財務相:一般歳出3年ぶり小幅増へ、国債大幅減も-インタビュー(2)

(最後の3段落を追加します)

【記者:伊藤辰雄・乙馬真由美】

12月8日(ブルームバーグ):尾身幸次財務相は8日、ブルームバーグ・ニ ュースとの単独取材に応じ、2007年度予算の政策的経費である一般歳出につい て、社会保障費の自然増などにより、前年度から3年ぶりに前年度比若干増加 するとの見通しを示す一方、新規国債発行額については2兆円以上の大幅削減 が実現できるとの見通しを示した。

一方、日本銀行の金融政策については、これまでの政策運営を評価したう えで、引き続き金融面から経済の下支えをしてほしいとの考えを強調。また諸 外国が外貨準備などの構成通貨などとして「円」を保有することは歓迎すると の意向を示した。ただ、政策的に促進することは適当でないとの見解も示した。

尾身財務相は07年度予算の一般歳出規模について、「社会保障が高齢化に 伴って、何もしなければ7700億円の増加支出がある。これを2200億円削って 5000億円にとどめる方針を決めている。電源特会(特別会計)は今まで特別会 計別だったのを一般会計経由にするため3000億円くらい増える」と指摘。その 上で「この増加要因があるので最終的な支出は、いくらか上昇する。ただ歳出 のGDP(国内総生産)比率は下がると思う」と語った。

06年度予算の一般歳出は、05年度比10.9%減の46兆3660億円と、2年連 続で前年度以下に削減していた。財務相が若干増加すると指摘した背景には、 06年度予算では、国と地方の三位一体改革に伴う税源移譲で削減効果(約1兆 2000億円)があったが、07年度予算ではそうした要因がなくなることがある。

新規国債発行額の削減について財務相は、「大幅に減らすべきとの首相の 指示もあり、実現できると考えている」としながらも、「大幅がどれくらいにな るかは、今、申し上げられない。1兆(円)や2兆(円)ではない。それ以上 の国債発行額の縮減はできる。また、しなければならない」と強い意欲を見せ た。

さらに「プライマリーバランス(基礎的財政収支)も06年度では11兆円の 赤字だったが、この数字も縮減する。従って財政全体の姿は好転する」と指摘 し、「収入増もあるが、支出については極力、無駄を省く方向で予算編成する が、健全化の方向に一歩進める予算にしたい」と強調した。

また政府が掲げる2011年度の基礎的財政収支の黒字化についても、「今ま でわれわれが考えていたよりも、速いペースでプライマリーバランスの黒字化 が実現できるのではないかと思っている。2011年度までに確実に実現できると 思っている」との見通しを示した。

金融政策

日本経済の状況については「企業利益が高いが、これが雇用者の収入増ま で跳ね返ってこないという問題がある。ただ、雇用者の数も徐々に増えてきて いるし、有効求人倍率も1を超える状況になっている中で、徐々に高い企業利 益が消費者に波及してくるだろうと思っている」と指摘。そのうえで、「それが 今やや停滞している消費を引き上げる要因になると期待している」と語った。

また日本銀行の金融政策については、「景気回復を持続可能なものにする ために、日銀が金融面から経済を支える考えをとっていただいていることは高 く評価している」としたうえで、「金融面から経済を下支えしてほしいという 基本的なトーンは変わっていないが、具体的にどういう政策をとるか、私のほ うから注文を出したり、コメントするのは適当でないと思っている」と語った。

政府・日銀の意思疎通については、「経済の状況については、先日の昼食会 も含め、常時意見交換している。その意見交換は緊密にやっていきたいと思う」 と述べ、今後も経済政策で日銀と連携していく姿勢を示した。

為替

仮に日銀が利上げに踏み切った場合、金利の低い円を元手に高金利通貨に 投資する「円キャリートレード」への影響については、「引き上げた場合どうな るかを、ここで言うのは適当でない。個々の日銀の政策について言わないとい うのと同じに考えてほしい。基本的には経済を持続的な成長が実現できるよう にしてほしい」と述べるにとどめた。

ユーロが決済・投資・外貨準備通貨として存在感を高めていることに関連 し、円について財務相は「いろいろな国で円を保有していただくことは、歓迎 する。ただ、それを政策的に推進することは、必ずしも適当でない」と指摘。 また為替相場については「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映 したものになるのが望ましいとの基本的な立場を取っているが、個々の水準に ついてコメントすることは適当でない」とこれまでの見解を繰り返した。

来年度に期限を迎える株式の譲渡益・配当課税の軽減税率の廃止について は、「株価は1万6000円台になっている。そういう意味では定率減税と同じよ うに緊急異例の事態は終わった」と言明。「定率減税は今年限りでやめる。証券 税制もやめるという答申を政府税調から頂いているので、われわれはそういう 考えだ」と述べた。

そのうえで、「ただ問題は10%から20%に上げることで、駆け込み的な株 の放出が行われることは困る」 と述べ、来年末まで取得した株式の利益に限り、 再来年以降売却した場合でも譲渡益課税10%の軽減税率を適用する考えを示し た。

法人税の実効税率の引き下げに関しては、「企業が国を選ぶ時代になった。 グローバリゼーションの中で、イコールフッティング(同じ土俵)の税制を提 供することが、日本という国が企業活動の拠点として選ばれる」と述べる一方、 「財政状況が非常に厳しいので、中長期的な課題になる」と語った。

共同取材:萩原由紀子--Editor:Ozawa

David Tweed +81-3-3201-2494 dtweed@bloomberg.net

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