クレディ・スイス:「アルゴリズム」で新手法-国内投資家に展開へ(2)

コンピューターを駆使して株式取引の最良執行 を追求する「アルゴリズム取引」で世界シェア首位のクレディ・スイス証券は、日 本での機関投資家向けのアルゴリズム新システムを稼働させた。10月から国内投資 家へ本格的に導入する。米国で定着して欧州にも広がっているアルゴリズムの普及 に日本でも力を入れ、投資家の囲い込みを狙う。

クレディ・スイスは機関投資家の株式取引注文で、自社内で成立可能な売買は 自動的に約定させる「クロスファインダー」というシステムを9月初旬から立ち上 げた。すでに海外投資家への導入を始めており、「来月からは国内投資家への導入 に本格的に取り組む」(アルゴリズム取引責任者の濱田智彦ディレクター)。

このシステムで投資家は、市場インパクトを限定して注文を約定させることが できる。取引所取引原則を撤廃した2005年4月の証券取引法改正で、投資家と一定 契約(事前明示義務の免除合意)を結ぶことを前提にこうした取引が可能になった。

アルゴリズムが2002年ごろに始まった米国では投資家の間ですでに定着、欧州 にも普及しつつある。クレディ・スイスの今回の取り組みは、日本でアルゴリズム が本格的に広がる契機にもなりそうだ。

野村総合研究所の田中隆博・上級研究員は、日本でのアルゴリズムについて「投 資家と証券会社の双方に普及させたいインセンティブがあり、広がっていくことに 間違いはない」と指摘した。

投資家にとってのアルゴリズムの利点は売買の秘匿性や執行ペースをコントロ ールできることにある。また、証券会社にとってはトレーダーといった人員を維持 しながらより多くの注文をさばくことが可能になる。

野村総研が国内の投信投資顧問、信託銀行、生命保険など30社を対象にしたア ルゴリズム利用調査(5月段階)によると、ほぼ4分の1に当たる23%がアルゴリ ズムをすでに利用(試験利用を含む)している。

アルゴリズムは、投資家が指定した手順・方式(アルゴリズム)に従ってシス テムが自動的に発注する売買手法。米金融コンサルタント会社タブ・グループによ ると、クレディ・スイスはアルゴリズムの世界シェアで1位。続いてモルガン・ス タンレー、ゴールドマン・サックスなどとなっている。

すでにクレディ・スイスはVWAP(売買高加重平均重視)、TWAP(時間 均等割り)やプライス・インライン(指定価格重視)といった10のメニューから投 資家が自身の方針に合った項目を指定するアルゴリズムを導入している。

8月にはUBS証券のクオンツアナリストだった岩田一紗臣氏を採用してアル ゴリズムの陣容を充実させた。

ライブドア事件後の1月18日、注文・約定件数が急増した東証は全銘柄の取引 を午後2時40分に停止した。翌19日からは午後の取引開始を30分遅らせる措置を 実施、4月21日まで続けた。この際に件数急増の一因になった投資家の「スライス 取引」(売買を小刻みに発注する手法)は、アルゴリズムの一形態になる。

このように、アルゴリズムが普及すると取引所システムにも影響を与える可能 性がある。

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