米国株:上昇、ダウは一時1万2000ドル突破-インフレ懸念後退(3)

米国株式相場は総じて上昇。ダウ工業株30 種平均は初めて1万2000ドルを突破した。米労働省が発表した9月の米消費者 物価指数(CPI)が前月比で大幅に低下したことから、経済へのインフレ脅威 が後退した。

コンピューター大手の米IBMがこの日の上げを主導した。同社2006年7 -9月(第3四半期)利益がアナリスト予想を上回ったのが好感された。米医療 機器・医薬品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も高い。プルデ ンシャル・エクィティ・グループは、同社製薬部門の見通しが改善したとの見方 を述べたことから、買いが膨らんだ。両社の値上がりを背景にダウ平均はこの日 午前に1万2000ドル台を乗せた。その後、米銀3位のJPモルガン・チェース の下落などもあって上値が重くなり、終値は1万2000ドルを割り込んだ。

ボストン・アドバイザーズで23億ドルの資産運用に携わるティモシー・ウ ールストン氏は、「インフレは引き続き抑制されており、多くの企業業績は絶好 調にみえる。株価は上昇するはずだ」と語った。

ナスダック総合指数は、半導体装置メーカーが低調に推移したことから、下 落して取引を終えた。半導体大手の米インテルは2006年通年の新工場・設備向 け予算の削減を発表し、欧州最大の半導体製造装置メーカー、オランダのASM Lホールディングは、受注が減速するとの見通しを明らかにした。

ダウ平均終値は前日比42.66ドル(0.4%)高の11992.68ドル。寄り付き後 15分以内にダウ平均は最高12049.51ドルまで上昇した。S&P500種株価指数 は同1.91ポイント(0.1%)上げて1365.96。ナスダック総合指数は同7.80ポイ ント(0.3%)値下がりして2337.15で終了。教育関連営利企業のアポロ・グルー プの下落が響いた。

9月の消費者物価指数

米労働省が発表した9月の米消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前 月比0.5%低下(前月は0.2%上昇)と、2005年11月以来最大の低下幅を記録し た。変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指数は3カ月連続で、前月比

0.2%上昇した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想ではCPI全体では

0.3%の低下、コア指数は同0.2%の上昇が見込まれていた。

米商務省が発表した9月の住宅着工件数は前月比5.9%増を記録。不動産市 場の低迷が底を打ちつつあることが示唆された。

エコノミストは、今月開かれるFOMCの会合で、フェデラルファンド(F F)金利誘導目標は再び5.25%で据え置かれるとみている。

今月に入り株式相場は上昇基調で推移、S&P500種は2.3%値上がりした。 インフレを誘発することなく、また、リセッション(景気後退)に陥ることなく、 米景気がある程度持続的なペースで減速しているとの見方が広がり、株価を押し 上げた。

ダウ平均上昇

110年の歴史を誇るダウ平均は、今月3日に2000年1月に記録した最高値 を更新したばかり。ダウ平均の上げを主導しているのは、オールドエコノミーと 呼ばれる従来からの鉱工業企業が中心だ。建設機械最大手のキャタピラーの株価 は2002年10月からほぼ4倍に押し上げられた。

コンピューターのIBMは上昇。ダウ平均採用銘柄のなかで、値上がり率最 大だった。同社が17日発表した2006年7-9月(第3四半期)決算の1株当た り利益は1.45ドルと、トムソンがまとめたアナリスト予想の1.35ドルを上回っ た。ゴールドマン・サックスはIBMの株式投資判断を「ニュートラル(中 立)」から「買い」に引き上げた。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも高い。プルデンシャルは同社の株式投資 判断を「ニュートラル(中立)」に引き上げた。

JPモルガン

JPモルガン・チェースは下落。2006年7-9月(第3四半期)利益はア ナリスト予想を上回ったが、リテールバンク事業とクレジットカード事業の売り 上げが落ち込んだ。

半導体大手の米インテルは上昇。2006年7-9月(第3四半期)決算は、 一部項目を除いたベースの1株利益は21セントとなり、調査会社トムソン・フ ァイナンシャルがまとめたアナリスト予想平均の18セントを上回った。

インテルはまた、2006年通年の新工場・設備向け予算を57億-59億ドルと、 従来の62億ドルから引き下げた。10-12月(第4四半期)の売上高見通しは91 億-97億ドル。トムソンがまとめたアナリスト予想の平均値は95億ドルだった。 インテルの業績は、コンピューターや部品の需要を計る上でのバロメーターと見 られている。

アポロ・グループ

アポロ・グループは、6-8月期の1株当たり利益が54セントと、トムソ ンが調査したアナリスト予想平均の66セントを下回ったことが嫌気され、下落 した。純利益は12%減の9350万ドル。新入生の確保に苦戦した。クレディ・ス イスは同社の株式投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル(中 立)」に引き下げた。

S&P500種に採用されている銘柄のうち、半導体企業で構成する株価指数 は1.31%安と、業種別24指数のうち値下がり率最大だった。半導体製造装置の ノベラス・システムズが発表した売上高見通しはアナリスト予想を下回った。こ れを手掛かりにノベラスの株価は下落した。

半導体装置メーカー各社が発表した9月の受注状況から、半導体メーカーは 3カ月連続で設備度投資を減速させる可能性が示された。半導体製造装置最大手 のアプライド・マテリアルズは下落した。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は8対7。出来高概算は 16億1000万株。3カ月平均を4.6%上回った。

携帯電話機メーカー、モトローラは、06年7-9月(第3四半期)の売上 高が106億ドルと、トムソンがまとめたアナリスト予想(111億ドル)を下回っ たのが嫌気され、値下がりした。

米ユナイテッド航空の親会社UALは、株式投資判断の引き上げが強材料と なり上昇した。

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