日本株(終了)2週間ぶり15000円割れ、原油高-日銀決定に“冷静”

週末の東京株式相場は4日続落となり、 日経平均株価は終値ベースでほぼ2週間ぶりに1万5000円を割り込んだ。中 東情勢の緊迫化を背景に海外原油市況が最高値を更新しており、米景気の先行 き懸念なども重なって電機、自動車など輸出関連株中心に下げた。

午後1時40分ごろ、日本銀行はゼロ金利政策の解除を正式発表。これを 受けて、銀行株を中心とする内需株にも売りが膨らんだ。東証1部は値下がり 銘柄数が1500に迫るほぼ全面安の展開。市場では、日銀の政策変更は不透明 要素がなくなるとして、一部で市場への好影響を期待する向きもあったが、ほ ぼ事前想定通りの内容に反発力も鈍く、海外情勢重視で“冷静”に反応する格 好となった。

日経平均株価の終値は、前日比252円71銭(1.7%)安の1万4845円24 銭。TOPIXは同29.32ポイント(1.9%)安の1521.71。出来高は概算で 16億5913万株。値上がり銘柄数163、値下がり銘柄数1490。

日経平均は終値ベースで25日線移動平均線の1万5057円を下回り、6月 28日以来となる1万5000円割れ。朝の開始直後は、日経225オプション7月 限の特別清算値(SQ)が大幅安となった影響や、米国株安の影響で急落。期 待感から午後に先物中心に買い戻しが入る場面もあったが、上値を買い上げる 動きは限られた。

モルガン・スタンレー証券の神山直樹ストラテジストは「ゼロ金利解除は 織り込み済みとあって、きょうの取引時間中の相場への影響はない。取引終了 後に出される声明が、緩やかな利上げを示唆するものかどうかの方が重要なた め、市場の反応が出るのはむしろ週明けからだろう」と指摘していた。

ただ神山氏は、日本株には金利より企業収益が重要との基本認識で、「こ れから4-6月期業績の発表が行われるとともに、相場は上向こう」と予想。 米国景気はピークを超えても、日本の輸出株に影響を与えるほどのリセッショ ン(景気後退)にはならないとし、「マーケットは米企業業績の先行きに神経 質だが、国内企業の決算発表後は投資家心理がポジティブになり、PERが改 善する」と見ている。

銀行株が売られる

ゼロ金利解除発表後、銀行株が売られた。三菱UFJフィナンシャル・グ ループ、三井住友フィナンシャルグループなど大手銀行が軒並み安。TOPI Xの業種別寄与度でマイナス業種トップとなった。

安田投信投資顧問の茶野宏ファンド運用部長は「定石通りにいけば、これ からは借金の多い企業には投資はしにくい。銀行株は、利ざや拡大の恩恵を受 けるとか言われているが、そうは思わない。調達金利は上がり、債券の運用も 厳しくなる。株式相場も軟調なため、評価損の拡大で、フォローの風はなくな り、今年は良くないとみている」と見ていた。

輸出関連株は軒並み安

電機や自動車など輸出関連株はきょうも軒並み安。イスラエルのレバノン 攻撃という中東情勢の悪化を受けて、前日のニューヨーク原油先物相場は続伸。 原油相場は初めてバレル当たり76ドル台に乗せた。米企業業績への影響やイ ンフレ懸念の高まりから、米国への依存度の高い企業は軟調な展開となってい る。米ハイテク企業の業績悪化で半導体株も続落。

ソニーやキヤノン、松下電器産業などが下げ、HDDVDの発売延期を発 表した東芝は1カ月ぶり700円割れ。アドバンテスト、東京エレクトロンなど 半導体製造装置関連株も安い。

小売株が堅調、好決算銘柄には資金向かう

全般安の中、好決算を発表した銘柄や業種には資金が向かった。その代表 格が四半期決算を相次いで発表した小売株。ファーストリテイリングが100円 高となったほか、ダイエーも堅調。既に先行して発表を終えていたセブン&ア イ・ホールディングス、イオンも上昇。3-5月期の連結営業利益が2.9倍と なったレナウンは急伸。

ゼロ金利解除を正式決定

日銀は14日午後、同日開いた金融政策決定会合でゼロ金利政策を解除し、 無担保コール翌日物金利を「0.25%前後で推移するよう促す」とした金融調節 方針を全員一致で決定した。公定歩合は賛成6、反対3で0.4%に引き上げる ことを決定した。いずれも直ちに実施する。長期国債買い入れ額も月1兆2000 億円に維持した。

ソシエテジェネラルアセットマネジメントの白石茂治常務は「ゼロ金利解 除は市場の事前予想通り。1990年代以降のデフレ調整が文字通り完結したこと を政策当局が宣言した。日本の金融政策も世界的なインフレ抑止の中にあるこ とを示した」と評価する。

もっとも発表後の相場の動きが鈍いことについては、「米国株式市場が波 乱の状態にある中ではそれを振り切ってまで単独で日本株を買えるほど相場環 境が良くないということだろう」と見ていた。

東海東京調査センター投資情報部・隅谷俊夫シニアストラテジストは「ゼ ロ金利解除が実体経済に与える影響は限定的だろう。ゼロ金利解除直後、長期 金利は低下したことは、安心感をもたらしている」と語った。

また、隅谷氏は「一方2000年8月当時の日経平均は、事前に下げていた ため解除後いったん反発した。しかしITバブル崩壊で再度下げ基調をたどっ た。今回もゼロ金利解除で相場があく抜けするかよりも、米国の動向が本質的 に重要だ」と指摘する。

SQ清算値は1万4859円65銭

この日の取引開始時は日経225オプション7月限の特別清算値(SQ)が 1万4859円65銭と、13日の日経平均株価の終値1万5097円95銭を238円 30銭(1.6%)下回った。(SQ値は日興コーディアル証券や野村証券など複 数の証券会社の調べによる)

新興市場は1部市場より下げ小さい

東証1部に連動して取引終了にかけては下落傾向となったものの、この日 の国内新興3市場は比較的堅調な動きが続いた。ジャスダック指数の終値は

1.4%安の94.71、東証マザーズ指数は1.3%安の1303.26、大証ヘラクレス指 数は1.7%安の2071.03。いずれもTOPIXの1.9%安と比べると、下落率は 小さい。

ジャスダック市場では、SBIイー・トレード証券、楽天、インデック ス・ホールディングス、ワコム、フォーサイド・ドット・コムなど時価総額上 位株が下げ、前日急騰のウッドフレンズは反落。東映アニメーション、タイヨ ーエレック、極楽湯なども下げた。

半面、好業績が確認されているハーモニックドライブシステムズが高く、 ファンコミュニケーションズ、アトリウム、レックス・ホールディングスなど が買われた。増産体制整い、今8月通期の利益見通しを増額修正した旭化学工 業も高い。

マザーズ市場では、カラオケ大型店の集客苦戦で、今期経常損益予想を黒 字から赤字に下方修正した鉄人化計画は売り気配のまま終了。アドバックス、 アマナ、新日本科学、メディアクリエイトなども下げ、アガスタは下落率1位。

一方、財団法人くまもとテクノ産業財団が国際出願している特許「抗HI V抗体」について、同財団と実施許諾契約を結んだと発表したトランスジェニ ックは急騰し、上昇率3位。福利厚生事業を手掛けるベネフィット・ワンと業 務提携した船井財産コンサルタンツも高い。KBC証券が投資判断を買いとし たACCESSも上昇。サマンサタバサジャパンリミテッドは2カ月ぶり高値。

大証ヘラクレスでは、アセットマネジャーズ、ダヴィンチ・アドバイザー ズ、トレイダーズ証券、フィスコ、アパマンショップホールディングスなど金 融・不動産関連が下落。社員による業績偽造の発覚で、週初からストップ安比 例配分が続いていたネクストウェアはようやく売買が成立し、前日比20%安と 急落。

これに対し、コンサルティング事業を手掛ける連結子会社の株式上場が決 まり、含み益や売却益発生の可能性が好感されたモーニングスターは上昇。大 阪証券取引所、SBIベリトランスが高く、ドイツ銀行グループの株式の保有 増が確認されたUSENも上昇した。