大手行決算、債券取引不振でも実態収益は拡大傾向-利ざや改善がカギ

大手銀行3グループの2006年4-6月(第 1四半期)の連結業績が31日に出揃った。債券取引がマイナス要因となったも のの、投資信託など金融商品の販売好調に加え、本業の貸出業務でも残高が増加 するなど、実質的な業務純益の拡大は鮮明になりつつある。今後、各行の課題は 市場金利を反映した貸出利ざやの改善に移る。

連結純利益は、みずほフィナンシャルグループが前年同期比33%増の2308 億円、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は同16%減の2195億 円、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が同36%減の1201億円。み ずほは繰り延べ税金資産に絡む税負担軽減で増益となったが、国債価格下落など の影響はSMFGで704億円の損失となり、みずほとMUFGでもマイナス要因 となった。

利ざや改善「早くて年度下期か」

ただ、債券関係損益の影響を除いたベースのコア業務純益では、SMFGが 同3.8%の増益、その影響を加味しても増益だったMUFGでは増益幅がさらに 拡大する計算になる。6月末の貸出残高もSMFGを除き3月末比で減ったが、 1年前の05年6月末比では増加しており、ノンバンク部門なども加えた全体の貸 出金利息は増加している。

05年3月期までに不良債権処理にメドをつけたメガバンク3グループは投信 販売などのリテール(個人向け)や証券業務に加え、異業種提携なども活用しな がら連結ベースの収益力を強化。返済を完了したMUFGとみずほに加え、SM FGも経営の自由度を高めるため年度内に公的資金を完済する見通し。ただ、依 然として収益基盤の中核である銀行業務で収益力を強化する必要がある。

専門家の間では、業績として銀行部門の貸出金利の改善効果を確認できるの にはまだ時間がかかるとの見方が多く、日興シティグループ証券の野崎浩成シニ アアナリストは「実際に期中平均での利ざやの改善を確認できるのは早くて06 年度下期、ないし07年度」と推定している。もっとも貸出残の増加傾向や適用 金利の基準となる市場金利の上昇は今後のプラス要因と受け止めている。

銀行の新規約定金利が改善傾向

日本銀行が7月14日にゼロ金利政策を解除したのを受け、大手行では預金 金利を先行して引き上げて年0.1%(以前は0.001%)とする一方、企業貸出や 個人の住宅ローンの基準にもなる短期プライムレートも0.25%上げて1.625%に した。いずれも約6年ぶりだ。預金で調達した資金を貸出で運用する銀行のビジ ネスモデルでは、今後の大きな利ざやの改善要因となる。

日銀によると、全国の銀行6月の貸出平均残高は、前年同月比1.8%増の 382兆8885億円。5カ月連続のプラスで1996年3月(同2.2%増)以来の高い 伸びで、都銀などの増加も目立った。また、国内銀行の新規約定平均金利の06 年6月の月中平均は、5月から0.081%ポイント改善した。

UBS証券の田村晋一アナリストは、貸出金は増加しているが、「政府向け や大口のM&A関連など短期的な積み上げ分が含まれている可能性が高く、貸出 金の残高や預金コスト増を考えれば、利ざやはまだ改善していない公算が大き い」とみている。また、短プラ引き上げを反映する中小など企業向け融資は銀行 間の競争が激しく、利ざや改善の足かせになるとの見方も多い。

--共同取材:鈴木 偉知郎 Editor:Asai

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