コンテンツにスキップする

モルガンS、80億ドルの新不動産ファンドで日本に焦点-最有望市場

ワシントン州の職員退職年金基金を運用す る同州投資委員会は今月、米モルガン・スタンレーの80億ドル(約9380億円) 規模の不動産投資ファンド(REIT)への投資を検討するうえで、都合の悪 いことを発見した。

コンサルタントのマイケル・ハンフリー氏は委員会メンバーに、「要する に、手数料が高い」と説明した。会議室の反対側に座ったモルガン・スタンレ ー側の出席者らはそれでも、ワシントン州が同社のファンドに4億4000万ドル の投資を決めることに自信を持っていた。米国の住宅市場に早期回復の兆候は ない一方で、モルガン・スタンレーのファンドは日本や中国、インドなど有望 市場への投資を可能にするからだ。

ワシントン州が投資を決めるのに10分とはかからなかった。ハンフリー氏 の見積もりによると、モルガン・スタンレーのファンドは向こう4年に300億 ドルの不動産を購入する見通しだ。モルガン・スタンレーは同投資によって利 益が出るかどうかにかかわらず、運用資産に連動した手数料と物件購入ごとの 手数料を合わせて約5億ドル得ることになる。利益が出れば、業界の慣習に沿 ってその一部も受け取る。

コートランド・パートナーズのマネジングプリンシパルのハンフリー氏は 「条件を決めるのはモルガン・スタンレーだ」と話す。トレーディングとM& A(企業の合併・買収)アドバイスでウォール街1位の収益を上げるゴールド マン・サックス・グループも、不動産投資ではモルガン・スタンレーにかなわ ない。

米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパ ース)で不動産投資上級責任者を5年間務めたマイケル・マクック氏は「不動 産投資ではモルガン・スタンレーがトップだ」と話す。同社は過去15年に、623 億ドルの不動産投資で年平均20%超のリターン(投資収益率)を上げた。リタ ーンは一部の著名ヘッジファンドも上回る。

モルガン・スタンレーが約1年の買収合戦を経て2004年に取得したロンド ンのカナリー・ワーフへの投資は以来、200%超のリターンを生んでいる。2001 年に4億ドルで購入した東京の恵比寿プライムスクエアは、賃料延滞の旧テナ ントを退去させ内装に手を加え、賃貸料を引き上げ、管理コストを30%引き下 げたのち、6億5000万ドルで売却した。

モルガン・スタンレーがワシントン州で行ったプレゼンテーションによる と、1991年以降に不動産を売却して得た427億ドルのうち、約3分の1の137 億ドルは利益だった。同社の不動産関連収入は昨年57%増え、初めて10億ドル を超えた。

新ファンドの運用成績はモルガン・スタンレーにとっても重要だ。不動産 部門の共同責任者のジェイ・マンツ氏によると、モルガン・スタンレーと従業 員は80億ドルのうち20%を出資する。モルガン・スタンレーは1969年に、投 資銀行のなかで最も早い時期に不動産専門の部門を創設した。現在では同部門 に600人を抱え21の拠点を持つ。同社の不動産投資ファンドは通常、投資家か ら集めた資金1ドルに対して3-4ドルを借り入れ、物件取得の資金力を高め ている。

マンツ氏は11月2日のプレゼンテーションで、新ファンド「モルガン・ス タンレー・リアル・エステート・ファンドⅣ・インターナショナル」の最も有 望な投資先の1つとして日本を挙げた。80億ドルの40%は日本で投資する計画 だ。景気回復が賃料と占有率を上昇させると見込んでいる。

世界不動産投資責任者、ソニー・カルシ氏はワシントン州との会合で「日 本は現在、不動産投資の収益機会が最も大きい市場だ。ファンダメンタルズ(経 済の基礎的諸条件)は極めて強く、供給に制限があり需要は大きい」と語った。

ファンドの資金の約25%は、中国やインドなど新興市場の物件に投資する 計画だという。マンツ氏とカルシ氏は10月に上海で、モルガン・スタンレー年 次不動産会議を開いた。米国外での開催は初めてだった。

新ファンドは運用資産の約1.5%の年間運用手数料に加え、物件購入ごとに 購入額の0.25%の手数料を徴収する。成果連動の運用報酬は投資収益の20%と、 従来の17%から引き上げる。

モルガン・スタンレーは、不動産投資の共同出資者に投資銀行として資金 調達の支援を提供できるなど強みを持つが、不動産投資をめぐる競争は投資家 集めと物件獲得の両面で激化している。投資会社のブラックストーン・グルー プは今年、不動産投資ファンドに52億5000万ドルを集めた。投資会社のウォ ーバーグ・ピンカスも12億ドルを集めた。コロニー・キャピタルは、モルガン・ スタンレーと同様に世界の不動産に投資する40億ドル規模のファンドを計画し ている。シティグループも欧州とアジアに投資する2ファンドに約30億ドルを 集める計画だ。

タンゼント・グループのジェイ・ロング氏は「市場には資金があふれてい る。価格は十分に高くなっており、収益を上げるのは難しくなりつつある」と 話した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE