ブラジル石油公社:東燃ゼネ子会社に出資交渉-対アジア拠点(3)

ブラジル石油公社のペトロブラス(本社リオデ ジャネイロ)は、日本の石油精製業への参入を目指し、国際石油資本エクソンモービ ル傘下の東燃ゼネラルの子会社である南西石油(沖縄県)に出資する方針を固めた。 ペトロブラスは南西石油を、中国を中心に石油の需要が急増するアジア市場への本格 参入に向けた拠点としたい考えだ。

交渉に近い複数の関係者が明らかにした。ペトロブラスは、南西石油の株式の

87.5%を保有する東燃ゼネラルと残りの12.5%を保有する住友商事との間で交渉を 進めており、年内の基本合意を目指す。

ペトロブラスの関係者によれば、株式取得比率は未定。株式取得や南西石油が保 有する西原製油所(沖縄県西原町、処理能力は1日あたり10万バレル)の設備増強 費を含め、投資総額は約10億ドル(約1178億円)程度と見積もっているが、出資企 業の分担額など具体的な詳細は詰めているという。

外国石油会社による国内市場への新規参入は、サウジアラビア国営石油会社サウ ジアラムコが2004年8月に昭和シェル石油株を取得し2位株主(現在は14.96%) になって以来、2年ぶり。

ペトロブラスは、東燃ゼネラルが保有する87.5%全てを取得することも視野に 入れ、交渉中。外国資本による日本の石油市場参入には経済産業相と財務相の認可が 必要。現在、外国資本による日本の石油会社への出資比率は、エクソンモービルが保 有する東燃ゼネラル株の50.02%が最高。

みずほ証券の塩田英俊シニアアナリストは、「国内の石油製品の販売面では過当 競争が続いている。石油業界の再編は今後もしばらく続くだろう」と見ている。

ペトロブラス本社の広報担当は不在でコメントを得ることはできなかった。また、 東燃ゼネラルの布野敦子広報担当もコメントはできないとしている。

住友商事の寺島英之広報担当は、南西石油については「色々な方向を検討してい る」としながらも、同社がペトロブラスや東燃ゼネラルなどと協議を行っているかど うかについては、コメントを差し控えた。

中国などアジア市場の拠点

ペトロブラスは、リオデジャネイロ沖の油田で生産するマーリム原油と呼ばれる 重質原油を西原製油所へ持ち込むことを計画。また、同製油所を国内市場だけでなく、 中国などを含むアジア市場への拠点にする方針だ。

重質原油からは、原油価格よりも安く取引される副産物の重油が多く出てくるこ とから、一般的に精製業者は分解装置やコーカーと呼ばれる二次装置を作り、重油を ガソリンや軽油、灯油などを生産する。こういった装置を持たない西原製油所を重質 原油の精製に対応させるため、ペトロブラスは投資金額のほとんどを二次装置の新設 に充てる計画だ。

中国関税当局のデータによると、2006年1-8月の中国の石油製品輸入量は前年 同期比26%増の2580万トン。同国政府は、国内の燃料油消費の増加や電化製品向け 化学品原料の需要増に対応するため、原油処理能力を2010年までに25%増やす計画 だ。さらに、同年までに化学品原料であるエチレンの生産能力も、1813万トンまで 倍増させる予定。

西原製油所の活路

みずほインベスターズの河内宏文アナリストは、南西石油西原製油所を活用する ためのビジネスプランとして、輸出型製油所にするための再投資か、タンクターミナ ルとして利用する、2つの方法があると見ている。

河内氏は、輸出型製油所としての手法を取る場合には、今後二次装置への投資が 不可欠と指摘する。しかし、「長期的に見た場合、中国の石油市場および中国経済が 継続的に成長できるかは疑問」との見方を示す。

南西石油と同様に、沖縄に処理能力日量11万バレルの製油所を保有していた出 光興産は、設備余剰の解消を目的に2004年3月末で沖縄製油所を閉鎖。以後は原油 備蓄を含む製品供給のための油槽所として使用している。

ペトロブラスの製油部門ディレクター、パウロ・ロベルト・コスタ氏は8月22 日にサンパウロで行った会見で、米国や欧州、アジアでの買収機会を模索しているこ とを明らかにした。同社は今年、米国テキサス州のパサデナにある製油所(1日あた り10万バレル)の株式50%を、ベルギーのアストラから3億6000万ドルで買収し ている。

13日の東燃ゼネラルの株価終値は前日比18円(1.8%)安の1007円。

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