新日鉄:韓国ポスコと提携拡大を検討中-世界的再編で競争力強化(5)

世界鉄鋼3位の新日本製鉄は5日、韓国鉄 鋼大手ポスコとの間で提携策の強化を検討していると発表した。両社はすでに株 式持ち合い、原料購買などの分野で戦略的な提携を進めており、同日付の日本経 済新聞朝刊は株式持ち合い拡大などの提携強化を検討していると報道した。また、 買収防衛策の観点に立った場合、株式持ち合いの強化は自社株式の買い付けなど と合わせて「新日鉄が検討している様々な選択肢の1つに含まれる」(みずほイ ンベスターズ証券の鈴木博行アナリスト)との見方も出ている。

ただ、新日鉄は提携強化の具体策について「何も決まっていない」とコメン トしている。

両社は2000年8月、技術提携や原料購買など広範な分野で協力するととも に、株式を持ち合う戦略的提携を締結し、05年8月には5年間の延長を決めて いる。ポスコはアルセロール(ルクセンブルク)とともに、新日鉄が戦略的提携 と位置付けている2社の1つ。鉄鋼最大手のミタル・スチール(オランダ)がア ルセロールへの敵対的買収に乗り出し、これに成功しただけに、新日鉄の提携戦 略を占ううえでミタルだけでなく、ポスコに対する対応が注目されていた。

ポスコは4月、安定株主の強化を表明

新日鉄とポスコとの提携に関しては、ポスコの李龜澤(リ・クテク)最高経 営責任者(CEO)が4月、敵対的買収を防ぐため、新日鉄をはじめとした株主 との協議を続け、友好的な株主比率を増やす考えを示していた。

一方の新日鉄の三村明夫社長は7月、ブルームバーグ・ニュースに対し、高 炉の改修時などにポスコとの間で鉄鋼半製品(スラブ)の相互供給を行う考えを 表明。ただポスコとの株式持ち合いを強化する可能性については、コメントを避 けていた。新日鉄はポスコ株式を3%強、ポスコは新日鉄株を2%強それぞれ保 有している。

両社は有望なアジア市場での競争力を高めるため、副社長級を共同議長とす る委員会を設置。その下に専門委員会と検討会を設けて積極的な提携を推進して いる。新日鉄は、今後もポスコとの提携により「競争力の強化」(広報担当の鈴 木聖人氏)につなげたいとしており、ポスコも「われわれは提携強化策を検討し ている」(広報担当のリー・サン・チュン氏)としている。

世界的な再編劇

ミタルがアルセロールを買収し、世界最大の鉄鋼メーカーのアルセロー ル・ミタルが誕生する。これをきっかけに世界的な鉄鋼再編劇の主戦場として、 新たにアジア地域が注目されている。敵対的な買収の可能性が高まるなか、新日 鉄は高級品を主体とする高付加価値製品の路線を進める一方、住友金属工業、神 戸製鋼所との株式持ち合いを強化することなどで、国際競争力の向上を図ってき た。

5日付の日本経済新聞朝刊によれば、新日鉄、ポスコの両社は高級鋼材の増 産に向け、原料鉱山の開発や製品の相互供給に取り組む。買収防衛策の一環とし て、それぞれ数百億円かけて株式持ち合いも強化する。新日鉄はミタルとも提携 しているが、主力のアジア市場ではポスコと組み競争力を高めるとしている。

同紙によると、両社は、提携強化の具体化協議に入った。2007年にもオー ストラリアなどで鉱山を共同開発し、鉄鉱石など原料輸送での協力も視野に入れ る。株式持ち合い強化に関しては、今後引き上げ幅を協議するが、それぞれ1- 2ポイント程度増やすとみられると報じている。

原料調達の共同化などでコスト削減効果

新光証券の辻典秀アナリストは新日鉄とポスコとの提携強化について「評 価できる」とコメント。2000年の提携は紳士的なものだったが、今回はより具 体的になると予想。今回の提携では「原料調達の共同化などにより、コスト削減 につながる」と見込んでいる。

新日鉄の株価終値は前日比10円(2.0%)高の509円。

--共同取材:藤元茂、白木真紀、Editor:Hinoki

大久保義人 Yoshito Okubo (81)(3)3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Peter Langan (81)(3)3201-7241 plangan@bloomberg.net

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