ザイリンクス吉澤氏:カスタムチップの主役、数年でFPGAに交代(2)

半導体の開発・設計専業大手、米ザイリンク ス日本法人の吉澤仁社長はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、同社 が世界最大のシェアを持つシステムLSI(大規模集積回路)の一種「FPG A」が「2010年にも、高機能を追求するカスタムチップの分野で主役になるだ ろう」との見通しを示した。

FPGAは、プログラミングで回路構成の随時書き換えができる半導体。従 来は通信機器向けが主流だったが、柔軟な特性を生かし、製品開発のスピード化 が求められるデジタル家電向けにも需要が急成長している。このため、FPGA が、カスタムチップの主役の座を特定用途向け半導体「ASIC」から奪うこと も可能という。

カスタムチップとは、特定の用途・製品のためだけに設計・製造する半導体。 顧客ごとに特注品として作る「ASIC」と、プログラミングが可能な「FPG A」または「PLD」に大別される。ASICはテレビやゲーム機など向けに大 きく成長し、日本の大手半導体メーカーが得意とする分野。しかし、近年は、製 品開発の短縮化に貢献するFPGAのニーズが高まっている。

現状では、世界のカスタムチップの市場はASICがいまだ主流で、売り上 げ規模はFPGA/PLDの4倍。ただ、FPGAは年率平均15-20%の成長 分野だ。吉澤氏は「普及の遅れている日本市場の成長率は特に大きい。市場は現 在の600億円から2倍以上になる」と、1300億-1400億円に成長すると予想。 05年のFPGAの世界市場は約30億ドル(約3500億円)だった。

デジタル化が需要拡大を後押し

ザイリンクスは、FPGAで57%、PLDで51%の世界シェアを握るトッ プメーカー(06年1-3月期)。主力は通信基地局など通信インフラ系のFP GAで全社売上高の49%を占める。しかし、ここ数年は、デジタル家電やファ クトリーオートメーション(FA)事業など産業機器、医療用機器向けのFPG Aが大きく伸びており、需要構造に新たな変化が起きている。

吉澤社長は、通信機器用が5-7%、デジタル家電用が15-25%の幅でそ れぞれ長期的に伸びると予想。さらに、「産業機器用のFPGA/PLDはこれ から本格的に立ち上がる。年率平均で30%伸びるだろう」と期待する。

背景にあるのは、デジタル化の進展だ。製品サイクルはデジタルAV(音 響・映像)機器では3-6カ月と極端に短くなり、寿命があっという間に終わる。 そのなかでも利益を得るには、一刻も早い製品開発と市場投入のスピードが勝敗 の分かれ目。このため、吉澤社長は「いつでも、誰でも、どこでも回路を書き換 えられるFPGAの価値が高まっている」と言う。

45ナノ世代でコストが対等に

また、ASICの開発コストが高騰したことも、FPGAにとって相対的に 追い風。性能ではASICより劣るが、マスクで回路設計するASICは開発に 時間がかかり、マスク代も上昇したため、開発期間の短縮で得られるメリットが 大きくなってきた。価格もASICが有利とされてきたが、吉澤社長は「45ナ ノ(ナノは10億分の1)メートル世代の半導体の量産が始まる2010年以降には、 微細化と量産効果でコスト面でもASICと対等になる」とにらんでいる。

この流れに乗って、同社は製品戦略を主に2つの分野で展開中。通信機器や 産業機器向けには高性能機種「バーテックス」を、デジタル家電向けには低消費 電力で割安な「スパルタン」を、それぞれ投入し拡販を図っている。半導体の性 能や生産性を左右する技術面では、回路線幅が65ナノのプロセス技術を、東芝 と台湾ファンドリー(半導体の受託生産会社)UMCの2社と共同開発、年末に は量産出荷を始める予定だ。

--共同取材 小笹俊一、星 秀雄  Editor:Murotani

テオ チャンウェイ Teo Chian Wei (813)3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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