新日鉄副社長:亜鉛鋼板の新設備は余剰化せず-アジア設備は検討課題

世界鉄鋼2位、新日本製鉄の宗岡正二副 社長は、ブルームバーグ・ニュースの取材で、主要顧客である国内自動車メー カー向けなどの需要が好調なことから、少なくとも07年1-3月期までの 中・高級鋼材の需給は引き締まった状態が続くとの見方を示した。インタビュ ーは24日、都内で実施した。

国内では今期中に他社分を含めて高級鋼板設備が合計5基稼動するが、宗 岡副社長は、現状では同設備が余剰化することはないとの認識を表明。顧客の 海外展開に伴って需要が拡大する場合には、国内や米国に続き、中国やタイと いったアジアでも供給体制の充実が課題になるとしている。

宗岡副社長は、日系製造業などの生産活動が活発な一方、高級鋼材を供給 できるのは一部の高炉鉄鋼メーカーに限られることを挙げ、1-3月期の中・ 高級鋼材の需給は「緩和するよりも、むしろ引き締まる」との見方を示した。 新日鉄は国内において、代表的な高級鋼材である溶融亜鉛めっき鋼板の更新設 備(CGL)を2基稼働させたのに続き、広畑製鉄所(兵庫県姫路市)でも12 月に稼働させる予定。需要家の要請を踏まえて「設備稼働を前倒しで進めてい る」(宗岡副社長)といい、CGL生産能力は従来比で年間60万トン増加す る。さらに他社も計2基を稼働させる予定だが、現在の高級鋼材の需給、国内 自動車の増産、亜鉛関連製品の需要増などを考慮すると「新設CGLの能力が 余ることは考えられない」(同)という。

同社は2月にも名古屋製鉄所(千葉県東海市)の高炉1基を改修する予定 で、供給力の低下要因となる。これについて宗岡副社長は、国内製造業メーカ ーとの長期的な取引関係を重視する方針に基づき「主要顧客に対しては、万難 を排して供給する」ことを強調。グループ各社に加えて、住友金属工業や韓国 ポスコといった提携先にも必要に応じて協力を要請することで「供給責任を果 たす」考えだ。

製造業の海外展開-高級鋼板の供給拡充が課題

世界経済の拡大を背景に、トヨタ自動車をはじめとした国内製造業メーカ ーは海外展開を加速。このため新日鉄も海外での鋼材供給体制の拡充も迫られ ており、すでに米国事業に関しては、合弁相手の欧州アルセロール・ミタルと 設備増強を含めた協議を行っている。

中国では1-9月自動車生産が前年同期比24%増の559万台を記録。年 率20%の伸びが続くと、08年末には1000万台に到達する計算だ。自動車用鋼 板の中国合弁会社BNAの董事長(会長)も務める宗岡副社長によると、BN Aはフル生産の状態。すべての中国産自動車に亜鉛めっき鋼板が使われている わけではないが、現在の生産ペースが継続する場合には、供給力の増強に備え て「FS(事業化調査)を検討せざるを得なくなる」との認識を示した。

今期需給は良好、中国事業にも注目-ドイツ証

ドイツ証券の原田一裕アナリストは、今期の中・高級鋼材の需給は堅調に 推移すると予想。国内の新設CGLの稼動についても「各社は需要水準に応じ て生産を増やす」とみられるため、少なくとも今期の需給悪化要因にはならな いと分析している。またBNAは、需要拡大を踏まえて「どこかで生産能力を 増強する必要があるのは見えている」(原田氏)とし、早ければ07年度中にも 対応策が打ち出される可能性があるとみている。

原田氏の07年3月期連結純利益見通しは、会社側と同じ3100億円。1 -3月期の輸出価格が10―12月期比で小幅下落することを前提としている。

亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板にサビ防止の表面処理を施したもので、自動 車の外板や家電機器、建材などに用いられている。自動車1台に使われる鋼材 約600-800キロのうち、亜鉛めっき鋼板は3分の1程度を占める。ただ海外 自動車メーカーによっては消費国の品質基準に応じて、同鋼板だけでなく、冷 延鋼板も外板として用いている。

新日本製鉄の株価は前日比6円(1.20%)高の507円(午後1時2分現 在)。

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