏逮捕で、小型株投資か らはしごが外された感じになった」と語る。

そして5月になると、円相場が対ドルや対ユーロで下落。これでトヨタ自 動車やホンダなど海外収益が大きい大型株に投資家が目を向けるようになっ た。 野村インターナショナルのチーフポートフォリオ・ストラテジスト、フィリッ プ・ローラー氏によれば、円安は輸出企業に有利だが、中小企業は内需に左右 される傾向が強く、大企業の収益が7-9月期に約18%増となったのに対し、 小型株銘柄は1%増に過ぎなかった。

予想はいよいよ的中か

GAMは今年の大半、小型株が大型株の成績を下回り始めると予想。ただ、 日本以外では小型株はこれまで好調に推移してきたため、エワートホワイト氏 は「われわれの予想はちょっと早過ぎた」と認める。

ただ、その予想はいよいよ的中し始めているのかもしれない。4月末以来、 米S&P500種株価指数は9.3%上昇。対するラッセル2000種指数は4.2%上昇。

この逆転について、約300億ドルを運用する米フォート・ワシントン・イ ンベストメント・アドバイザーズのニコラス・サージェン最高投資責任者(C IO)は、「米経済が減速し、景気に対する不透明感が高まったため」と指摘 する。同氏は大型株への投資は景気減速時によくあると述べた。米国の7-9 月期の成長率は年率2.2%と、1-3月期の5.6%を下回っている。

サージェン氏はさらに、「景気サイクル以外に私を含むストラテジストが 現在、大型株に目を向ける理由は相対的に割安だからだ」と続けた。同氏が大 型株の動向を占う上で参考にしているラッセル1000種指数のここ1年の株価収 益率(PER)は18.4倍。これに対しラッセル2000種指数では37倍だ。

ゴールドマンのストラテジストは米経済がさらに減速するとして、来年の 大型株投資を推奨している。同社の07年米成長率見通しは2.1%で、今年の3.3 %を大きく下回るという。

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