日航:通期の営業利益予想130億円に下方修正-純利益は目標堅持(4)

日本航空は8日、2007年3月期の通期連結 営業利益予想を従来の170億円から130億円に下方修正すると発表した。安全問 題などで客足に影響が出た国内線の単価回復が遅れているうえ、予想を上回る燃 油費の高騰などが理由。連結純利益予想は30億円を堅持する。

通期予想は、国内線が厳しい状態が続くため売上高を2兆3010億円から2 兆2810億円に下方修正。経常利益は、為替差益増加などが見込めることから5 億円を維持。最終損益は保有資産の売却なども進めて計画通りの達成を目指す。

記者会見した経営企画担当の竹中哲也取締役は、今期中に厚生年金代行返 上や退職費用削減などで250億円の営業損益の改善を見込んでいることを明らか にした。竹中取締役は「厚生年金の代行返上益計上や相当額の保有資産売却で、 経常利益や純利益はコミットメントとして予想通り実現したい」と説明。代行返 上は「うまくいけば300億円程度まで計上できる可能性もあるが、間に合わなけ れば退職給付金の圧縮で250億円を確保する」と語った。

一方、ジェット燃料価格高騰を受けて値上げした国際線運賃は9月以降の燃 油価格値下がりに伴い来年1月から引き下げられる見込み。竹中取締役はその収 益への影響について「1-3月で15億円のマイナスになる」との見通しを示し た。

年金代行返上や資産売却によって最終黒字を確保する方針に関連して、記者 会見では赤字体質時に赤字を一気に計上し、次年度から仕切り直す手法は取らな いのかとの質問が出た。これに対し西松遙社長は「日産自動車のカルロス・ゴー ン社長は最初に5000億円のロスを出したといわれるが、うちは来年に期すとい う考えは取り得ない」と述べ、公約を堅持する姿勢を明確にした。

中間営業利益は48%減

同時に発表した9月中間決算は、売上高が前年同期比3.4%増の1兆1500 億円、営業利益は48%減の82億円、経常利益は46%減の53億円だった。ただ 特別損益では、前年同期に計上した減損会計適用による132億円の損失がなくな ったほか、固定資産や有価証券の売却で128億円の利益を計上。このため純利益 は前年の120億円の赤字から15億円の黒字に転じた。

収入面では、大半を占める航空運送事業が同3.0%増の9109億円。うち、 国際線旅客収入は2.9%増の3707億円、国内線旅客収入は同1.6%増の3459億 円とともに増収を確保した。国際線・国内線とも客足は戻り切っていないものの、 値上げ効果が国際線で160億円、国内線で150億円あった。国際線は単価が予想 を下回り、国内線はビジネス客を中心に需要・単価とも回復が遅れている。

収益面で最大の障害は燃料費。航空運送事業の営業損益はその影響で35億 円の赤字となった。ブルームバーグ・データによると、シンガポール市場のジェ ット燃料価格は、前年同期は72ドル(単純平均)前後だったが、今中間期は86 ドル(同)前後まで高騰した。

一方、日航の7-9月(第2四半期)の連結純利益は前年同期比7.4%増の 283億円だった。これは9月中間決算から4-6月期の業績を引いてブルームバ ーグが算出した。それによれば、売上高は同3.1%増の6278億円、営業利益は 同16%減の401億円、経常利益は同13%減の409億円となっている。

4本柱の新リストラ策を2月に

財務面では、今上期中に有利子負債615億円を削減、下期にはさらに200億 円削減できるとしている。ただ、転換社債型新株予約権付社債(CB)の繰り上 げ償還など今後も大口資金需要が待ち構えている。これに関連して竹中取締役は、 今後の資金需要に対しては新株発行による資金調達は行わないことを明言した。

機材の調達に関しては、税制見直しで日本型レバレッジドリース(ジャパレ バ)が来年度から利用できなくなる。その対策として西松社長は「別のリース方 式をいくつか研究中で候補もある。リースでなくファイナンスを実施して購入す る手もある」と述べた。

一方、同社は、収益構造の抜本改革のため、関連会社の位置付けの見直し や大規模な人員削減などを盛り込んだ中期経営計画の改定案を来年2月6日に発 表することも明らかにした。

西松社長によると、新計画の目標は、①生産性の向上②事業計画の見直し③ 商品競争力の強化④関連事業の再構築-の四つ。具体策は今後詰めるが、路線の 見直しや機材更新の前倒し、希望退職の募集や従業員の配置転換による固定費削 減、関連事業の見直し、新商品の開発などを盛り込み、可能なものは計画発表前 に実施に着手する。

人員の削減や給与のカットなどには「やらないわけではない」(西松社長) が明確な目標は示さなかった。ただ、同社は航空機の小型化を進めるダウンサイ ジング化を実施中。座席の供給量は「2010年度には05年度比で10%減になる。 間接部門(固定費)も10%落とさなければ、帳尻が合わない」(同)ため、機 材更新に合わせて固定費削減策も実施していく考えだ。

西松社長は経営姿勢を明確にするため、来年の早い時期に役員定年を引き下 げ、上席顧問制度も廃止する考えも表明した。定年制は、会長は3年、専務以上 の役員2年、執行役員や同社OBで関連会社の役員は1年それぞれ引き下げる。 若返りを狙い部長職の定年も見直す。

日航の株価終値は前日比3円(0.9%)安の217円。