ヘッジファンドのアマランス:取引移管後の損失は7025億円(2)

ヘッジファンド、アマランス・アドバイザー ズは21日までに、エネルギー取引を第三者に移管し、保有証券を売却した後の 旗艦ファンドの月初来損失が約60億ドル(約7025億円)となることを明らか にした。業務停止を免れるため資産を割安な価格で処分したことから、損失は 今週14億ドル膨らんだ。

アマランスが20日遅く投資家にあてた書簡によると、同社の旗艦ファンド は月初から19日までに、資産の65%を失った。現在の資産は35億ドル未満だ という。創業者のニコラス・マオウニス氏は書簡で、エネルギー取引のポート フォリを第三者に譲渡したことを明らかにした。これによって天然ガス取引で の損失拡大を防ぎ、「融資枠の取り消しや債権者による強制的清算のリスクを 回避できる」としている。

事情に詳しい関係者2人が20日に述べたところによると、ヘッジファンド 大手シタデル・インベストメント・グループと、アマランスのブローカーであ る米銀のJPモルガン・チェースは、アマランスのエネルギー取引を引き継い だ。また関係者は、米銀最大手のシティグループが20日、アマランスへの出資 で交渉したとしている。

マオウニス氏によると、アマランスは天然ガスのデリバティブ(金融派生 商品)を「大幅な損失を伴って」譲渡し、契約に基づいたデフォルト(債務不 履行)を回避するため他の資産を売却した。同氏はまた、「引き続きすべての マージンコール(追加証拠金の発生)に対応」していると述べている。

アマランスは先週の天然ガス価格下落を受け、今週初めに資産の約50%に 相当する46億ドルを失ったことを明らかにした。年初の資産は約75億ドルだ った。また、現在の借入額は、資産1ドルに対して1.30ドルだという。

書簡によると、9月18日は2006年8-10月期中の償還を申し込む最終日 だった。アマランスは、すべての申し込みを集計した後、投資家に報告すると している。アマランスは22日に投資家と電話会議を行う予定。

アマランスは業務を続けるために必要な資金の確保に動いている。関係者 によると、シティグループはアマランスへの出資を交渉している。交渉が成立 した場合、アマランスはシティのヘッジファンド、プライベートエクイティ(未 公開株)、不動産、仕組み商品投資部門であるシティグループ・オルタナティ ブ・インベストメンツ(運用資産420億ドル)の一部となる。

シティは1998年にヘッジファンド、ロング・ターム・キャピタル・マネジ メント(LTCM)の救済に協力した16銀行の1つ。LTCM事件は、利益変 動の大きい事業を嫌った当時のシティ最高経営責任者(CEO)、サンフォー ド・ワイル氏を、ヘッジファンドに関して一段と慎重にさせた。

パンク・ジーゲルのアナリスト、リチャード・ボーブ氏は「シティがヘッ ジファンド事業に参加しようとするならば、そこに身を投じるしかない」と話 した。

ワイル氏の後を継ぎ2003年10月に就任したチャールズ・プリンスCEO にとって、アマランスへの出資は高成長のヘッジファンド関連業務へのさらな る進出だ。アマランスが稼いでいる運用手数料や成果連動の運用報酬の一部も シティの収入になるとみられる。

シティグループ・オルタナティブ・インベストメンツの資産は2003年末以 来、50%増えている。現在は9つのヘッジファンドグループに、170億ドルを投 資している。

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