三菱電常務:半導体事業の海外売上高50%に-アジア、欧州攻略へ(2)

三菱電機の長山安治常務はブルームバーグ・ ニュースとのインタビューで、半導体事業の成長戦略として、海外市場の開拓に注 力する方針を示した。具体的には、主力のパワー半導体や高周波デバイスなどを拡 販し、海外売上高比率を現在の35%から中期的に50%へ引き上げる。事業全体の 売上高営業利益率は、06年度予想の7%から10%に高めたい考え。

同社の半導体事業は、パワー半導体、レーザーダイオード(LED)などの光 半導体、高周波デバイスの3つが大きな柱。「限られた分野でもトップシェアを取 るのが戦略」(長山常務)で、最終製品に組み込む高い技術力や高い歩留まり(良 品率)を武器に、それぞれトップレベルのシェアを持つ。長山常務は「事業拡大の 課題は、いかに海外で売り上げを増やせるかがポイント」と強調、成長のけん引役 を海外市場に求める。

海外市場での拡販または参入が本格化するのは07年以降となる見通し。国内 市場は成熟し、大きな成長は期待できない。従来は、電力・インフラシステム機器、 通信機器、ファクトリーオートメーション(FA)機器、家電など、社内事業との シナジー(相乗)効果が高いものを中心に展開してきたが、主力3分野の製品群を 海外でも積極的に販売する計画だ。

主力3分野で勝負

06年度の半導体・デバイス部門の売上高は前期比7%増の2000億円、営業利 益は同4%増の140億円を予想。このうち半導体事業の売上高は約70%。半導体 事業の売り上げの60%以上を稼ぐパワー半導体は、家電、産業機器、ハイブリッ ドカー、電車などあらゆる機器の電力制御に用いられ、機器の省エネ化の進展とと もに年率平均10%の市場成長を見込んでいる。特化する高電圧分野の世界シェア は40%とトップだ。電子機器のインバータ化に貢献するパワー半導体は欧州や中 国でのニーズが高く、これらの市場を攻略する。

高周波デバイスは、来年から携帯電話用のパワーアンプ(増幅器)で海外市場 に参入する。国内ではNTTドコモの端末用に60%のシェアを持つが、「まだ海 外市場には入れていないので課題だ。この分野はパートナーとの協業を通じて参入 する」(長山常務)予定。また、無線の次世代ブロードバンド(高速大容量)の規 格「WiMax」に対応する通信基地局や携帯電話用の高出力デバイスも来年以降、参 入し、当初20-30%の世界シェアを目指す。

光半導体は、DVD(デジタル多用途ディスク)の記録用赤色レーザーダイオ ードなどが強く、世界シェアは65%と圧倒的でデファクト(事実上の世界標準) 製品となっている。開発した次世代DVD用の青紫色レーザーダイオードでも先行 し、「世界ナンバーワンになりたい」(長山常務)という。

選択と集中が奏功

かつての三菱電機は、システムLSI(大規模集積回路)やDRAM(記憶保 持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)を、自前で設計・開発・生産・販 売まで一貫して手がける垂直統合型の総合半導体部門を抱えていた。しかし、半導 体市況が暴落し巨額赤字に陥った01年度以降、事業の“選択と集中”に着手。シ ステムLSI事業は日立製作所と共同で設立したルネサステクノロジに、DRAM 事業はエルピーダメモリに、それぞれ事業譲渡し撤退した。

ただし、この間の経営判断として、社内の他部門との親和性が高くシナジー効 果が見込める半導体事業は本体に残した。「きっちり経営すれば必ずもうかる」 (野間口有・前社長)との目論みどおり、03年度以降は主要3分野に事業を絞り 込んだことが奏功し、大幅に収益が改善。06年度の半導体事業は、再編後では過 去最高の売り上げと利益を達成する見込み。

長山常務は「当社の強みは、製造プロセスや設計などの面における高度な技術 力」と、技術的な優位性を強調。ただ、海外市場開拓にあたっては課題も多い。ブ ランド戦略として「海外の顧客に受け入れられるような製品の企画・開発力が不可 欠」(同)なほか、販売をサポートする各地域での応用技術者の育成が急務という。 これに対応するため全世界で応用技術者を採用し、現在の数十人から2倍程度に増 やす方針だ。

最重要課題は、生産から物流までの品質や在庫などを管理するサプライチェー ン・マネジメント(SCM)の構築。07年度以降、全世界で新しい物流システム を導入する。

三菱電機の18日終値は、前日比4円(0.4%)安の1023円。

--共同取材 小笹俊一 Editor:Murotani

パベル・アルペエブ PAVEL ALPEYEV (81)(3) 3201-2137   palpeyev@bloomberg.net

小笹 俊一 Shunichi Ozasa (81)(3)3201-3624   sozasa@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人    Yoshito Okubo (81)(3)3201-3651   yokubo1@bloomberg.net

テオ チャンウェイ Teo Chian Wei (813)3201-3623 cwteo@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE