パトナムのディブニー氏・シティのローズ氏:投資家は株式のリスク無視

投資家は株式相場について、過去13年で 最も強気となっている。パトナム・ビスタ・ファンドを運用するケビン・ディ ブニー氏にはそれが、危うく見える。

S&P500種株価指数の変動幅予測に基づいたシカゴ・オプション取引所 (CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は先週、1993年12月以来の低水 準に達した。ドイツ株についての同様の指数も1年4カ月ぶり低水準となった。

ディブニー氏は「これは危うい兆候だ」として、「最終的に、リスクとリ ターンは均衡しなければならない。現在のような上昇相場のなかでリスク認識 が低いということは、短期的な調整の確率が高いといことだ」と話した。

株式相場は2000年以来の高値水準となっている。5、6月に25%下落した 新興市場(エマージング・マーケット)株は最高値水準をほぼ回復した。80- 90年代にかけて中南米株の再編を手掛けたシティグループのウィリアム・ロー ズ上級副社長は、下げの期間の短さは投資家がリスクを無視している可能性を 示していると指摘する。「もう少し大幅に下落した方が、投資家の教訓となっ て良かったのではないか」と同氏は述べた。

投資家が13年で最も小さな株価変動を予想する一方で、米成長率は低下し つつある。一方、日本と欧州では金利が上昇する見通しだ。

CBOEのVIX指数は21日に、93年12月28日以来の低水準となる9.9 で終了した。過去20年の平均は20.96。オプション価格から算出されるVIX の水準が高い場合は、株式相場への懸念が高いことを示唆する。

一部投資家によれば、VIXの低さは逆に株価下落が近いことを示唆する。 投資家の多くが株価変動に対するヘッジの必要性を感じない状態では、良いニ ュースが既に株価に織り込まれているためだ。

98年にはVIXが底となった7月の直後にS&P500種は下落に転じ、10 月初めまでに19%下落した。その時点ではVIXはピークとなっていた。VI Xは今年3月に12年ぶり低水準となった。5月9日までに米、欧州、アジア株 はピークを付け、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(M SCI)ワールド指数はその後1カ月で12%下落した。

同指数はその後回復し、年初来の上昇率は15%となっている。MSCI新 興株指数も22%上昇し、4年連続の年ベース上昇となる見込みだ。ローズ上級 副社長は、投資家が株式相場がどれほど大きく下落し得るかを忘れてしまった かもしれないと指摘する。MSCI中南米株指数は94年9月-95年3月までの 半年に55%急落した。

メリルリンチの最新調査では、回答した投資家の約76%は向こう1年でボ ラティリティが上昇すると予想した。しかし、実際に株価が下落しないうちに そのような予想に基づいて投資すればコストがかかるため、投資家はそれを控 えていると、メリルで調査を監督したデービッド・バウワーズ氏は説明してい る。

ボラティリティ低下は米金融当局がリセッション(景気後退)をもたらす ことなくインフレ抑制に成功した結果だと楽観的に受け止める投資家もある。 ヘッジファンド、アーゴノート・キャピタル・マネジメントで運用に携わるデ ービッド・ガーステンへーバー氏は「ボラティリティが低いからといって、株 価が下落すればそれが長期下げ相場の始まりだということにはならない」と話 す。

一方、アトランティック・アドバイザーズのベネット・セダカ社長は、今 の時点で市場に参入する投資家は後悔することになるだろうと悲観的だ。VI X低下はリスクに無頓着であることにほかならないと同氏は指摘した。同氏は 株式投資を通常よりも20%減らしているという。

シカゴ商業取引所の株価先物トレーダー、ダグ・モニーソン氏によれば、 「今の市場に怖いものはない」。「株であろうと債券であろうと美術品であろ うと、あらゆる投機的資産に資金が殺到している」と同氏は話した。