USEN:8月期の連結純損失89億円-監査法人の指摘で下方修正

有線放送国内最大手USENが19日に発 表した2006年8月期連結決算では、純損益が89億円の赤字となった。無料ブ ロードバンド放送「GyaO(ギャオ)」の登録ユーザーは伸びているが、映 像・コンテンツ事業でコンテンツ制作費や広告宣伝費の先行投資が収益を圧迫 した。

このほか、収益の見込めない映像使用権の評価損を計上したことも響いた。 ただ、保有株売却などで特別利益187億円を計上、前の期の純損失277億円か ら赤字幅は縮小した。

売上高は前の期比18%増の1820億円、営業利益が同63%減の35億円、 経常損益は36億円の赤字に転落した。特に映像・コンテンツ事業では、売上 高が同54%増の230億円となったものの、営業損失は97億円と前の期の10億 円から赤字幅が拡大した。

リテラ・クレア証券の井原翼・情報部長は、USENの株価動向について、 最終赤字となったことを嫌気して当面は売られる可能性もあるが、現時点での 株価水準と業績の発展性を考慮すれば「安い水準にある」との認識を示した。

07年8月期連結業績は、売上高2800億円、営業利益130億円、経常利益 70億円、純利益30億円と予想している。紺屋勝成管理本部長によると、主要 事業の内訳については、放送事業が売上高620億円・営業利益130億円、カラ オケ事業が売上高500億円・営業利益65億円、ブロードバンド・通信事業が 売上高400億円・営業損益5億円黒字-10億円赤字、映像・コンテンツ事業が 売上高260億円・営業損失45億円-60億円程度をそれぞれ見込んでいる。さ らに買収企業の利益が全体に上乗せされる見通しだ。

監査法人の主張に従い損失を計上

同社は業績発表と同時に、前期連結業績予想を修正した。売上高は上方修 正したものの、利益は下方修正。下方修正の要因には、子会社のギャガ・コミ ュニケーションが映像使用権の評価損を計上したことや、保有株の評価損、将 来に発生が見込まれる電柱撤去費用を引き当て計上したことがある。

純損失で10億円の黒字見込みから、結果的に89億円の赤字となったこと について、佐藤英志常務は東証での会見で、監査法人との見解の違いがあった ことを明らかにし、最終的に監査法人の指摘に従い損失を計上したと述べた。 同社の監査法人はトーマツ。

また、佐藤常務はGyaOについて、「広告主のブロードバンド放送に対 する認知の遅れから広告収益の伸び悩みが続いている」としながらも、「今期 は体制を整え直す」と語った。07年8月期は「下期のどこかでGyaOは単月 黒字化する」としながらも、営業損益ベースでは「20億円から40億の赤字を 見込んでいる」と述べた。

一方、07年8月期の純損益が黒字化の見通しであることについて、佐藤常 務は、今後は監査法人との話し合いで業績見通しが変わることはないだろうと 述べたうえで、「アルメックスとインテリジェンスの収益が寄与するはず」と し、M&A(企業の買収・合併)効果も黒字化の要因に挙げた。

また、佐藤常務は上場廃止となったライブドアとの提携について、「特に 発表できることは現時点ではない」としながらも、今後も引き続き事業面での 協力関係を継続していく方針としている。

下方修正は「恥ずかしい」継続的成長を約束

同社の宇野康秀社長はこの日、都内で開催したアナリスト、機関投資家向 けの説明会に出席し、監査法人の指摘により結果的に業績の下方修正を行った ことについて、「一番厳しい結果になった。非常に恥ずかしいこと」との認識 を示した。一方で、「現時点で考えられるものは出し尽くした」とし、今回の 指摘は一時的なものであり、今後はこの会計ルールのなかで淡々と安定的に成 長させ、今後は利益確保にまい進する意向を明らかにした。

また、宇野社長は映像・コンテンツ事業については、「GyaO」の営業 面がようやく追いついてきたとの認識を示し、期末までの類型の広告出向クラ イアント数が大和証券、トヨタ自動車、シャープなど大手企業を含む420社に 達したことを明らかにした。また、コンテンツ制作、調達面でのコストコント ロールが可能となり、今期中にいったん月次で黒字化、そして、来期以降は構 造的黒字化達成を目指す。さらに、09年8月期までに現状の有利子負債をほぼ 半減させるとの考えを示した。

リテラ・クレア証券の井原情報部長は、監査法人との調整で最終的にはそ の主張をUSENが受け入れたことについて、「結果として企業としてよいこ とにつながるだろう」と述べ、そうした姿勢を評価。さらに、新興企業に対し て監査法人がこれまでより厳しい姿勢を打ち出すことは一連のライブドア事件 以降、予想されていたと指摘した。

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