ソニー:今期純利益を800億円に下方修正-ゲーム損失や電池回収で

ソニーは19日、2007年3月期の連結 純利益予想を従来の1300億円から38%減額し、800億円とした。パソコン向 け電池の回収問題にからみ7-9月期(第2四半期)で510億円の引き当てを 行う結果、純損益が当初予想よりも下押すと予測。さらに大きな問題として、ゲ ーム事業で予想外の苦戦が想定されることを織り込んだ結果としている。これに より、通期純利益は02年3月期実績の153億円以来、5年ぶりの低水準に落 ち込む見込みだ。

通期の営業利益は1300億円から62%減額し500億円へ、税引き前利益は 1500億円から53%減額し700億円へそれぞれ修正した。売上高予想は8兆 2300億円に据え置いた。円安などによる恩恵が電池問題で打ち消され、さらに ゲーム事業の苦戦が下方修正を強いた図式。ストリンガー最高経営責任者(CE O)による本業再生に冷や水が浴びせられた形でもあり、市場から失望を誘う可 能性が大きい。

7-9月は為替レートが想定に比べて円安に推移、下期の前提為替レートも 7月時点の前提の1米ドル=113円前後から114円前後へ、1ユーロ=136円 前後から145円前後に変更した。

電池よりもゲーム響く

19日夕に記者会見した大根田伸行・財務最高責任者(CFO)は、営業利 益を従来予想から800億円減らした図式について説明した。それによると「円 安に伴う350億円にデジタルカメラなどの好調が加わった」ことで、540億円 のプラス要因が発生。しかし、電池交換問題で510億円のマイナス要因が想定 されることでほぼ相殺される形になる。

そして、ここからゲーム事業の苦戦が影を落とす。まずは次世代家庭用ゲー ム機「プレイステーション3」(PS3)関連。欧州での販売延期に伴い中枢部 品である高性能半導体「セル」の生産稼働率が低下するため330億円、PS3 の発売前の値下げで160億円、ゲーム業界での競争激化に対応するための高機 能化のコストで140億円の追加支出が、それぞれ必要になる。

さらに携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の今期 出荷目標を、当初予定の1200万台から900万台に下方修正したことなどで、 300億円のマイナス要因が発生する。背景には任天堂ゲーム機との競争激化が ある。

この結果、半導体部門も含めたゲーム関連で計930億円ものマイナス要因 が発生、全部門のリストラ効果100億円を差し引いても、通期営業損益見通し 全体では800億円の下方修正を強いられる形になった。ただ、大根田CFOは 説明の後、ゲーム事業の先行きについて問われ「何とか巻き返しを図ろうとして いる。来期に黒字転換するとの予想は変えていない」と語った。

ソニーはPS3での成功をてこにセルを、次世代デジタル家電の中枢部品と して売り込み、収益の柱として育てる方針。それだけに、ゲーム関連ながらセル 生産の稼働率低下によるマイナス要因330億円を、本業であるエレクトロニク ス事業の損益にカテゴリー分けしている。

電池の回収対象は960万個

大根田CFOによると、回収対象の電池パックは960万個。メーカー別の 内訳は開示していない。また、回収費用として計上した510億円は「現段階で のベストエスティメイト(最大限の予想)」であり、「来期まで業績に響くと推 測する材料はない」という。

同CFOはまた、電池問題で東芝が損害賠償請求を検討しているとの見方に ついて、東芝からこの問題に関する話し合いのための書面を受け取ったことを明 らかにした。ただ、回収問題に関する訴訟の費用は現在、業績予想には見込んで いない、と述べた。

電池問題については既に米パソコンメーカーのデルとアップルコンピュータ のほか、中国のレノボ、東芝、富士通、日立製作所、シャープが自主回収を表明。 ソニーも自社PC向けの回収を17日に発表し、とりあえず準備の整った日本と 中国で計9万台の回収に乗り出すとしていた。

ここまでの数字の合計は約820万個。ソニーが日中も含めて自社PC向け の25万個程度を回収予定とされることからすれば、960万個という数字とはな お、100万個程度の開きがあり、今後も別のメーカーが回収に踏み切ることも 考えられる。ソニー広報センターの上原隆司氏はこの点について「幾つかのメー カー」と回収を行うかどうかを依然協議していることを明らかにした。

7-9月は為替レートが想定に比べて円安に推移、下期の前提為替レート も7月時点の前提の1米ドル=113円前後から114円前後へ、1ユーロ=136 円前後から145円前後に変更した。また、成長分野への人員の再配置が順調に 進み、当初予定に比べて早期退職費用の見通しが低下したことなどで、営業費用 に含まれる構造改革費用の見通しを7月時点の500億円から400億円に変更し た。

7-9月期は210億円の営業赤字

また、7-9月期の連結業績は、売上高が約1兆8500億円、営業損失は 約210億円、税引き前損失は約260億円、純利益は約20億円となる見込み。 第2四半期の詳細な業績については、26日の中間決算発表で公表するとしてい る。

岡三証券の久保田一正アナリストは、「電池問題については既に観測記事 なども出ていたため、(株価などには)ある程度織り込み済みだと思われる」と しながらも、「テレビやデジタルカメラは好調で、円安効果も期待できていただ けに、電池とゲームで駄目になったことには失望せざるを得ない、市場もそう受 け止めるのでは」と語った。

また、フェデレィテッド・アドバイザリー・サービスの光井祐宏アナリスト は、ソニーの通期営業利益予想について「1000億円程度は確保するのでは、と いうのが市場のコンセンサスではあった」と指摘。実際にはその半額の500億 円まで下方修正されたことについて「ネガティブ・サプライズとまでは言えない が、失望は誘うだろう」と述べている。

ソニーの株価終値は前日比20円(0.4%)安の4790円。

--共同取材、PAVEL ALPEYEV,  Editor:Murotani

Teo Chian Wei (81)(3)3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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