配当とジュースが個人くすぐる、株主還元とバリュー重視-野村証調査

野村証券金融経済研究所は5日、個人投資 家の株式投資動向についての調査結果を公表した。それによると、個人投資家 はこの7カ月間で配当利回りや株主優待といった株主還元を銘柄選別に際して 重視しているほか、グロース系からバリュー系に投資スタイルがシフトし、保 守的な傾向を強めていることが明らかになった。個人から関心を持たれている 銘柄では、相対的に日本の代表的企業が多かったものの、独自の株主還元策を 展開した食品メーカーのカゴメなどにも、個人の視線は注がれている。

野村証は今年4月から、個人投資家を対象に行ったアンケート調査の結果 を毎月公表している。10月は、過去7回分の調査結果から明らかになった傾向 や特徴も発表した。

トヨタに高い関心、2部・新興株離れ進む

7カ月の間、関心がある銘柄との回答が多かったのはソニー、トヨタ自動 車、キヤノン、みずほフィナンシャルグループ、ソフトバンク、カゴメ、武田 薬品工業、ヤフー、USEN、新日本製鉄、松下電器産業、全日本空輸、東京 電力、吉野家ディー・アンド・シーなど。大半は1部上場銘柄で、2部や地方、 新興市場の銘柄数は5月以降、一段と減少した。同市場の低迷で注目度が低下 したようだ。

関心が高い銘柄のうち、予想配当利回りがNOMURA400の利回りを上回って いる銘柄の比率は次第に上昇。株主優待を実施している銘柄の比率も高まって いる。

野村証の西山賢吾シニアストラテジストは、「4月以降の投資環境の変化 を受けて、個人投資家が銘柄選別に際して配当利回りや株主優待といった株主 還元をより重視するようになった」と分析した。グロース系銘柄の比率が低下 する一方、バリュー系が上昇していることからも、投資姿勢が保守的になって いることがうかがえる。

カゴメ人気は長期保有の女性、短期の男性はソフバンクに

トヨタなど時価総額上位の銘柄が回答の大半を占める中、個人投資家の獲 得に注力しているカゴメが健闘した。カゴメに関心を持つと回答した個人投資 家の属性をみると、平均よりも女性の割合が高く、1銘柄あたりの平均保有期 間が長め、売買頻度も低いという特徴がみられた。

投資の際に重視している項目として配当や株主優待を挙げた割合は52%と、 平均25%を大きく上回る。カゴメはこの10年間、1株当たり10-15円の期末 配当を支払い、株主優待として野菜ジュースなど自社商品の詰め合わせを年2 回贈呈しており、長期保有を目的とする投資家を惹きつけている。

逆の傾向が見られたのがソフトバンク。平均よりも男性の割合が高く、保 有期間も短め、売買頻度も高い。投資で重視するのは値動きやテクニカル面と の回答が多かった。

情報・通信に魅力、資源は見方分かれる

魅力的なセクターと、魅力を感じないセクターに対する回答は、情報・通 信が毎回上位3位に入り、魅力的ないセクターには資源関連が毎回、建設・不 動産も7回中6回入った。資源関連は魅力的なセクターの上位にも5回顔を出 しており、「同セクターへの関心は高いものの、その見方は分かれる」(西山 氏)結果が得られた。

期間を通じて見方に変化があったのは、医薬品・ヘルスケア。7月以降4 回連続で魅力的なセクターの上位3位に登場した。同セクターは収益が景気の 変動に左右されにくいディフェンシブ色が強く、個人投資家は相場環境の変化 によって保守的になったようだ。

金融も、4月に魅力的なセクターの3位に位置していたが、7月以降は逆 に魅力的でないセクターの上位3位に連続で顔を出している。貸金業規制法の 改正によって貸付金利の上限金利が引き下げられる見通しとなり、「消費者金 融セクターに対する見方が大きく変わった」(西山氏)ことが要因とみられる。

個人の相場観は万年強気、実態は見送り

3カ月後の日経平均株価見通しに対する回答に基づいて作成した「ノムラ 個人市場観指数」は、10月に前月比12.4ポイント上昇して68.6と、調査を開 始した4月に次ぐ高い水準になった。西山氏は、「回答時の日経平均株価が前 月比で高いと低下し、下落していると上昇する傾向がある」ことを指摘する。

今回も、9月25日の回答時の日経平均株価は前回調査時より530円下落。 この下落を「7-8月の急上昇に対するスピード調整局面と捉えており、一段 の下落や下値不安は薄らいできている」(西山氏)ようだ。

同指数はマイナス100からプラス100までの範囲で推移し、プラスの幅が 大きいほど個人が相場に強気の見方をしていることを示す。4月-10月は50 以上で推移したことから、常に全体の75%以上の人が株価上昇を見込んでいる ことになる。

しかし相場上昇を予想しても、実際の株式取引には結びついていない。過 去3カ月間の売買実績を問う質問には、「増やした」との回答から「減らし た」を差し引いた数値が7カ月間ほぼ一貫して低下傾向にあった。西山氏はこ の結果から、「4月以降、個人は株式取引に消極的になった。先行き積極化す る姿勢を傾向として持っていたが、実際の取引はその時の相場動向に影響され る」と考えている。

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