6月貿易黒字は5.9%減、原油高で2カ月ぶり縮小-上期も4期減少(4)

財務省が26日発表した通関統計によると、 6月の貿易黒字額は前年同月比5.9%減の8079億円と、2カ月ぶりに黒字幅が 縮小した。輸出額は、米国向け自動車、アジア向け非鉄金属が好調で2ケタ増 を維持したものの、輸入額が素原材料高を背景に大きく増加し、輸出の伸びを 上回った。上期(1-6月)を通しても輸入額の伸びが輸出額の伸びを上回り、 黒字額は同24.0%減少した。

このところの貿易収支は、堅調な世界経済を背景に輸出が増加傾向にある なかで、原油高で輸入額が大きく膨らみ、黒字額が縮小している。5月は、輸 出が堅調で伸びが輸入を上回り、貿易黒字額は17カ月ぶりに拡大したが、再び 縮小した。

6月の輸出額は前年同月比14.4%増加。5月に続き自動車が押し上げ、米 国向けが同17.1%増、EU(欧州連合)向けが同26.4%増加した。自動車は海 外生産が増えている一方で、原油高を背景とした燃費の良い日本車への需要の 高まりもあり、輸出が増加傾向にある。また、中国向けの銅など非鉄金属が好 調で、アジア向け輸出も同14.2%増加した。

一方、輸入額は同18.2%増。原粗油が同38.2%増加したほか、石油製品(同

46.2%増)、液化天然ガス(同53.0%増)など鉱物性燃料の伸びが目立った。 6月の原油価格(通関単価)は1バレル=67.77ドルで、最高を更新した。

季節調整をかけた貿易黒字額は、前月比26.2%減の6125億円。輸出は同

0.2%増、輸入は同4.3%増加した。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟ヴァイス・プレジデントは、 「貿易統計は輸出輸入とも数量ベースで増えており、内外需ともに好調さを維 持していることが示された」と指摘。また、「対ユーロ圏の貿易黒字が増加傾 向にあり、域内経済の回復とともに為替レートが前年に比べかなりユーロ高・円 安水準になっていることの影響がうかがえる」とコメントした。

対EU黒字額は前年同月比49.4%増と8カ月連続で拡大した。輸出額が同

21.6%増、輸入額が同8.1%増加。数量ベースでも輸出が同9.2%増加。輸入は 同3.9%減少したが、輸出入ともにことしに入ってから増加傾向にある。

予想下回る-市場は反応薄

事前のブルームバーグ調査(貿易黒字額が前年同月比2.9%減の8332億円、 前月比25.8%減の6241億円)を下回った。発表後、外国為替市場では9時57 分現在で1ドル=117.07円と、前日のニューヨーク時間遅くに付けた117円24 銭から弱含みで推移。貿易統計の結果への反応は薄く、大和総研経済金融調査 部の亀岡裕次シニアエコノミストは、「黒字額の数字自体はあまり良くなかっ たが、輸出があまり減っていないなか、輸入は内需が堅調で増えた。このため、 貿易黒字が減っても、円にネガティブにはならないだろう」としている。

先行きの貿易黒字額について、第一生命経済研究所の長谷山則昭・副主任エ コノミストは、「原油価格の動向、米国経済の減速のペースなどに左右される 展開となりやすく、しばらく方向感が出にくくなる」とみている。

輸出の減速感

輸出額は6月まで31カ月連続で前年水準を上回り、8カ月連続で2ケタ増 となったが、一部では減速への懸念も出ている。6月の輸出伸び率は5月 (18.9%増)から鈍化し、数量も同8.6%増と5月(同11.6%増)より小幅な 伸びとなっている。ゴールドマン・サックス証券の村上尚己・シニアエコノミ ストは、「数量ベース輸出水準でみると05年4-6月以降年率2ケタペースで 拡大していた輸出が、足元4-6月にほぼ横ばいにとどまった」とし、輸出鈍 化の兆しがみられると指摘する。

また、農林中金総合研究所の南武志・主任研究員は、「実質輸出指数が2カ 月ぶりに前月比マイナスとなった可能性が高い」と指摘。「今回の景気拡大局 面では輸出依存の強さが一貫していただけに、国内景気が海外経済動向の影響 を受けやすいことは否めない。特に米国の景気減速の度合いには引き続き注意 を払っておきたい」としている。

一方で、長谷山氏は「米国経済は景気減速の兆候がみられているが、日本 の自動車の競争力は高いことから、輸出が大きく崩れることはないと考えられ る」との見方を示す。

上期、輸出入額とも最高更新

上期(1-6月)の輸出額は前年同期比16.1%増の35兆7757億円となり、 2期連続で最高を更新した。一方で、輸入額も原油高を背景に同22.9%増加し 32兆3740億円と、7期連続で最高を更新。黒字額は同24.0%減の3兆4017億 円で、4期連続で縮小した。

輸出を押し上げたのは自動車、半導体など電子部品、非鉄金属など。自動 車は米国、ドイツなどEU向けが好調だった。輸入は、原粗油が同57.5%増と 大きく伸びたほか、液化天然ガス、半導体など電子部品も伸びた。

対米黒字額は同17.4%増の4兆2271億円で、1986年下期以来の高水準だ った。輸出は同15.9%増の8兆893億円で、最高額を更新。輸入は同14.3%増 の3兆8622億円だった。

【6月の通関統計】(単位:億円、%)
               金額(原数)前年比    金額(季調)前月比  数量
------------------------------------------------------------------
貿易収支額        8,079     -5.9       6,125    -26.2    ---
輸出額           62,696     14.4      61,063      0.2    8.6
輸入額           54,618     18.2      54,938      4.3    4.3
対米収支          6,912      8.5        ---       ---    ---
対EU収支        3,667     49.4        ---       ---    ---
対アジア収支      7,132     15.7        ---       ---    ---

--共同取材:Kosuke Goto、小宮弘子、Editor: Kosaka

(81)(3)3201-8388 haoyagi@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo (813) 3201-365 yokubo1@bloomberg.net

David Tweed (81)(3)3201-2494 dtweed@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE