NY外為:ドルは6週ぶり安値付近、民主党躍進で歳出削減観測(2)

ニューヨーク外国為替市場のドルはほぼ変わ らず。中間選挙の結果、民主党が下院で過半数を制したことから、歳出抑制や減 税撤回に向けて民主党の影響力が強まるとの見方が広がり、ドルは対ユーロで6 週ぶり安値付近で推移した。

民主党は上院でも躍進。過半数達成まであと1議席に迫ったものの、バージ ニア州の投票の最終結果がまだ不透明なため、ドルのポジションを手控える動き も見られた。市場では、共和党のブッシュ政権の下では、民主党は大規模な政策 変更を推進しづらいとの見方が広がっている。

マン・グローバル・リサーチの上席通貨アナリスト、マイケル・マルピード 氏(シカゴ在勤)は、「近く法律の大幅改定があるとは思わない」と語る。「権 力こう着が予想される。民主党が上下両院の過半数を押さえたとしても、政府は 共和党だ。ドルへの影響はほとんどないだろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時45分現在、ドルの対ユーロ相場は1ユーロ=

1.2767ドル。前日遅くは同1.2775ドルだった。ドルは前日の取引で、9月22日 以来の安値1.2819ドルをつけていた。この日のドルは対円で1ドル=117円74 銭。前日遅くは同117円71銭だった。ユーロの対円相場は1ユーロ=150円34 銭。前日遅くは同150円36銭。

ドルは一時、1ユーロ=1.2807ドル、1ドル=117円39銭まで下げていた。 民主党が勝利しても当面、大幅な政策変更はないとの見方が、選挙前に積み上げ ていたドルのショート(売り持ち)ポジションを一部手じまう口実とされ、ドル は下げ渋った。

力のこう着

フォレックス・キャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の主任通貨ストラ テジスト、キャシー・リーン氏は、「ほぼ市場が予想していた通りの結果になっ たとして、投資家はドルのショート・ポジションを手じまっている」と指摘。 「力のこう着状態は続いている。市場ではドルを買い戻して、利益を確定する動 きがみられる」と付け加えた。

第3四半期の米実質国内総生産(GDP)成長率は1.6%と、約3年ぶりの 低成長にとどまった。共和党は景気支援のための減税の必要性を主張している。

上院の勝敗はバージニア州の最終結果次第となった。同州では民主党のジ ム・ウェブ候補が、共和党現職のジョージ・アレン候補をわずかな差でリードし ている。民主党はモンタナ州をはじめ、ミズーリ、オハイオ、ペンシルベニア、 ロードアイランドでの勝利を決めた。

財政赤字

財政赤字削減につながれば、ドルにはプラスに作用するとの見方もある。米 財政収支は2000年には2360億ドルの黒字だったのが、2004年には4130億ドル の赤字に悪化。同年までの3年間、ドルは対ユーロで26%下げた。

米議会予算局(CBO)の概算によると、2007会計年度の財政赤字は2860 億ドルに拡大する見通し。09月末に終了した06年度は2480億ドルの赤字だった。

シカゴ連銀のモスコウ総裁はこの日、住宅不振が経済成長の足かせになろう が、景気減速よりインフレの方がリスクとしては重大だとあらためて表明。この 発言もドル相場を押し上げるとみられている。

モスコウ総裁は来年の連邦公開市場委員会(FOMC)の議決権を有する。 2年間に17度連続で利上げを実施してきたFOMCは、最近の3回の会合で連続 で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を5.25%で据え置いている。次回 会合は12月12日に予定されている。

貿易赤字

米商務省は9日、9月の貿易収支を発表する。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミスト調査では、9月貿易赤字は660億ドルと、過去最大の699 億ドルを記録した8月から縮小が見込まれている。

コモンウェルス銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・グレース氏 は、「ドルの戻しに期待している」と語る。「貿易赤字は650億ドルに改善し、 ドルを押し上げるだろう」と付け加えた。同氏はドルが今週、1ドル=118円、 1ユーロ=1.26ドルまで上昇すると予想している。