ゴールドマンとJPモルガン、米金利見通しと投資戦略で意見分かれる

米ゴールドマン・サックス・グループは、 フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が2007年中に現在の5.25%から引 き下げられ、同年末には4%になると予想する。一方、JPモルガン・チェー スは07年末のFF金利6%を予想する。

両社は投資戦略も異なる。ゴールドマンは自社の景気見通しに基づいて、 株式投資を推奨する。JPモルガンは金利上昇への備えとして現金保有を勧め る。

フォート・ワシントン・インベストメント・アドバイザーズの投資責任 者、ニコラス・サージェン氏は「金融機関の見解が異なるのはよくあることだ が、ゴールドマンとJPモルガンの違いは異例なほど大きい」として、「投資 家がそれぞれの見方の背景にある論理を十分に理解してどちらに同意するかを 判断することが重要だ」と話した。

議論の焦点は、世界で最も重要とみなされる金利の方向だ。金利先物の動 向は、2007年の利下げ予想を示唆しているが、ゴールドマンが予想するほどの 規模ではない。ユーロドル金利先物07年12月限の先物金利は5.01%となり、 利下げ観測を示している。

ゴールドマンの予想は、住宅市場が米成長を鈍化させ当局に利下げを迫る というものだ。ゴールドマンの世界経済調査責任者ジム・オニール氏は、「当 社と他社の違いは、他社は住宅減速の影響を軽微と見積もり、当社は大きな影 響を見込んでいることだ」と述べた。米中古住宅価格は8月に11年ぶりに下落 し、販売件数は0.5%減少した。

ゴールドマンは07年の米成長率が2.3%と、今年の3.4%から鈍化すると予 想する。オニール氏はまた、同年末までには10年物米国債利回りが約4.5%に なると予想している。

JPモルガン

一方のJPモルガンは、海外からの低金利資金流入の持続と原油下落によ って、米成長率が押し上げられると予想する。JPモルガンのチーフエコノミ スト、ブルース・カスマン氏は米企業の収益率が過去40年で最高となっている と指摘した。

カスマン氏は住宅価格下落にもかかわらず、07年の米経済が平均3%の成 長を達成すると予想する。同氏は住宅市場後退のなかでも4.6%の米失業率が上 昇していないことを指摘。「米経済は部分的に打撃を受けているが、影響は他 の分野に波及していない」と述べた。同氏はさらに、米景気の強さを反映し、 コアインフレ率は2%半ばで推移するだろうとして、10年債利回りが5.75%ま で上昇すると予想している。

ゴールドマンのオニール氏は、JPモルガンなど米経済への強気派は少数 だと指摘する。確かに、メリルリンチやUSトラスト、英HSBCホールディ ングスや仏BNPパリバなど、弱気派の数は多い。一方のカスマン氏は「当局 が1年で100bpの利下げをするには、リセッション(景気後退)の兆候が必要 だが、それは見られない」と反論した。

投資戦略

JPモルガンは、金利上昇に備えるため株式と債権の保有比率をベンチマ ークよりも低くすることを勧める。今月のリポートで同社は、株式と債券の比 率をそれぞれ55%と25%と、ベンチマークよりも5ポイントずつ低くすること を推奨した。現金は20%と、ベンチマークの2倍を推奨している。

世界株式ストラテジー責任者のアブヒジット・チャクラボルティ氏は、現 在の株価が企業の高収益率や比較的低い債券利回り、投資家のリスク許容度の 高さなどの好条件を既に織り込んでいると指摘。一方で債券相場はインフレ圧 力の高まりを無視した利下げ予想を織り込んでいるとして、「このような背景 の下で、現金が選好される」と述べた。

これに対しゴールドマンのストラテジストは、株式の「オーバーウエート」 と債券・現金の「アンダーウエート」を推奨。同社の欧州株式ストラテジスト は6日付のリポートで、「07年の予想より大幅な米利下げと世界経済の米国と の連動低下が、向こう数カ月の株式投資の高リターンを支えると予想した。

前出のサージェン氏は「FF金利が4.5-4.75%に低下する」と予想してい る。

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