カネ余りと投資熱で世界的に利上げ幅拡大も-ロンドンから東京まで

【記者: John Fraher 、 Simon Kennedy 】

10月30日(ブルームバーグ):ロンドンから東京まで、世界の市場には過 剰な資金があふれている。各国で投資ブームをあおり、世界の中央銀行による 予想以上の利上げにつながる恐れがある。

世界の主な中銀は今年、2000年以来で初めてそろって利上げを実施してい る。にもかかわらず、資金のコストは1990年代よりも低い水準にとどまってい る。こうしたカネ余りを背景に、英国では住宅価格上昇が再燃、日本企業は1990 年以来で最大の設備投資を計画し、中国最大の銀行、中国工商銀行の新規株式 公開(IPO)には5000億ドル(約58兆7750億円)を超える申し込みが殺到 した。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの客員研究員ティム・コンドン 氏は「主要な国・地域の金利引き上げはまだ十分ではない」として、「マネーの 伸びがリスクを呼ぶ水準にあるときに起こる資産価格上昇が見られる」と指摘 した。

中銀が一段の引き締めを怠れば、新たな資産バブルの発生やインフレ高進 のリスクがある。最も雄弁に懸念を表明している欧州中央銀行(ECB)は来 週、金融政策に対するマネーの伸びの影響についての会議をフランクフルトで 主催する。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長や中国人民銀行の周 小川総裁、日本銀行の岩田一政副総裁などが出席する。

ECBのゴンサレス・パラモ理事(スペイン)は「マネーの伸びが大きい とき、住宅市場は活気づき株式市場も勢いづく。3、4年以内にインフレが顕 在化する可能性は非常に高い」と発言している。

ユーロ圏の広範な通過供給量を示すM3(現金、要求払い預金、定期貯蓄 性預金、投資信託の一部)の伸びは9月に8.5%に加速し、3年ぶり高水準に近 付いた。ECBは2005年12月初め以来、5回の利上げを実施している、

ドイツ銀行のロンドン在勤の欧州担当チーフエコノミスト、トマス・マイ ヤー氏は、「ECBは中央銀行のなかで最もマネーサプライを「注視している」 のに、M3の伸びが加速したのは「非常に皮肉なことだ」と語った。ECBは 11月2日の会合で金利を据え置く見通しだが、トリシェ総裁は今月、「ユーロ圏 の流動性はどのような指標から見ても高い」として、「さらに厳重な監視」が必 要との考えを示した。

ロンバード・ストリート・リサーチ(ロンドン)のチャールズ・デュマス 氏によると、主要国・地域のマネーサプライの伸びは年率7.5%と、4年ぶり高 水準だった1年前の9%からは低下しているものの「依然として高水準」だ。

ABNアムロ・ホールディングの世界エコノミスト、ティム・ドレーソン 氏(ロンドン在勤)は、主要中銀は市場予想よりも大きな利上げが必要になる とみている。「世界的に見てマネーサプライと与信は相当急激に拡大している」 として、「世界の金融政策が景気抑制的だとは考えにくい」と述べた。

ドレーソン氏は、ECBは07年末までに政策金利を4%以上(現行は

3.25%)に引き上げると予想。米国は6%(同5.25%)、英国は5.5%(同4.75%)、 日本は2%(同0.25%)に達すると予想している。一方、金利先物の動向は、 多くの中銀の07年政策は据え置きか小幅な利上げにとどまるとの予想を示唆し ている。

イングランド銀行や日本銀行も、マネーの伸びを重視するECBの見解を 共有し始めている。中央銀行当局者らにとっての懸念は、過剰な資金が資産バ ブルを発生させ、最終的に景気急減速を招くことだ。フランスのブルトン財務 相は9月に、潤沢な資金が「低収益、高リスク」の投資をあおっていると警告 した。

イングランド銀行は、マネーサプライの16年ぶりの高い伸びに直面し、8 月の利上げに続き来週の会合でも利上げを実施する方針を示唆している。日銀 も流動性を監視している。バークレイズ・キャピタル証券のチーフエコノミス ト、会田卓司氏は、設備投資が大幅に伸びるようならば、年内の追加利上げも あり得るとの見方を示した。

資金のだぶつきは中国でも見られる。工商銀行のIPOに5000億ドル超の 申し込みがあったことについてインスティネット・パシフィック・サービシズ のマネジングディレクター、ジョン・フィルデス氏は「行き過ぎ」を指摘し、「使 い道のない資金が山のように積み上がっている」と話した。

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