ソニー中鉢社長:PS3の年度内出荷目標600万台は「射程内」(4)

ソニーの中鉢良治社長は14日、ブルームバ ーグ・ニュースなどとのインタビューに応じ、次世代家庭用ゲーム機「プレイス テーション3(PS3)」について「年度内の出荷目標600万台は射程距離内で あり、変更する必要はないとみている」と述べた。

中鉢氏はPS3の生産状況が「量産立ち上げで、所定のレートに達してい る」として、年内に日米で200万台、来年3月末までには欧州も加えて600万台 という現在の出荷目標の達成は可能と強調した。

ただ、欧州での具体的な発売時期に関しては「1日も早く商品を届けたい」 としながらも「どういう風に発売するかは(ゲーム子会社の)ソニー・コンピュ ータエンタテインメント(SCE)が中心」として、詳細な言及を避けた。

ソニーは今期(07年3月期)のゲーム事業で、2000億円近い営業赤字を予 想している。部品調達の遅れでPS3の発売が当初予定の半年後である今年11 月にずれ込んだことから開発負担回収が遅れ、携帯ゲーム機でも任天堂に押され ているためだ。

この実情を踏まえ中鉢社長は、PS3について「基幹部品のコスト削減のア イデアは持ち合わせている」としたうえで「ハードのコストダウンと、ソフトの 充実で事業を展開したい」と語った。

SCEの「4枚看板」

SCEでは1日付で、久多良木健CEO(最高経営責任者)が社長から会長 となり、北米子会社の平井一夫社長が社長兼COO(最高執行責任者)に昇格し た。中鉢氏はこのトップ人事について「PS3発売でゲーム事業が非常に拡大し ている状況下で、体制を強化した」と説明した。

さらに今回の人事に伴い、SCEの代表取締役が2人から4人に増えたこと に関連して、この「4枚看板」により、任天堂などとの間で「ゲーム業界での生 き残りをかけた戦いをしていきたい」と語った。

再建の目標「変更なし」

中鉢氏はまた、ハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)の 体制下で経営目標に掲げている来期(08年3月期)の連結営業利益率5%につい ても「変更はしない。現在、旗を降ろすとか上方や下方に修正するとかいうこと はない」と強調した。

今期の営業利益率は0.6%と、改革初年度だった前期の2.6%よりも大きく 落ち込む見込み。ゲーム不振に加え、ノートパソコン向け充電池の不具合発生に 伴う回収負担発生が響いている。中鉢氏は充電池問題について「回収対象台数 960万個と回収見込み費512億円は、現在でも変更はない」と語った。

液晶カルテル問題、調査要請ない

中鉢社長はまた、日米欧韓の当局が液晶パネルの価格カルテルの疑いで先週 から、各メーカーに報告を要請する形で調査に乗り出していることについて、 「看過できる問題ではない」としながらも、ソニーとしては「調査報告の要請は 受けていない」と述べた。

さらに、液晶事業の合弁相手であり、調査対象となっている韓国のサムスン 電子からも、この件で「連絡はない」と語った。

「セル」の転用、検討中

また同社長は、半導体投資について「3年間でゲームを主な対象として 5000億円やってきたが、PS3も発売されたし、今後の投資はディスブレーな どのデバイス中心になっていく」と述べた。今後の投資額に関する言及は避け たものの、こうしたデバイスへの需要が根強いことから「供給キャパシティー 確保のための能力増強というステージがしばらく続くのでは」と語った。

PS3の中核部品で、東芝や米IBMと共同開発した高性能の超小型演算 処理装置(MPU)「Cell(セル)」について中鉢氏は、家電への転用の 可能性を昨年から探っているとしながらも「ゲーム用のものがすぐにCE(コ ンシューマーエレクトロニクス)機器に搭載されるものではない。ゲーム、放 送用を含め、どういうチャンスがあるか検討している」と述べた。

また、半導体投資の性格について「CCD(電荷結合素子)よりもデジタル カメラなどに使うCMOS(相補性金属酸化膜半導体)に傾斜していくと思う」 と語った。

ソニー株価の14日終値は、前日比90円(1.8%)高の4970円。