三菱重と仏アレバ:原発の共同開発で合意-中型の加圧水型に重点(4)

総合機械メーカーの三菱重工と、世界最大 の原子力企業グループであるフランスのアレバは、原子力分野での提携に合意し、 両社首脳が覚書に署名した。今後、新興国などで需要が見込める中型の100万キ ロワット級加圧水型(PWR)発電プラントの共同開発に着手し、早期の事業化 を目指す。また、資材調達、サービス、燃料サイクル、新型炉などの分野での強 調の可能性も探り、販売面でも協力していく。

三菱重の佃和夫社長とアレバのアンヌ・ロベルジョン会長兼最高経営責任者 (CEO)が19日、都内の三菱重の本社で共同記者会見して発表した。原子炉 にはPWRと沸騰水型(BWR)の二つの方式があるが、三菱重は、同じPWR 技術をベースにしたアレバとの提携でPWR路線を堅持する旗色を鮮明にした。

両社は未開拓であると同時に、世界的に将来有望な100万キロワット(= 1000メガワット)の中型クラスの原子力発電プラント開発に重点を置き、提携 関係を築く。互いに開発の費用や期間を半減して「魅力ある価格で、できるだけ 早く開発」(ロベルジョン会長)し、提携効果を実現。電力網の整備が遅れてい る東南アジアや東欧向けに販売し事業展開していく。

ロベルジョン会長は「三菱重工業とは青森県六ヶ所村の核燃料再処理施設を 建設している」と語り、三菱重工との技術的な親和性を強調。中型原発市場につ いて、今後世界で25年間に150-200基が建設され、毎年8-10基が稼働すると の見方を示し、中型市場が有望分野であることを力説した。

一方、三菱重の佃社長は「160万-170万キロワットの大型原発なら両社の どちらもできる」としながらも、100万キロワットクラスに市場があり、開発を 急ぐ必要性を強調。「昔の当社なら自前でやるが、今は、そういう時代ではない。 同じルーツのPWR技術を持つアレバと組めば、技術者を有効活用し、時間をか けずに世界のエネルギー需要に応えることができる」と提携の狙いを説明した。

東芝-WHグループとは案件ごとに対応

佃社長は、東芝によるWHの買収問題に触れ、WHの動きが今回の提携のき っかけになったことを認めたうえで、「世界の原子力市場の大きな上昇が見込め る時代になったことの方がもっとインパクトがあった」と説明。「ウェスチング ハウスとはクロスライセンスの関係が残るが、今後は今回の合意を第一義と考え て尊重していく」述べ、ウェスチングとの関係は個別案件ごとに判断していく考 えを示した。

また日本だけでなく原子力ビジネスをグローバルに展開していくためには 「WHの身売りに応じることや、世界マーケットで存在感のある企業と提携する などの選択肢があり、今回の決断は、その中の一つだった」と述べた。

佃社長はBWR原子炉の開発グループである米ゼネラル・エレクトリック (GE)と日立製作所の連合グループとの提携も「当然、選択肢としてあった」 ことも明かした。ただ、「今からBWRに飛び込んで世界市場に応えるのは重工 には難しい。PWRを守ってきた重工として、GEと提携する可能性はアレバに 比べて小さかった」と述べ、今回の提携でPWR型原子炉の技術路線を堅持する 意向をはっきり示した。

アレバは原子力事業で世界最大の企業グループ。40カ国に生産拠点、100を 超える販売網を持つ。従業員は5万8000人。三菱重の原子力事業は、PWR発 電プラントの設計、製造、アフターサービスなどを行っている。従業員は3万 3000人。

19日の三菱重株の終値は前日比6円(1.2%)高の530円。

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