自民党:上限金利を利限法の20%に一本化、過剰貸付回避へ基準も(2)

自民党金融調査会の「貸金業制度に関する小 委員会」は5日夕、貸金業の上限金利(現在は出資法の29.2%)を現行の利息制 限法の20%に一本化するなどの規制強化案を決めた。いわゆるグレーゾーン金利 を撤廃する一方で、過剰貸付を避けるための基準の設定や、参入規制も強化して 社会問題化している多重債務者を減らす狙いだ。

同日の会合後、増原義剛小委員長が記者団に対し明らかにした。自民党では この方針を6日に公明党に説明したうえ金融庁とも調整して、従来方針の通り議 員立法として秋の臨時国会への提出を目指すのか、政府法案に切り替えるのかも 含め8月中旬以降に具体化への方向を固める方針だ。

自民党の金子一義・金融調査会長は、この規制強化案について「新たな多重 債務者をつくらないことを優先した」と強調した。だた、上限金利引き下げは借 入れ能力の低い顧客のヤミ業者の利用増加を招くだけとする業界の反発も根強 く、具体化までには紆余曲折も予想される。

過剰貸し付けの防止策としては、業者は信用情報機関に強制的に加入するこ ととし、貸出金額の適量基準を設けることなどを通じて顧客の返済能力の確認を 義務付ける。金融庁が、従来の業務停止や登録取り消しに加え、業務改善命令も 発動できる監督権限の強化も検討していく。

そのほかの規制強化では、業者の資産と負債の差額である純財産基準を従来 の個人300万円、法人500万円から、1000万円―5000万円程度に引き上げる。 銀行のような認可制の導入も今後の検討課題とする。広告規制の強化や、利用者 説明の強化も盛り込んだ。一方、少額・短期の融資に限り高い金利での貸出を認 める経過措置なども今後の検討課題とした。

グレーゾーン金利とは、現行の出資法の上限金利である年29.2%と元本に応 じて年15-20%と定められる利息制限法の上限に挟まれた金利帯。出資法の上限 金利を超えると刑事罰の対象となるが、これまで業者は一定の要件を満たし、顧 客が任意に支払う「みなし弁済」規定により29.2%までの金利を適用できた。

金融庁は2005年3月から「貸金業制度等に関する懇談会」を開催し、関係 業者や団体からヒアリングしてきた。しかし、最高裁判所が06年1月にグレー ゾーン金利について事実上の支払い強制があった場合を無効とする判断を下し、 これを契機にグレーゾン解消に向けた議論が活発化した。

06年3月期の大手消費者金融の決算では、利息制限法の上限を超える過払い 利息の返還請求が増えており、今後に備えて引当金を前倒しで積み増す動きもあ った。06年5月には金融庁が大手消費者金融のアイフルに対し、違法な取り立て などで業務停止命令を発動。多重債務者問題もクローズアップされた。

出資法は1954年に制定され、年109.5%(日歩30銭)を超える融資に罰則 規定が導入された。70年代後半のサラ金問題で、83年に議員立法により貸金業 規制法が制定され、取り立て規制やみなし弁済などを導入。上限金利も91年ま でに段階的に40.004%に引き下げられた。

98年の商工ローン問題では、保証人への書面交付を義務付けるなど貸金業法 を改正したほか、上限金利も現行の29.2%(日歩8銭)まで引き下げた。03年 のヤミ金問題では、貸金業者の登録要件の厳格化、取り立て規制や罰則の強化な ど同法改正で対応。上限金利は3年後までに見直すとして据え置いていた。