米シティグループ:04年のレン氏退社後、中国投資銀行業務にかげり

金融サービスの米シティグループでは、中 国業務担当責任者だったマーガレット・レン氏が退社して以来、同国での業務 があまりうまくいっていない。1世紀以上も前に上海で中国業務を開始したシ ティグループにとって、レン氏は恐らく一番の稼ぎ頭だっただろう。

問題は2004年のレン氏停職に始まった。同氏は03年、中国最大の保険会 社、中国人寿保険の35億ドル(約4050億円)規模の新規株式公開(IPO) を手掛け、シティグループに手数料収入約3000万ドルをもたらした。同社は中 国のIPO市場で幹事を務める5大金融機関の1つとなったが、このIPOを きっかけに米証券取引委員会(SEC)がシティグループの投資銀行業務で調 査を始めることとなったのだ。

1902年に中国進出したシティグループはレン氏の退社後、同国でのランキ ングが後退している。同氏の後任として中国の投資銀行部門責任者となったウ ェイ・クリスチャンソン氏は1年3カ月もしないうちに退社、レン氏の下で働 いていたスタッフの75%以上も競合他社へ転職した。中国での株式販売でシテ ィは今年11位。同社の経営委員会会長を務めるルービン元米財務長官がかつて 在籍したゴールドマン・サックス・グループは長年にわたって1位の座を守っ ている。

香港を拠点とする広東証券のアナリスト、リュ・フェン氏は「レン氏の退 社はシティグループが一からやり直しをしなければならなかったことを意味す る。投資銀行業は人脈がかなり影響するからだ」と指摘。その上で、「中国で はどの会社も才能ある人材の争奪にかかっており、経験豊かな人材を雇うのは 本当に難しい」と述べた。

レン氏は昨年死去した中国共産党の趙紫陽・元総書記の義理の娘。米マサ チューセッツ工科大学(MIT)で経営学の修士号を取得後、米証券大手ベア ー・スターンズやキダー・ピーボディを経て、シティグループのアジア本部(香 港)に加わった。

同氏は弁護士を通じてしかコメントしない。SECのジョン・ハイン報道 官はシティグループに対する調査にはコメントを差し控えた。同社の香港在勤 広報担当、リチャード・テスビッチ氏もコメントしなかった。

人員増強に動く

シティグループの中国担当チームは現在24人。同社のアジア太平洋地域向 け投資銀行部門責任者で香港在勤のマーク・レントン氏は22日、電話インタビ ューに応じ、人員増強に動いていると述べた。同氏は「中国での課題はもちろ んベストな人材を引き付け続けることだ」とし、「われわれは市場を広く見つ め、ひとりの実力者に依存する時代は終わったと結論付けた。より適切なのは プロ集団の形成だ」と語った。

この手法は徐々に成果を生みつつあるのかもしれない。シティグループは 先週、ゴールドマン・サックスなど複数の金融機関に混じって、北京銀行のI POに向けた説明会に招かれた。6月には来年予定される中信銀行のIPOの 幹事5社の1社に選ばれている。

それでも関係者によれば、中国3位の保険会社、中国太平洋保険の幹事獲 得競争からシティグループは脱落したという。同社は過去8年にわたり、世界 の株式引き受けではトップ5入りしていたが、中国でそのランキングを達成し たのは1回きりだ。レン氏が中国人寿保険のIPOを手掛けた03年のことで、 その年は4位だった。

夫との間に2人の子供がいるレン氏は現在、多くの時間を北京で過ごし、 中国企業に対して時折、助言活動を行っているものの、失業したままだ。

レン氏の退社後1年以内に、中国建設銀行は92億ドル規模のIPOの幹事 からシティグループを外した。そして、中国工商銀行が今年実施し、220億ドル 相当と過去最大のIPOとなった幹事獲得競争で9つの投資銀行が競い合った 時、シティグループの姿はなかった。

F&Cアセット・マネジメント(ロンドン)でシティグループ株含む約40 億ドル相当の資産運用に携わるサイモン・クリンチ氏は「中国は世界的なプレ ゼンスが欲しいどんな投資銀行にとっても重要な市場だ」と語る。

レン氏の弁護士、マーク・ハルコワー氏によれば、SECは今年、調査を 完了し、レン氏およびシティグループに非はなかったと結論付けたという。

シティグループは3月、米証券モルガン・スタンレーから中国部門の共同 経営責任者だった趙競氏を雇用し、投資銀行業務に迎え入れた。その2カ月後、 モルガン・スタンレーからさらに2人を同業務向けに採用した。

同社のレントン氏は「われわれは今後もベストな人材の採用を続け、そう した人材を引き付けるだろう。既に何人かの優れた人材を雇用した」と語った。