10月鉱工業生産1.6%上昇、予想上回る-「上昇傾向」判断維持(3)

日本の10月の鉱工業生産は、電子部品・ デ バイス、輸送機械、一般機械などで伸び、事前予想に反して2カ月ぶりに増加 した。日銀の追加利上げ判断にとっては後押し材料になる公算が大きい。

経済産業省が29日発表した日本の鉱工業生産動向(速報)によると、10月の 鉱工業生産指数(季節調整済み、2000年=100)は前月比1.6%上昇の107.8と なった。事前にブルームバーグ・ニュースがエコノミスト40人を対象に調査し たと ころでは、10月の鉱工業生産指数は前月比0.4%低下が見込まれていた。

鉱工業生産は、輸出が好調な自動車、電子部品などIT(情報技術)関連 がけん引して、8月に現行基準で最高の指数を記録したが、その後9、10月と 続けて低下した。今後については、日本の輸出動向を大きく左右する米国経済 の減速などから輸出が鈍化する可能性も指摘されている。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の小林真一郎氏はブル ームバーグ・テレビで、「数字を見る限り、かなり強めの数字。生産予測指数を 基に計算すると、10-12月に前期比3.7%プラスとなり、5四半期連続でプラ スになるかもしれない」と指摘した。そのうえで、「出荷の方は伸びているので、 需要そのものは比較的堅調を維持していると言えると思うが、問題は懸念され ていた在庫部分で、こちらが引き続き増加している点だ」と述べた。

また、注目されていたⅠT部門、とりわけ電子部品・デバイスでは「生産は 良かった。在庫はさらに積み上がる形になった。ただ、出荷の方は逆に落ち込 んでいる。需要は引き続き弱かったが、作り込んでしまったので在庫も減少す ることがなかった形だ」として、「数字は良かったが、懸念材料を先送りした、 あるいは持ち越した部分もあると思う」との見方を示した。

電子部品・デバイスは生産上昇

先行きは、11月の製造工業生産予測指数が前月比2.7%上昇、12月に同

0.1%上昇の見込み。

統計内容が予想より強かったことを受けて円相場は対ドルで上昇、午前9 時55分現在、1ドル=115円86銭前後で推移している。発表前は同116円25 銭前後だった。債券先物市場の中心限月(12月物)は134円73銭前後に低下(利 回りは上昇)。日経平均株価は同時刻現在、前日比140円57銭高の1万5995円 83銭と堅調に推移している。

10月の生産指数を前年同月と比べると7.4%上昇。経産省は生産について、 前月と同じ「上昇傾向にある」との判断を示した。

10月の出荷指数は前月比1.3%上昇の110.1、在庫指数は同0.8%上昇の

95.7、在庫率指数は同0.5%低下の99.4だった。

注目の電子部品・デバイス工業は、生産が同2.8%上昇、出荷が同1.1%低 下、在庫が同0.1%上昇、在庫率が同0.8%低下した。

先行き

生産の先行きについて、多くのエコノミストが早ければ秋以降の減速を予 想する。ブルームバーグ・ニュースが調査機関を対象に毎月実施している「ブ ルームバーグ景気調査・10月中旬調査」では、鉱工業生産指数は10-12月に前 期比1.0%上昇したあと、2007年1-3月に同0.6%上昇、4-6月に同0.4% 上 昇が見込まれている。プラスは維持するものの、徐々に伸びが鈍化する。

三菱総合研究所の大島一宏エコノミストは、「年末にかけては番号継続制 度(MNP)対応の携帯電話の生産が一服する可能性が高く、注意が必要」 としている。

また三菱UFJリサーチ&コンサルティング 鹿野達史・主任研究員は、 「海外景気の減速を映し、輸出が8月をピークに弱含んでいるほか、IT関連 需要の先行指標とされる半導体製造装置のBBレシオが低下基調で、IT関連 需要の先行きについての不透明感も出ている」と指摘する。

一方、第一生命経済研究所の長谷山則昭・副主任エコノミストは、「生産は、 非IT部門が堅調なほか、米国経済が軟着陸する可能性が高いことなどから、 先行きも底堅く推移する」とみている。同氏はIT分野での在庫増について、 一時的要因や先行き需要をにらんだ在庫積み増しによるものだとし、「調整は軽 微に終わる」と見込んでいる。

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