米国債市場監督当局:価格操作についてウォール街に警告へ-15年ぶり

【記者: Matthew Benjamin 、 Kevin Carmichael 】

11月6日(ブルームバーグ):米国債市場の監督当局は15年ぶりに、価格 操作についてウォール街の大手債券ディーラーに警告する見通しだ。

市場監視に関する省庁間作業部会(IWG)は、22のプライマリーディー ラー(米政府証券公認ディーラー)の米国債トレーディング責任者、法順守責 任者に出席を求め、6日午後4時(日本時間7日午前6時)から会合を開く。

この作業部会は、名門証券会社だったソロモン・ブラザーズの親会社ソロ モンが1991年に米国債入札での談合を認めた事件をきっかけに、1992年に設立 された。作業部会は米財務省や米連邦準備制度、米証券取引委員会(SEC)、 米商品先物取引委員会(CFTC)の当局者らで構成される。同部会は、買い 占めにより一部銘柄の価格をつり上げた疑いで、スイスのUBSなどを調査し ている。1日平均5280億ドル(約62兆3300億円)の取引があり、世界の借り 入れコストの指標となる米国債市場での問題に関し、当局者は神経質になって いる。

元ニューヨーク連銀法務顧問のアーネスト・パトリキス氏は「ソロモン事 件の後に市場への管理が強化されて以来、このような調査が行われるのは初め てだ」として、連邦準備制度は「明らかに、米国債市場を綿密に観察している」 と話した。

今回の問題は、財務省のジェームズ・クローズ副次官補(ファイナンス担 当)が9月27日に米債券市場協会(BMA)での講演で提起した。同副次官補 は、米国債の特定の銘柄について「一部金融機関が相当部分をコントロール」 し、「その力を使って取引を有利にしている」ことに、財務省は警戒を強めて いると語った。同副次官補は、そのような行動は米国債市場の価格形成をゆが めると指摘した。

会合に参加を求められた各社の経営陣や元幹部6人は匿名を条件に、法順 守責任者が会合に出席を求められたのは初めてだと述べた。

問題にかかわる複数の関係者によると、価格操作の疑惑を抱いた連邦準備 制度の当局者が情報を提供し、SECにトレーダーの調査を促した。1人の関 係者によると、SECは証券法違反の有無についてUBSを調査している。U BSは調査に協力していると述べた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(W SJ)は10月30日に、UBSが行った一連の取引をSECが調査していると 報じていた。

当局は、5年物米国債を担保とした借り入れの金利が7営業日連続で0.3% を下回ったことを受けて、当該銘柄の保有者がその品薄を利用しているとの疑 念を抱いた。事情に詳しい関係者1人によると、UBSのトレーダー、フィリ ップ・スミス氏とロバート・フィシェッティ氏はこの問題に関連して退社の予 定で、退職金などの合意に至るまでの間休職となっている。ウォールストリー ト・ジャーナルは、クレディ・スイス・グループの取引も調査の対象となって いると報じた。

ソロモンは米国債入札での談合問題で罰金2億9000万ドルを支払い、当時 の最高経営責任者(CEO)ジョン・グッドフレンド氏や社長のトーマス・ス トラウス氏、債券責任者のジョン・メリウェザー氏らを更迭した。米国債トレ ーディング責任者だったポール・モーザー氏は禁固4月の判決を受けた。

今回は、入札ではなくレポ取引が調査の対象となっている。需要の高い銘 柄を保有している借り手は、低い金利で資金を借り入れることができる。

ベアー・スターンズの元国債トレーディング責任者ロバート・ランダー氏 は、当局は「問題を深刻視しており、立腹している。訴追に至ることなく悪し き慣行を断とうとしているのだろう」と話した。