安倍新政権:尾身財務相の改革姿勢に疑問、目玉不足-市場の見方

自民党の安倍晋三総裁は26日午後の衆参 両院本会議で第90代首相に指名された。その後首相官邸で組閣作業に着手し、 午後4時すぎに明らかになった新政権の閣僚名簿では、株式・金融市場に影響 が大きいとみられる財務相に、尾身幸次・元経済企画庁長官(森派)が就任。 経済財政担当相には政策大学院大学教授で、元内閣府大臣政務官の大田弘子氏 (民間)が抜擢され、金融相は山本有二・自民党経理局長(高村派)が就いた。 市場関係者の新政権の顔触れに対する第1印象をまとめた。

●豊証券の菊池由文取締役

「第1印象はネガティブ。官房長官という生やさしくないポストを塩崎氏 が務まるのかは不安だ。そのほかの顔触れを見ても、仲間内でつくった印象。 霞ヶ関と戦うにはやんちゃな人が必要だが、これではまた役人に丸め込まれそ うだ」

●ソシエテ・ジェネラル銀行顧客為替本部の斉藤裕司バイスプレジデント

「組閣人事は特別に円にポジティブになっている感じはなく、円が強含ん でいるのはドイツのIfo景況指数の発表を前にストップ狙いのユーロ・円の 売りが出ているためとみられる。組閣人事の評価は日本人でもよく分からない のではないか。ただ、財務相が尾身氏になったことで多少の失望がある可能性 もある。与謝野氏が入閣すれば、円ポジティブとみていた向きもあったが、同 氏が入らなかったことはサプライズ」

●クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟バイスプレジデント

「焦点の財務相は、柳沢伯夫氏か与謝野馨氏のどちらかの起用が予想され ていた。柳沢氏であれば、財政引締め寄りの政策が予想され、日本銀行の利上 げには向かい風という観点から、円売り。与謝野氏であれば、景気を重視しつ つ日銀の政策も支援するという見方から円買いにつながる可能性があった。し かしどちらでもない尾身幸次氏が指名され、政策の見通しは不透明となり、為 替相場は反応しづらい結果となった」

●三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長

「経済財政相の大田弘子氏は諮問会議メンバーでもあり、民間ブレーンを 使うという小泉・竹中改革の維持を示した格好。尾身財務相は、税制に詳しく、 森派の長老ということもあり、今後来るべき消費税論議に当たってもらうとい うことになる。ただ、肝心なのは外国人がどう見るかで、その点で知名度が低 いという懸念はある。唯一、官房長官の塩崎恭久官房長官は、外国人からの知 名度、評価は高く、米高官との人脈もあり、好感できる人事だろう」

●ちばぎんアセットマネジメントの大越秀行運用部長

「来年の選挙に向けた対民主党といった布陣だ。小泉政権のようにスロー ガンもないため、外国人投資家が買ってくることはないだろう。直近の相場は 地合いが悪いため、ヘッジファンドなどから売りのきっかけとみなされる可能 性もある。これはといったものがないため、きっかけになりやすい」

●いちよし投資顧問の秋野充成運用部長

「ネガティブではないが、ポジティブサプライズはない。斬新的な人事で はなく、目玉になる人がいない。経済財政相に大田弘子氏が選ばれたが、知名 度が低く、竹中氏みたいなインパクトがない。期待が大きくなかっただけに失 望は大きくないが、先行きが見えにくい」

●ありがとう投信の村山甲三郎代表取締役

「尾身氏が改革を行う人とは思えない。閣僚が安倍氏の政策を実行できる かどうか分からない。相場は今回の人事に対してとても反応しづらい。改革の 精神が続いているのかどうか疑問がある。そうでなければ相場は悲観するだろ う。相場の注目点は大臣ではなく、安倍氏だ」

--共同取材:三浦 和美、常冨 浩太郎 PATRICK RIAL Editor:inkyo

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE